子供が大好きな昆虫といえば、カブトムシとクワガタ。夏になると、子供が飼いたがりますが、育て方がわからないママパパも多いはず。
そこで、いこーよの人気イベント「はじめてのカブトムシさがし」などで活躍する専門スタッフが、初めてでも困らない飼育方法について紹介します。産卵や幼虫の飼育方法も簡単にわかりますよ。
初心者必見! カブトムシ・クワガタ飼育のポイント6つ
カブトムシやクワガタを育てる上で、知っておくと役立つポイントを6つ紹介します。
(1)成虫(大人)の大きさは変わらない
カブトムシやクワガタの成虫は、サナギから羽化した時点で大きさが決まります。大人になってからエサをいくら食べても、カラダや角などが大きくなることはありません。
虫かごを選ぶ際には、成虫の大きさを基準にすれば問題ありません。ちなみに、幼虫の時にカラダが大きいと、成虫も大きくなります。また、カブトムシの突起している部分は角といいますが、クワガタはアゴと呼びます。
(2)スイカやメロンをエサにするのはNG!
カブトムシやクワガタのエサとして、スイカやメロンなどをあげる人も多いですが、実際は水分が多すぎて良くないと言われています。フルーツであれば、バナナやリンゴが適しています。
おすすめは昆虫ゼリーで、果物よりも汚れにくく、コバエなどが発生しにくいです。最近は高タンパクなゼリーも多く、メスに産卵させたい場合などに役立ちます。
(3)日当たりのない涼しい場所が理想
ベランダなどの屋外で飼育する人も多いですが、直射日光が当たらない日陰などが向いています。夏の虫ですが、夜活動したり、涼しい場所にいることが多く、30℃を超える環境だと弱りやすいです。
虫かご内は温度が上がりやすいので、屋内で日が当たらない風通しのいい場所が最適です。また、クワガタの中には越冬する種類もいるので、それも含めて屋内の方が適しています。
(4)虫かごにカブトムシやクワガタをたくさん入れない!
一つの虫かごで、カブトムシやクワガタをたくさん飼うのは、ケンカの原因にもなるのでよくないです。カラダや角が傷つくこともあるので、寿命にも影響します。最近は、ケースに仕切りを入れられるタイプもあるので、カブトムシとクワガタをわけて飼うのに便利です。
虫かごには、同じ種類でオスとメスを1匹ずつ飼うのがおすすめです。どうしても多くなる場合は、昆虫マットや木などを多めに入れて、隠れる場所をたくさん作ってあげてください。また、数が多いとメスが落ち着いて産卵できない場合もあるので、やはりペアが適しています。
(5)カブトムシとクワガタは寿命が違う!
カブトムシとクワガタでは、種類によって寿命が違います。一般的に、カブトムシやノコギリクワガタ、ミヤマクワガタなどは、寿命が3カ月〜半年ほどです。
一方で、コクワガタやヒラタクワガタ、オオクワガタなどは、1年以上生きます。オオクワガタであれば、3年以上生きることも多いです。寒い冬の間は、マットの中に潜って、エサなどを食べずに越冬します。暖かい5月ぐらいになると、マットから出てきて、活動し始めます。
(6)カブトムシとクワガタは卵を産む場所が違う!
カブトムシとクワガタでは、卵を産む場所が異なります。カブトムシはメスが昆虫マットの中に卵を産みます。幼虫もマットで育ちます。
クワガタは、メスが木(朽木)の中に卵を産みます。幼虫は朽木の中やマットで育ちます。ヒラタクワガタなど一部の種類は、マットにも産卵しますが、基本は木に穴を開けて、卵を産みつけます。
飼育セットは超簡単! 必要なアイテムは5つ!
