昨年あたりからテレビなどでも目にするようになった「スマートスピーカー」。あることは知っていても、「実際に何ができるの?」「子育て世代に便利なの?」と用途がわからないパパママも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、スマートスピーカーの基礎知識について、「最新スマートスピーカーらくらくカンタンガイド」「はじめてのAmazon Echo 基本&便利技100」(秀和システム)などの著書を手掛ける吉岡豊さんに聞きました。子育て家庭での便利な使い方も紹介します。
まずはこれだけチェック! スマートスピーカーの超基礎知識
そもそも「スマートスピーカー」とは、どのようなものでしょうか。
「スマートスピーカーを簡単にいうと、インターネット検索やタイマーの設定など、さまざまな機能を音声で指示・操作できるデジタル機器のことです。例えば、iPhoneユーザーであれば、『Siri』を活用している人も多いと思いますが、スマートスピーカーはSiriと同様で、問いかけに対して必ず会話で答えてくれます」
「現在、主なスマートスピーカーには、Googleの『Google Home』、Amazonの『Amazon Echo』、LINEの『Clova WAVE』『Clova Friends』があり、どれも会話で操作ができる端末です」
よくわかりました。では、具体的にはどんなことができるのでしょうか。
「ネットでの情報検索やタイマー・アラームが利用できるのをはじめ、スケジュール管理や音楽再生、ショッピングなど、生活のあらゆるシーンで役立つ機能が用意されています」
「また、設定すれば、家電製品の操作や銀行口座の残高照会、タクシーの配車など、高度なリクエストにも応えられます」
普通の家電と同じように、電源を差し込めばすぐに使えるのでしょうか。
「スマートスピーカーを購入しても、電源をプラグに差し込めばすぐに利用できるわけではありません。スマートスピーカーの利用には、(1)Wi-Fiを経由してインターネットに接続できる環境、(2)ユーザー固有のアカウント、(3)スマートスピーカーの設定を行うためのアプリが必要です」
(1)Wi-Fiを経由してインターネットに接続できる環境
「スマートスピーカーをWi-Fiに接続する際には、パソコンとWi-Fi を接続するのと同様に、Wi-Fiネットワーク名とパスワードをあらかじめ確認しておく必要があります。多くの場合、Wi-Fiルーター(Wi-Fiの機械)の側面や底面にネットワーク名とパスワードが書かれたシールが貼ってありますので、確認は簡単です」
(2)ユーザー固有のアカウント
「ユーザー固有のアカウントは、ユーザーを特定するためのアカウントのことです。Google Homeの場合はGoogleアカウント、Amazon EchoはAmazonアカウント、ClovaはLINEアカウントをあらかじめ取得しておく必要があります」
(3)スマートスピーカーの設定を行うためのアプリ
「スマートスピーカーにWi-Fiやアカウントを設定するためには、専用アプリが必要で、あらかじめご自身のスマートフォンにアプリをインストールしておきます。Google Homeの場合は『Google Home』アプリ、Amazon Echoの場合は『Alexa』アプリ、Clovaの場合は『LINE Clova』アプリをインストールします」
なんだか環境設定で「難しい」と感じてしまいそうですが…。
「こうして説明をされると難しく感じるかもしれませんが、実際にはスマートフォンの初期設定とそれほど違いはありません。専用アプリがわかりやすく設定の指示を出しながら進んでいくので、あまり不安に思う必要はありませんよ」
子育て家庭ならではの「スマートスピーカー」の便利な使い方&注意点
子育て家庭ならではの「スマートスピーカー」の便利な使い方を教えてください。
「子育て家庭では、家事や子どもの相手をしていて、パパママの両手がふさがっているといった状況が頻繁に起こりますよね。また、テレビを見ていて『この情報をもっと詳しく知りたい!』と思っても、手元にスマートフォンがなかったり、操作できる状態ではない場合も多いかと思います」
「そのようなシーンが多い子育て家庭で、スマートスピーカーは大活躍します! たとえば、以下のようなことができます」
- 近所のレストランやおでかけスポットの検索
- 音楽の検索と再生
- 天気予報やニュースの検索
- 交通情報の確認
- スケジュールの確認
- LINEやメールなどの送信・読み上げ
- 家にある材料を生かしたレシピの検索
- タイマーの利用
- 定期購入している日用品の注文
- 簡易な電卓機能…など
「タイマーは『スープのタイマー』や『煮込みのタイマー』など、自分で名前を付けて複数のタイマーを同時に設定・利用するなどのカスタマイズも可能です」
料理のときは手が濡れていたり、両手がふさがったりしていることがほとんどですので、話しかけるだけで操作ができると楽ですね。
「また、スマートスピーカーに『147+267は?』や『300円の8%は?』などと話しかければ、単純な計算ができる電卓になります。消費税計算機ができる専用アプリを利用すると、消費税を足した金額を計算させることも可能ですよ」
「ただし、複雑な計算や小数点などを使った計算には答えられないことがあります」とのことですが、家計簿作業も楽になりそうですね。
「さらに、子どもにとってスマートスピーカーは、面白い遊び相手にもなってくれます」
- しりとりなどのゲームをする
- 犬や猫など動物の鳴き声をリクエストする
- スマートスピーカーに歌を歌ってもらう
- スマートスピーカーと会話する
- 子どもに好きな曲をリクエストしてもらう
- 電子書籍や童話の読み聞かせ…など
注意点は?
