「モノ作り体験」は、親子に人気のお出かけイベントの一つ。そこで今回は、玉田ガラス工房さんに協力いただき、吹きガラス体験を密着取材してきました。普段はかちかちで硬いガラスがどんな工程を辿って出来上がっていくのか、その様子を写真レポートでお届けします!
体験取材に協力してくださったのは、めぐ美さん&ゆいちゃん(小学3年生)親子。吹きガラス体験は高温のガラスを扱うので、ヤケドをしないためにも服装は半袖、長ズボン、スニーカーがベスト!今回は工房からアームカバーと軍手を借り、よりガラスに近い場所で作業をする右腕を保護しました。
ガラス作りに必要な炉は全部で3つ。1つ目は温度が一番高い「溶解炉(ようかいろ)」。中の温度は1000℃以上!中に見える縦の線はガラスを溶かす発熱体。この炉でガラスを竿に巻きつける所から体験が始まります。
ということで、その熱さをちょこっと体験。炉の入り口に近寄り、ドアが開いた瞬間「あつーい!」と思わず後ずさり(笑)。お母さんのめぐ美さんもあまりの熱さに驚いていました。この後吹きガラス作りの一通りの流れを聞き、いよいよ制作に取り組みます。
最初に、中の模様となる色つきのガラスを6色ピックアップ。組み合わせ次第で仕上がりも変わるため、ゆいちゃん親子、真剣です。
溶解炉から巻き取ったガラスに、選んだ6色のガラスをつけていきます。竿を少しずつ回して、なるべく等間隔にくっつくように慎重に慎重に。
くっつけた色つきのガラスを溶かすために「グローリーホール」という2番目の炉の中に竿を入れます。グローリーホールはガラスを温め直す炉としても使われ、制作中に一番多く利用する炉。初めての体験に、少しドキドキ…!
色つきのガラスが解けたら、ガラスの中に気泡を入れる作業に。「ピンサー」という名前の道具の先でガラスを突き刺すと、刺された部分が気泡になるとのこと。ランダムに6〜7箇所くぼみを作ります。ちなみに気泡を作る作業中、竿はずっと回転させたまま。両手で異なる作業に取り組むって、なかなか難しい!
気泡を入れたらもう一度溶解炉でガラスを巻き取ります。ガラス作りは、炉に入れて、形を整えて、また炉に入れて…の繰り返しです。
さて、お次は新聞紙をたたんで濡らした「紙リン」を使ってガラスの形を整えていく作業です。たまごのような形になるように竿をくるくる回して整えます。「ゆいちゃん、ガラス熱くない?」という質問には「全然熱くなーい!」とのこと。普段使っているガラスは硬くて冷たいのに、目の前でどんどん形を変えていくガラスが、何だか不思議。
形を整えて再度温め直したら、いよいよ最後の仕上げに。はし(ジャック)を使って、くいっとくびれを入れていきます。だんだんペーパーウエイトの形になってきました!
最後にエアガンでガラスを冷ましたらペーパーウエイト作りは終了!このエアガン、結構な勢いで「プシュップシュッ!」と強い風が出てきます。「からだ暑かったら、エアガンの空気あててごらん」という先生の声に…。
「プヒャー!!」と大興奮のゆいちゃん。体中にエアガンをあてて楽しそうでした。エアガンで涼をとる…普段なかなか体験できないことですね(私もやりたかったな)。
完成させた作品は、「徐冷炉(じょれいろ)」と呼ばれる3番目の炉へ。ガラスは急に冷ますと割れてしまうので、この徐冷炉で半日かけてゆっくり冷ますとのこと。冷ますための炉といっても、中の温度は490℃もあるそうです!
そしてできあがったのがこちら!左がゆいちゃん作、右がお母さんのめぐ美さん作です。それぞれ形や模様の入り方も違って、まさに世界に一つのペーパーウエイト!愛着がわきますね。
まずはめぐ美さんから吹きガラスに挑戦。溶解炉でガラスを巻き付けた竿の吹き口から、風船を膨らます要領で一気に空気を吹き込みます。これが、なかなか難しい!ゆいちゃんが見守る中、めぐ美さんも真剣に取り組んでいました。
さぁいよいよ、お待ちかねの吹きガラス体験です!コップに模様をつけるために使うガラスは、「フリット」という名前の粒状ガラス。まずは竿を上から優しく押しつけて、フリットをくっつけます。つけたフリットを溶かすために再びグローリーホールへ。
温め直したガラスに、重層を薄めた水を一気にジャワーッ!蒸気が上がる様子は意外と迫力があります。この上にもう一度ガラスを巻くことで、重曹が熱で発泡し、気泡となります。
そしていよいよ吹きガラスに挑戦!集中して息を吹き込みます。もともとモノ作りが大好きというゆいちゃん。制作にのめりこみ、表情がどんどん真剣になっています。
息を吹き込むと、ガラスはこんなにぷっくりと膨らみます!(※この写真はお母さん・めぐ美さんのガラスの写真です)
ある程度の大きさまで膨らまし終えたら、次は高さを出す作業。竿を左右に振って遠心力をかけてガラスを伸ばしていきます。吹きガラス体験って、意外と体を使うんですね!
高さを出して底を整えたら、次は「ポンテ竿」と呼ばれるもう一つの竿にガラスを移動させる作業へ。ポンテ竿を底の中央につけて、「パレット」という平たい道具で吹き竿を軽くはたくとコップがポンテ竿に移動します。あっという間のできごとなので、よーく見ないと何が起こったか分からない程!この後再びグローリーホールでガラスを温め直します。
最後は1人で竿を回しながら口を広げる作業を行ったゆいちゃん。短時間で一気に成長している様子に驚きです。
そして出来上がったコップがこちら。右がゆいちゃん作、左がめぐ美さん作です。気泡の入り方や形にも個性があって、愛着が湧いてしまいますね。手作りのマイコップを使って飲む飲み物は味も特別なものになりそうです!
ゆいちゃん
「とにかく、熱かった!一番楽しかった所は最後の飲み口をぐるぐる回して広げていく所。吹くのはそんなに大変じゃなかった。早くコップを使って飲みたい!」
めぐ美さん
「本格的なモノ作りを行うのは今回が初めて。色やデザインを一から自分で決めることができたので、モノ作りが好きな娘はとても楽しそうでした。大人でもガラスについて発見することが多く、楽しい時間を過ごすことができました」
「どんなやんちゃな子でも、炉を前にすると一気に真剣な表情になります。本能的に「熱い」、「危険」ということを察知しているんだと思います。親御さんからも「うちの子のこんな真剣な表情初めて見た」という感想もよく聞きます。」
■吹きガラス体験スポットはこちらから!【全国】吹きガラス体験スポット
まずは吹きガラス体験の基本から
吹きガラス体験時の服装は?
ガラスは何でできている?
実際に制作に入る前に、ガラスについての説明を受けます。「ガラスは主に珪砂(けいしゃ)という砂からできていて、珪砂は砂浜や土の中にも含まれているんですよ」という説明に「へー」と驚くゆいちゃん親子でした。ガラスをが解けている炉を見学。炉、あっちぃー!