初めてカブトムシやクワガタを飼う場合は、何を準備するべきか悩みがち。ですが、5つのアイテムを用意すれば、万全です。基本的には、カブトムシもクワガタも飼い方は同じです。昆虫マットもエサも同じもので問題ありません。
【1】飼育ケース(虫かご)
絶対に必要なのが、飼育するための飼育ケース(虫かご)です。おすすめは、コバエなどが入らないタイプ。外部から虫が入れないだけでなく、中から逃げる隙間もないので安心です。
逆に、ケース内でコバエが繁殖してしまうこともあります。その場合でも、外にコバエが逃げないので、家庭に迷惑をかけずに済みます。コバエがいる場合は、屋外で蓋を開けて、コバエをすべて出して、昆虫マットを交換してください。
普通の虫かごでコバエなどの侵入を防ぎたいときは、ケースと蓋の間に新聞紙などを挟むこともおすすめ。昆虫マットの乾燥も多少抑えられるので便利です。
【2】昆虫マット(飼育用の土・おがくず)
カブトムシやクワガタが生活するために入れる土のことを昆虫マットと呼びます。クヌギやコナラのおがくずを使った「昆虫マット」が一般的です。
成虫を飼う場合は、昆虫マットがケースの5〜7cmほどあれば、問題なく生活できます。産卵させたい場合などは、もっと深めに昆虫マットを入れるのが理想です。マットは2〜3カ月に1度ぐらい交換するのが理想です。
越冬するクワガタを飼育する場合は、冬が来る前にマットを多めにして、屋内のあまり寒くない場所で管理するのがおすすめです。気になってもマットから掘り出さないことが大事です。
【3】エサ(ご飯)
エサは、果物より昆虫ゼリーが断然おすすめ。衛生面でも汚れにくいです。スイカなど水分の多い果物は、寿命を短くするのでNGです。ゼリーがない場合は、バナナやリンゴが適しています。
エサはなくなり次第交換してあげてください。ペアで飼ってる場合は、虫かご内に1〜2個ぐらいが目安です。エサがない日が続くと、ケンカの原因にもなるので注意してください。最近は、栄養価の高い(高タンパク質)のエサも多くあり、産卵時などにおすすめです。
【4】のぼり木
のぼり木は、虫かごに入れる木のことで、クヌギやコナラが理想です。木の下に隠れたり、転倒した際につかまれるので、非常に大事です。エサを置ける穴が空いたタイプも便利です。
【5】枯れ葉(転倒防止、隠れる場所)
絶対に必要なアイテムではないですが、転倒した際につかまる場所になったり、昆虫マットの乾燥を防ぐのにも役立ちます。越冬するクワガタもいるので、保温の効果も期待できます。
そのほかにも、霧吹きは乾燥防止にあると便利です。昆虫マットが乾いた際に、上から湿らす程度に軽く吹きかけるだけで大丈夫です。
メンテナンス&昆虫マットの交換時期
昆虫マットは乾燥するので、週に1度は確認するのが理想です。また、2〜3カ月に1度ぐらいは交換するといいでしょう。マットの汚れが酷くなった場合にも、交換してあげてください。
カブトムシや一部のクワガタは、昆虫マットの中に卵を産みます。マットを交換する際は、卵や幼虫が中にいる場合もあるので、注意して見てくださいね。
カブトムシ・クワガタの産卵方法&準備セット
産卵はカブトムシとクワガタで異なるので、注意が必要です。カブトムシはメスが昆虫マットに産卵します。一方で、クワガタはメスが木の中に卵を産みます。それぞれの産卵に必要な準備を紹介します。
産卵は、オスとメスが交尾をしていることが条件になります。同じケースで長く飼育していると、その可能性は高いです。
カブトムシの産卵準備&作り方
カブトムシは、メスが昆虫マットに卵を産むので、普通の飼育セットと同じです。ポイントは、虫かごに入れるマットの量と固くすることです。
ケースの7分目ぐらいまでマットを入れて、上から手などで押してマットを固めます。ある程度固くなったマットの上に、さらに2cmほどマットを入れます(固めない)。
今度はマットの上に、登り木と昆虫ゼリーを入れます。メスは産卵で体力を消耗するので、ゼリーは多めに4つほど入れるといいでしょう。安心して産卵できるように、2週間ほどは触らないようにしてください。
クワガタの産卵準備&作り方
クワガタは、マットではなく太いクヌギやコナラの朽木の中に卵を産みます(ヒラタクワガタなど一部の種類はマットにも産卵)。そのため、マットの中に産卵用の木を一緒に埋める必要があります。産卵用の木は産卵木と呼ばれ、加水して産みやすくする工夫が必要になります。
産卵木の作り方
(1)産卵用の木を水に丸ごと浸して、半日ほど入れておきます
(2)水から取り出して、日陰で丸1日ほど乾燥させます
(3)乾燥したら木の皮をはがします。乾燥後ははがれやすくなっているので簡単です
産卵木はこれで完成です。はがした木を昆虫マットに入れます
産卵木の用意ができたら、ケースの準備です。ケースの下から5cmぐらいまで昆虫マットを入れて固めます。その上に産卵木を置きます。
その上にさらにマットを敷き詰めて、軽く固めます。完全に木が埋まらなくても大丈夫ですが、半分以上埋まっているのが理想です。登り木と昆虫ゼリーをいれて完成です。
卵を産んだ後はどうなるの? 幼虫・サナギも紹介!
