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冬の森はヒミツの宝庫! 教えたくなる森歩きのポイント

掲載日: 2014年12月12日更新日: 2017年5月16日吉原 徹
木々はすっかり落葉し、長い眠りに入ったかに見える冬の森
「子供たちもしっかり歩けるようになってきたし、そろそろハイキングにも連れて行きたい!」なんて考えているパパ・ママも多いはず。けれど、季節はすっかり冬本番。
親子での山歩きは来年までお預け…なのでしょうか? いえいえ。実は答えはNO! 

冬こそ、里山や小高い丘など、身近な自然の中をハイキングするベストシーズンなのです。

「木々が落葉するこれからは、空から光が差し込み、森全体が明るくなる季節。空気が澄んで見通しも良くなるので、植物や野鳥などをゆっくりと観察するのにもってこいです。丘や里山、標高の低い山は積雪の心配もありませんし、晴れて風のない日なら意外に温かいですよ。
枯れ葉のじゅうたんに寝転がるととても気持ち良く、カやハチ、アブなどの虫の心配も少ないので、親子での山歩きにはおすすめの時期ですね」

と教えてくれたのは、動植物インタープリターの奇二正彦さんです。

まずは、葉のカプセル「冬芽」をチェック!

親子で楽しむ冬のハイキング。たとえば植物なら、秋に葉を落とした落葉樹が厳しい冬を乗り越えるために準備する『冬芽』を探しながら歩いてみるのが、おすすめなのだそう。

「葉っぱのなくなった木は枯れていると思われがちですが、実は休眠して春を待っているだけ。夏の間に葉っぱでエネルギーを作り『冬芽』という花や葉の芽となるカプセルを枝の先につけて、落葉している状態なんです。『冬芽』は、葉を落とした木々の枝先に注目して歩いていると、すぐに見つかるはず。ねばねばの樹脂に覆われた『冬芽』が特徴のトチノキやとても大きな『冬芽』をつけるホオノキ…など、『冬芽』は木の種類によって実にさまざまなので、それぞれの形や大きさなどを見比べてみるのが面白いですよ。また、それぞれの形の違いをじっくりと眺めるなら、ルーペを使ってみるのもおすすめ。シンプルなルーペなら100円ショップでも販売しているので、手軽に購入することができますよ」
さわるとベタベタするトチノキの冬芽
大きくてまっすぐなホオノキの冬芽は見つけやすい
写真提供:木のぬくもり・森のぬくもり

植物ごとの細かな違いを調べながら歩くなら『冬芽ハンドブック』(著/広沢毅文、写真/林将之/文一総合出版)などの図鑑を持参するのもおすすめ。キッズと一緒に図鑑やルーペを持って植物観察….。なんだか宝探しのようで楽しそうですね!
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価格:1,296円(税込、送料別)


野鳥観察のメインシーズンは冬! 知っておきたい身近な野鳥

「野鳥観察も冬の低山ならではの楽しみのひとつです。普段は森の奥から声が聞こえるだけの野鳥たちですが、木々の葉が落ちた冬の森なら、姿が見えることも。冬は、ロシアや中国などの北国から、ツグミやジョウビタキ、シロハラなどの渡り鳥がたくさん飛んで来ているんです。また、シジュウカラやメジロ、エナガなどの小鳥は、冬になると群れになって森を移動しています。低山歩きの途中で、たくさんの小鳥が頭上を通過した時などは、注目してみると楽しいですよ」

ツグミ

シジュウカラ

ジョウビタキ

メジロ

慣れないうちは鳥の声を聞き分けるのはなかなか難しいもの。けれど、じっと耳を澄ませていると森の中にはいくつもの鳥の声が響いていることがわかるそう。「さえずりナビ」など、鳥の鳴き声を調べられるアプリもあるので、野鳥図鑑とともに利用してみると、森歩きがドンドン楽しくなるはずです! 都会ではなかなか見られない野鳥との出合いは、きっと子供たちにとっても良い思い出になるのではないでしょうか。

冬のハイキングで気をつけたいこと

子供たちを連れてのハイキングだからこそ、危険はしっかり回避したいもの。冬は日が暮れるのが早いので、無理のないスケジュールを立てることが大切。歩きやすい靴や雨具といった装備も万全にしておくことも基本中の基本でしょう。さらに奇二さんは、冬のハイキングの注意点について、こう教えてくれました。

「やはり十分な防寒対策は大切なポイント。ダウンやフリースなどの防寒具をはじめ、ホッカイロや温かい飲み物などを準備しておくのがおすすめです。また、冬はカやハチなどの虫が少ない時期ですが、ツバキ科の葉に付いているチャドクガの卵やサナギには要注意。チャドクガは日本の代表的な毒蛾の一種で、幼虫だけでなく卵やサナギも毒針毛に覆われているため、ふれるとかぶれてしまいます。また、霜が降りた日の午後は地面が滑りやすくなっているので、足元にも十分に気をつけてください」

チャドクガの卵塊

冬ならではのアイテムの準備や心構えはやっぱり大切! 安全に楽しく、冬の低山歩きを楽しみましょう!

お話を聞いたのは…

  • 奇二正彦さん

    動植物インタープリター。自然、アート、教育という3つのテーマを軸に活動。多彩なフィールドで自然調査や環境教育、展示企画のデザインなどを行う。株式会社生態計画研究所主任研究員、NPO生態教育センター主任指導員。立教大学非常勤講師。

ライター紹介

吉原 徹

1977年生まれ。東京都在住。フリーランスで編集者・ライターとして活動中。4歳の娘と0歳の息子を持つ2児の父。10代の終わりから旅に魅せられ、これまで60ほどの国と地域を訪れているものの、そのほとんどが[ひとり旅」もしくは「仕事旅」。家族と楽しめる「子連れ旅」の可能性を日々模索中です。

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