子どもでも簡単にできる「音声操作」だけで、ここまで楽しめるのですね。簡単な一方で、ネット経由で使う端末ということで、セキュリティー面が気になります。ウイルス感染の危険性や盗聴などの心配はあるのでしょうか?
「どのスマートスピーカーも、会話は暗号化されるため盗聴される可能性は低いといわれています。ですが、パソコン同様、スマートスピーカーそのものがハッキングされると、個人データの流出や乗っ取りなどの危険性があります」
「また、スマートスピーカーに悪質なアプリを追加してしまった場合には、個人データなどが外部に流出してしまう可能性があるのは、パソコンやスマートフォンと同様です」
「ハッキングや悪質なアプリへの対策として、スマートスピーカーと専用アプリのアップデートを欠かさず実行し、常に最新の状態に保つようにしましょう。『Google Home』のように、自動アップデート機能があり、ユーザーの手動アップデートが不要なタイプもあります」
「スマートスピーカーにアプリを追加する場合には、製作者を確認し、信用できるものだけをインストールするよう心がけます。また、悪質なBluetoothによるアクセスを防ぐために、Bluetoothの設定をオフにしておくことをおすすめします」
子どもが使用する場合、スマートスピーカーに「チャイルドロック」をかけることはできるのでしょうか。
「2018年4月現在、日本では子どもを対象としたフィルタリング機能は用意されていません。各社、13歳以下の子どもを対象としたアプリや公序良俗に反するアプリの開発を禁じるなどの対策を講じていますが、機能としてのペアレンタルコントロールは用意されていないのが実情です」
「欧米では、声の聴き分け機能や子ども向けフィルタリング機能が導入されていますので、近い将来日本にも導入されると思われます。ですが、今のところ時期などは未定です」
パソコンやスマートフォン同様に、利用の際は家族でルール決めをしたほうが良さそうですね。
各メーカーのスマートスピーカーの特長を一挙紹介!
それでは、各メーカーの製品を紹介していきます。購入を検討しているパパママはぜひ参考にしてください。
Amazon Echo(アマゾンエコー)
「Amazonが販売しているスマートスピーカーです。機能面では、最も進んだスマートスピーカーとされ、普及率もナンバー1です。『Amazon Echo』の頭脳である『Amazon Alexa(アマゾン アレクサ)』と呼ばれるクラウドベースの音声サービスを搭載しています」
「また、『スキル』と呼ばれるアプリが600種類以上用意されていて、さまざまな用途に利用できます。Amazon Echoのみで使える代表的な機能は次の通りです」
- Amazon.co.jpでのショッピング
- Googleカレンダーへの予定の追加
- 天気予報や運行状況などのプッシュ通知
ちなみに、「アレクサ、今日のニュースは?」と話しかけると、「いこーよ」の姉妹サイト「いこレポ」の最新おでかけニュースを聞くことができます。スキルに詳細なども届くので、ぜひ活用してみてください。
「いこレポ」詳細はこちらGoogle Home(グーグルホーム)
「Googleが提供しているスマートスピーカーです。『アクション』と呼ばれる数多くのアプリが用意されていて、今後ますます用途の拡張が期待されています」
「また、会話の聞き取りや、やり取りがスムーズで、言い直しが少なく、聞き取りやすいのが特長です。『ボイスマッチ』という複数ユーザーの声を聞き分ける機能があり、最大6人までの声とアカウントを登録すると、各ユーザーのそれぞれの予定など、カスタマイズした情報を得ることができます」
Clova WAVE(ラインクローバウェーブ)/Clova Friends(クローバフレンズ)
「『Clova WAVE』はLINE が販売しているスマートスピーカーです。最大の特長は、LINEとの連携で、音声で宛先を指定してメッセージを送信できる点です。また、赤外線リモコン機能を内蔵しており、テレビの電源のオン・オフなど、家電を操作することができます」
「『Clova Friends』では、LINE電話を利用した音声通話も可能で、LINEフレンズをモチーフとした可愛いデザインも子育て家庭にはぴったりです」
子育て家庭でも大活躍間違いなしのスマートスピーカー。「もう1人の家族」として活用してみてはいかがでしょうか。