メスが産卵してから、成虫になるまでの一般的な流れと時期も紹介します。およそ10カ月〜1年かけて卵から成虫に変わっていきます。
メスの産卵(6〜8月)
交尾をしたメスが、夏の時期(6〜8月)に産卵します。卵の大きさは2〜3mm程度と小さく、色は黄色っぽいです。
卵の孵化(産卵から3週間ほど)
卵は3週間〜1カ月ほど経つと、孵化して幼虫が生まれます。孵化したばかりの幼虫は3〜5mmほどの大きさです。
幼虫(7月〜翌年5月)
幼虫は、昆虫マットや朽木の中にある菌糸を食べて育ちます。幼虫の時期は、8カ月〜10カ月と長く、2回脱皮を行います。脱皮を繰り返しながら、どんどん大きくなるので、昆虫マットも2〜3カ月に1度交換するといいでしょう。
サナギ(5月〜6月)
幼虫が成虫になる直前に、サナギになります。この状態を蛹化(ようか)と呼びます。通常は土の中でサナギになるので見えませんが、触ったり刺激を与えずにそっとしておくことが重要です。3週間〜1カ月で羽化するので、安静に見守ってください。
成虫に羽化(6月〜7月)
サナギから1カ月ほどで、羽化して成虫になります。羽化した直後は、カラダ全体が赤く、時間が経つと黒くなります。黒くなるまでは、手で触ったりせず、見守ることが大事です。
また、羽化してから2週間ほどはマットから出てこず、エサも食べません。マットから出てくるようになると、ようやくエサを食べ始めます。
クワガタの種類と特徴を紹介!
最後は、一般的なクワガタの種類と特徴を紹介します。国内のカブトムシは、基本的に1種類ですが、クワガタはさまざまいるので写真をベースにお届けします。
オオクワガタ
日本にいるクワガタの中で、一番大型のクワガタ。自然界ではめったに見られませんが、飼育しやすく、寿命も3年以上と長いです。性格は温厚で、カラダは光沢があります。
ノコギリクワガタ
オスのアゴがノコギリのような形をしていて、子供に人気があります。色は赤みがかった個体が多いです。寿命は3カ月〜半年と短命。気性は荒いです。
ミヤマクワガタ
標高の比較的高い山に生息することから深山(ミヤマ)とされています。オスの頭部に突起があるのが特徴的で、アゴの先も二つにわかれています。個体は大型で、気性は荒いです。寿命は3カ月〜半年と短命。
ヒラタクワガタ
カラダが平べったいことからヒラタと呼ばれていて、光沢があります。寿命は1年〜3年と長いです。河川敷などに生息していることが多く、子供だけでなく大人にも人気があります。気性はわりと荒いです。
アカアシクワガタ
脚や腹面が赤みがかっていることからアカアシと呼ばれています。標高1,000m付近の場所に生息することが多いです。気性はそれほど荒くありません。寿命は半年ほどですが、飼育する場合は越冬することもあります。
コクワガタ
国内のクワガタの中で、一番身近な種類です。小さいクワガタという意味でコクワと呼ばれています。気性は荒くなく、寿命は1年以上生きます。オオクワガタと同じく飼育がしやすい種類です。
以上が、カブトムシとクワガタの飼育方法です。知識がないと難しいと思いがちですが、セットも意外に簡単なので、一度挑戦してはいかがでしょうか。産卵や幼虫、羽化までできたら、子供の興味関心もさらに広がりますね。