まずはペーパーウエイト作りに挑戦!
それでは早速、ペーパーウエイト作りスタート!



完成させた作品は、「徐冷炉(じょれいろ)」と呼ばれる3番目の炉へ。ガラスは急に冷ますと割れてしまうので、この徐冷炉で半日かけてゆっくり冷ますとのこと。冷ますための炉といっても、中の温度は490℃もあるそうです!
いよいよ、吹きガラスで作るコップ体験へ!
ガラス作り体験を一通り終えた後は、いよいよ吹きガラスで作るコップ制作に突入です!大人でもコツが要るガラスの膨らまし方

ゆいちゃんの吹きガラス体験、スタート!







吹きガラス体験を終えて
「とにかく、熱かった!一番楽しかった所は最後の飲み口をぐるぐる回して広げていく所。吹くのはそんなに大変じゃなかった。早くコップを使って飲みたい!」
めぐ美さん
「本格的なモノ作りを行うのは今回が初めて。色やデザインを一から自分で決めることができたので、モノ作りが好きな娘はとても楽しそうでした。大人でもガラスについて発見することが多く、楽しい時間を過ごすことができました」
まとめ:吹きガラス体験の魅力って?
体験取材を終えた後、協力いただいた玉田ガラス工房の佐久間さんへ吹きガラスの魅力についてうかがいました。
魅力1:どんな子どもも、炉を前にすると真剣に
「どんなやんちゃな子でも、炉を前にすると一気に真剣な表情になります。本能的に「熱い」、「危険」ということを察知しているんだと思います。親御さんからも「うちの子のこんな真剣な表情初めて見た」という感想もよく聞きます。」
魅力2:カチカチなのにとろとろ、冷たいのに熱い?
「ガラスの特徴は、普段は冷たくてカチカチなのに、作る過程ではとろとろしていて形がどんどん変わっていく所です。ガラスの不思議さに自然と吸い込まれ、大人子どもに関わらず夢中に制作に励んでいるということもよくあります。」魅力3:記憶をカタチとして手元に残せる
「先日たまたま10年前に体験でいらっしゃった方と再会したのですが、10年前のグラスを今でも使っていると仰っていました。当時の記憶をカタチとして手元に残せる所はガラスに関わらずモノ作り体験の魅力ですよね」魅力4:ころんとまぁるい形は吹きガラスならでは
「吹きガラスは風船のように丸く膨らむので、手にもった時に自然とフィットします。コップの場合は口元のガラスも焼きあげるので口をあてた時の感触が良くなり、飲み心地もアップ。ぜひ、自分で作った吹きガラスのコップで飲むという行為も楽しんでください」親子で吹きガラス体験に挑戦してみよう!
吹きガラス体験に密着した今回の取材。個人的な驚きは、意外と体を使うこと!でした。立って、座って、左手では竿を回して、右手ははしを使って…。制作に苦労した人ほど、完成の喜びも大きいとのことです。親子で体験する吹きガラス、おすすめです!■吹きガラス体験スポットはこちらから!【全国】吹きガラス体験スポット