毎日の育児は大変!で、疲れやストレスも溜まります。それを解消してくれるのが、育児系のコミックエッセイ。苦労や疲れを笑いに変換し、「あるあるある…」という気持ちにさせてくれる元気の素です。そこで、作家の橘ももさんに、おすすめの育児系コミックエッセイ5作品をお伺いしました。
「今回取り上げた作品はどれも、著者は第一線でご活躍されているマンガ家さんばかり。頭脳と体力の双方が極限まで求められるマンガを描くという仕事をしている、とっても忙しい方々です。働くことと子育てのバランスをそれぞれの方法で見つけ、自分なりのスタイルを編み出している姿が、共感を呼ぶポイントなのかなと思います。独身の私は、働くお母さん、お父さんの姿に、ただただ尊敬の念を抱くばかりです。それぞれのユニークな目線を通して描かれる日常の発見は、純粋にマンガとして抜群におもしろく、自信をもっておすすめできる作品ばかりです」(橘さん)
では早速、ご紹介いただきましょう!
「愛息ごっちゃんの突き抜けたセンスと行動に、遺伝ってあるんだな…と思わざるを得ません。 二人のコントのような掛け合いと、テンパりながらごっちゃんと一緒に成長していく東村さんの姿に笑いと涙が止まりません。」(橘さん)
「『平成酔っ払い研究所』という酒飲みエッセイを描いている著者だけあって、子育てもかなり奔放、というか独自で自由。 働く母と主夫である父、こういう形もありなんだ、と思わせてくれますし、いい意味で母親神話を打ち崩してくれる。 笑えるだけでなく、家族のありようを考えさせられる一冊でもあります。」(橘さん)
「非モテ代表としてコミックエッセイを描いてきた著者。 激しい爆笑はないけれど、ついつい、ぷっと吹き出してしまったり、なんだかほろりとさせられたり、日常の、あたりまえの愛おしさに気付かせてくれます。父として劇的に変化していくわけじゃないけれど、確実に、子供と一緒に育っているカラスヤさんの優しいまなざしが心に染みます。」(橘さん)
「タイトルどおり、おかあさんの扉を少しずつ少しずつひらいていくようなコミックエッセイ。『テンパリスト』が激しく驚かされ笑わされるのに対して、こちらは ゆるゆる、地味にボディブローを味わわされ続けていつのまにか虜に。随所にしかけられた“間”に肩を震わせてしまいます。夫の吉田戦車さんも在宅勤務で互いに慌ただしいはずなのに、それぞれのリズムをうまくかみあわせながら全員で育っていく姿にもほのぼのします。」(橘さん)
毎日新聞で連載しており、アニメや実写映画にもなった作品。4コマ漫画より長く、1話完結より短い1ページ構成が中心です。作者本人も作中で「ヘタ」と言う、ヘタウマなタッチも魅力のひとつ。「かあさん」と、酒好きの夫、2人の子ども、祖母、犬という家族の笑えるエピソードがほとんどですが、ときどきポエムのような美しい話が挟まれます。漫画としては文字が多いので、字を読むのが好きな人に。
「 笑うというより、ガチで泣かされてしまう一冊。お涙頂戴なわけでも、しっとりした話ばかりが描かれるわけでもないのだけれど、笑って、怒って、泣いて、笑って、紡がれていく、子どもたちとのあたりまえの毎日はとても美しいと感じます。ささいな日常を切り取りながら、その奥にあるものを見せてくれる。陳腐な言い方だけど、人生がつまった一冊。疲れているときこそ、心に染みるかもしれません。」(橘さん)
子育ての苦労を「自分だけじゃない」と思えたり、子どもの理不尽さをおもしろさに変換できるなど、コミックエッセイを読む利点は多大! 子育てに辛くなったときほど読んでみるといいかもしれませんね。
ワーキングマザー(ファザー)の視点が共感を呼ぶ
今回橘さんがセレクトしてくれたマンガが、なぜ子育て中のパパ・ママの共感を呼ぶのでしょうか。その理由は、作者自身もワーキングマザー(ファザー)であるという点にあるそうです。「今回取り上げた作品はどれも、著者は第一線でご活躍されているマンガ家さんばかり。頭脳と体力の双方が極限まで求められるマンガを描くという仕事をしている、とっても忙しい方々です。働くことと子育てのバランスをそれぞれの方法で見つけ、自分なりのスタイルを編み出している姿が、共感を呼ぶポイントなのかなと思います。独身の私は、働くお母さん、お父さんの姿に、ただただ尊敬の念を抱くばかりです。それぞれのユニークな目線を通して描かれる日常の発見は、純粋にマンガとして抜群におもしろく、自信をもっておすすめできる作品ばかりです」(橘さん)
では早速、ご紹介いただきましょう!
