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学資保険のメリット、デメリットとは?

掲載日: 2015年7月3日更新日: 2015年7月3日栃尾 江美
将来の子どもの教育資金を積み立てる目的で入る学資保険。今後のために検討しているという親御さんも多いのでは? でも、「保険」というだけでわかりにくそうだし、どれくらい必要なのかもよくわかりません。そこで、学資保険に詳しいファイナンシャルプランナーの菅原直子さんに、初心者でもわかるように教えていただきました。

大学で学ぶためには多額の学費が必要

高校生の親御さんに向けて、毎週のようにセミナーをしているという菅原さん。子どもの学費に悩んでいる方をたくさん見ているそうです。

「小中学校で受験をするというご家庭でないなら、通常一番お金が必要になるのは高校3年生、つまり大学のための費用です。大学受験の頃になって初めて必要な額を知り、教育ローンや奨学金に頼らざるを得ない人はたくさんいます。」

子どもが小さいうちは、大学入試なんてまだ先のことと思いがちです。「なんとかなるだろう」なんて気持ちになる人も多いのかもしれません。ちなみに、大学に入学して、初年度に必要となる金額は以下の通り。4年または6年の合計は、入学料以外を4倍または6倍することで割り出せます。まず貯める目標金額を決めてから割り振っていきましょう
「自分の意志でしっかりと貯金ができたり、貯めなくても学費を払えるご家庭はいいのですが、学資保険は強制力が働くので、貯蓄の大きな助けになります」と菅原さん。

「学資保険」に入っていれば、親に万一のことがあっても安心

そもそも、学資保険とはどんなものなのでしょうか?

「学資保険とは保険料を積み立てる貯蓄型の保険です。お子さんが無事に満期を迎えるとお金を受け取ることができます。また、契約者である親が亡くなったり高度障害になった場合、その後は支払いをしなくても満期まで支払った場合と同じ額を受け取れます。契約できるのは、お子さんが小学校1年生くらいまでですから、学資保険で学資を準備しようと考えているご家庭は、早めに検討した方がいいでしょう。」

両親のうち、収入の多い方に万一のことがあった時が、家庭にとってはもっとも困った状況です。そのため、収入の多い方を契約者にした方がいいとのこと。基本的には父親という家庭が多いでしょう。

学資保険の種類には「医療特約オプション」や「一時金」など

「学資保険」と名の付く商品にもいろいろな種類があるようです。どのようなタイプがあるのでしょうか?

オプションで医療特約を付けられるものがありますね。お子さんが入院した時などにお金がもらえるというものです。他には、中学や高校入学の時に一時金(祝い金)が出るものもあります。育英年金といって、契約者が亡くなった場合に、直後から一定額のお金が支払われるものもあります」

うーん、医療特約や一時金、育英年金があったほうがいいような気もするし……。選択肢が増えると悩んでしまいますね。どのように選んだら良いのでしょうか?

「払込金額」<「受取金額」となるプランをチョイスすべし

「お子さんの学費を出すために入るわけですから、目的を“貯蓄”に絞ることをおすすめしています。医療保険に入る必要があれば、別の保険を検討した方がいいでしょう。学資保険と一緒に入っても、払込期間が終わる17歳か18歳で保障が終わってしまいますから、メリットがあまりありません。育英年金も、『大学のための貯蓄』と考えるならおすすめしていません。払込金額よりも受取金額の方が多くないと、学資保険を選ぶ意味が少なくなってしまいますが、医療や育英年金のオプションが付いたものには受取金額が目減りしてしまうものもあるのです。」

払込総額は
「毎月払う保険料」×「12カ月」×「年数」

の式で簡単に計算できます。

受取金額と見比べて、損得をしっかりと見極めることが大切だそう。菅原さんによると「まずは自分で電卓を叩いてみることが大事!」なのです。

途中解約をすると元本割れも!貯蓄を分散しておくことで回避

学資保険で気になるのは、途中解約をすると元本割れ(払込金額よりも受取金額が少なくなる)してしまうことでしょう。子どもが「高校生から留学したい」と言い出して、予定していたよりも早くお金が必要になったり、収入の状況が変わって支払えなくなったなどの理由で、解約すると損をしてしまいます。

学資保険は、途中解約をしない前提で考えるべきです。ですから、必要額をすべて学資保険で積み立てるのはリスクが大きいですね。解約を避けるためにも、半分を学資保険、半分を定期預金などとして、対応しやすいようにしておく必要があります。多くの商品は、自分の収入や貯めたい金額に応じて調節ができます。」

すべて学資保険でまかなおうと考えるのではなく、組み合わせて考えておいた方がいいのですね。

物の値段が上がる“インフレ”に弱いという特性もあります。契約時の利率で計算していきますから、100万円受け取れるという契約でも、満期時には契約時よりも100万円そのものの価値が下がっている可能性があります。」

保険会社が利益を出した場合に配当がもらえる「配当付き」という商品もありますが、配当は当てにせず「もらえたらラッキー」くらいに考えたほうがいいそう。金額は決まっておらず、必ずもらえるものでもありません。ただ、無配当よりはインフレに強いと考えられます。

計画的に貯蓄することが苦手な人にこそおすすめ

3人の男の子を育て、三男が高校生という菅原さんは、「子どもは予想どおりに育ってくれません」と実感を込めて言います。学資保険に入るなら早いうちがいいとのこと。

早ければ早いほど、毎月の支払額は少なくてすみます。商品の特性上、途中で見直して乗り換えたりはしませんから、最初にしっかりと調べることが大切です。」

学資保険の大きなメリットは、一度入ると簡単にはやめられないので、強制的に貯蓄ができるということと、親に万が一のことがあった時に教育資金を心配しなくてもいい、という2点。菅原さんいわく「人間の弱さを助けてくれる商品」なのです。なかなか自分では毎月貯蓄ができないという人は、子供が小さいうちに入っておくのがいいかもしれません。

最後に、どうしても解約をしなくてはならなくなったときのこともお伺いしてみました。

「どうしてもお金が工面できないとなった場合、短絡的に解約をするのではなく、教育ローンを選んだ場合と比較してみてください。その上で、できるだけ損が少ない方を選べばいいのです。」

迷ったときにも、これなら明解! 子どもは予想どおりにならないことを前提に、しっかりと準備をしておきたいものですね。

お話を聞いたのは…

  • 菅原直子さん

    教育資金コンサルタント、AFP。保護者・生徒・教員のための進学資金講座・相談会を中心に家計や保険見直しの個人相談も行う。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。共著「子どもにかけるお金の本(主婦の友社)」、監修「子どもの教育費これだけかかります。(日労研)」。3男子の母。

  • 菅原さんのブログ「湘南らいふでざいん」
  • 子どもにかけるお金を考える会
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ライター紹介

栃尾 江美

1975年生まれ。コンピュータ会社勤務から、2005年にライターへ。アバンギャルド/WOOTS所属。雑誌や書籍、Web、広告など、ライトな読み物から堅めの記事までこなします。やんちゃな2人の男児がいる4人家族。子どもには、自分が大切にしているものを伝えたいと日々模索中。自然や生き物、本物の音楽や芸術に触れながら育ってくれるといいな。

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