とにかく爆笑必至『ママはテンパリスト』東村アキコ(全4巻)
大ヒットした本作は、強烈な子どものキャラで大いに笑えるのが特徴。大人を疲れさせる子どもの行動を「笑いに変える」ヒントをもらえます。絵のタッチは少女マンガっぽく、読みやすいのも嬉しい点。多くのコミックエッセイ同様、1話完結で細切れに読めます。「愛息ごっちゃんの突き抜けたセンスと行動に、遺伝ってあるんだな…と思わざるを得ません。 二人のコントのような掛け合いと、テンパりながらごっちゃんと一緒に成長していく東村さんの姿に笑いと涙が止まりません。」(橘さん)
奔放で独自な子育て『おにぎり通信〜ダメママ日記〜』二ノ宮知子(1〜2巻)
ドラマにもなった『のだめカンタービレ』の著者なので、テンポやリズムは抜群。こちらもタッチはキレイな少女マンガ風です。子どものおもしろエピソードだけでなく、大黒柱の母から見た「子ども+主夫」という、日本ではまだあまり一般的ではない設定が新鮮です。普通のママなら、主夫であるパパのキレっぷりのほうに共感できるかも。こちらも数ページからなる1話完結型です。「『平成酔っ払い研究所』という酒飲みエッセイを描いている著者だけあって、子育てもかなり奔放、というか独自で自由。 働く母と主夫である父、こういう形もありなんだ、と思わせてくれますし、いい意味で母親神話を打ち崩してくれる。 笑えるだけでなく、家族のありようを考えさせられる一冊でもあります。」(橘さん)
やさしいまなざしが染みる『オレは子をみて育とうと思う』カラスヤサトシ(1巻)
貴重なパパ目線の育児コミックエッセイ。男性のギャグ漫画にありそうな、ほのぼの&ゆるいタッチの4コマ漫画です。妻が音楽ライターで忙しく、共働きの大変さも伝わります。独り言のような台詞で心の声がつぶさにわかり、親なら共感できる部分がたくさんあるはず。「非モテ代表としてコミックエッセイを描いてきた著者。 激しい爆笑はないけれど、ついつい、ぷっと吹き出してしまったり、なんだかほろりとさせられたり、日常の、あたりまえの愛おしさに気付かせてくれます。父として劇的に変化していくわけじゃないけれど、確実に、子供と一緒に育っているカラスヤさんの優しいまなざしが心に染みます。」(橘さん)
肩をふるわせて笑う『おかあさんの扉』伊藤理佐(1〜4巻)
こちらもゆるいタッチの4コマ漫画で、ギャグの手数が豊富で多彩。「わかる、わかる」と身に覚えのあるエピソードも多く、疲れたときにカラっと笑うのにぴったり。夫婦揃って漫画家なので、共働きの苦労も多数。単行本では、夫である吉田戦車さんのコラムも読めてお得感満載です。「タイトルどおり、おかあさんの扉を少しずつ少しずつひらいていくようなコミックエッセイ。『テンパリスト』が激しく驚かされ笑わされるのに対して、こちらは ゆるゆる、地味にボディブローを味わわされ続けていつのまにか虜に。随所にしかけられた“間”に肩を震わせてしまいます。夫の吉田戦車さんも在宅勤務で互いに慌ただしいはずなのに、それぞれのリズムをうまくかみあわせながら全員で育っていく姿にもほのぼのします。」(橘さん)
人生が詰まった『毎日かあさん』西原理恵子(1〜11巻)
毎日新聞で連載しており、アニメや実写映画にもなった作品。4コマ漫画より長く、1話完結より短い1ページ構成が中心です。作者本人も作中で「ヘタ」と言う、ヘタウマなタッチも魅力のひとつ。「かあさん」と、酒好きの夫、2人の子ども、祖母、犬という家族の笑えるエピソードがほとんどですが、ときどきポエムのような美しい話が挟まれます。漫画としては文字が多いので、字を読むのが好きな人に。
「 笑うというより、ガチで泣かされてしまう一冊。お涙頂戴なわけでも、しっとりした話ばかりが描かれるわけでもないのだけれど、笑って、怒って、泣いて、笑って、紡がれていく、子どもたちとのあたりまえの毎日はとても美しいと感じます。ささいな日常を切り取りながら、その奥にあるものを見せてくれる。陳腐な言い方だけど、人生がつまった一冊。疲れているときこそ、心に染みるかもしれません。」(橘さん)
子育ての苦労を「自分だけじゃない」と思えたり、子どもの理不尽さをおもしろさに変換できるなど、コミックエッセイを読む利点は多大! 子育てに辛くなったときほど読んでみるといいかもしれませんね。