小学校や中学校でダンスの授業が必須科目となり話題になりました。そもそもダンスをすることで子どものどんな能力が引き出されるのでしょうか? そこで、ダンスが子どもの成長に与える効果について、ミュージカルへの出演や振付を中心に活動している明羽美姫さんに伺いました。
人気の子どもの習い事をチェック!ダンス必修化の理由は仲間とのコミュニケーション作り
ダンスが必修化されたのは、2008年に文部科学省が発表した中学校学習指導要領改訂によるもの。それに伴い、2011年から小学校、2012年から中学校、2013年には高校においてダンスの授業が始まりました。
文部科学省のホームページには、「ダンスはイメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動で、仲間とともに感じを込めて踊ったり、イメージをとらえて自己を表現したりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる運動」とあります。表現力やコミュニケーション力を養えるというのが必修化の理由のようです。
文化庁による「文化芸術による子どもの育成事業(派遣事業)」で小学生にダンスのワークショップを行っている明羽さんもその効果を感じているそう。
「ワークショップを終えた子ども達に『ダンスって何だと思う?』と質問すると、『みんなが笑顔になるもの』『人の気持ちを優しくするもの』『心がひとつになること』といった答えが返ってきます。」
上手にダンスを踊るという趣旨ではなく、仲間とのコミュニケーションや自己表現の楽しさが重視されているんですね。
ダンスでバランス良く身体能力が鍛えられる
それでは、ダンスをすることでどんな身体能力が鍛えられるのでしょうか?
「ダンスは身体全体を使います。そのため、身体の中心となる体幹や足腰の筋力が鍛えられます。また、肩回りや股関節など、日常生活では使う機会が少ない四肢の付け根を動かすことで柔軟性を高めることができます。」
身体が柔らかいと膝や足首への負担が減り、怪我をしにくくなるそう。
「また、1曲3分〜3分半の間、リズムに合わせて身体を動かし続けるのは意外と大変。繰り返し踊ることで、持久力が養われます。」
楽しく身体を動かすことで体力UPにもつながるとは嬉しいですね。ダンスは、筋力・柔軟性・持久力と、バランス良く子どもの体の発達を促してくれるようです。
ダンスを通して育まれる子どもの心
「ダンスの一番の魅力は、感動体験」と明羽さん。
「音楽に合わせて同じリズムで一緒に身体を動かすことで感じることができる楽しさや一体感。自分の感じたことを身体で表現する解放感。テクニックだけではなく、『友達がこんな顔や動きをするんだ』という驚きや発見など、一緒に踊るみんなの、心が動くような体験ができるよう心掛けています。」
そのため、子どもたちに教えるダンスの振り付けを工夫しているのだとか。
「お互いの身体をタッチするなどふれあう動きを取り入れると、ダンスの動きの中で自然とコミュニケーションを取ることができます。また、仲間と一緒に同じ動きをすることで、一体感が生まれ協調性が育まれます。」
「振り付けの中で『このステップを使えば、後は好きに動いて良い』など自由な部分を作ると、子どもたちの個性が発揮されます。すると、勉強やスポーツが苦手な子どもがダンスで『あいつ、すごい!』と思われることも。人前で表現をすることで、度胸や自信が生まれて新しいことに挑戦する強い心が身に付いたり、お互いの個性を認め合えるきっかけになったりします。」
身体能力だけでなく、感動体験を通して絆が生まれたり自信がつくなど、子どもの心の成長にもつながるんですね。
子どもが興味を持った時が、ダンスのはじめ時!
子どもにダンスを習わせるとしたら、何歳頃から始めると良いのでしょうか?
「先生の話を理解できるようになる3歳、もしくは4歳から受け入れてくれるダンススクールが多いです。ただしバレエの場合、プロを目指して始めるのは8歳〜9歳で大丈夫。なぜなら低年齢で始めたとしても、バレエに必要な筋力が発達していないため、テクニックを習得することができないからです。」
とはいえ、小さい頃から始めておくと、音楽に合わせて身体を動かすことに慣れ、リズム感を養うことができるそう。
「種類はヒップホップ、バレエ、ジャズダンス…何でも構いません。子どもがテレビを見てやりたいと言った、近場にダンス教室があった、親が好きでやらせたいと思ったなど、きっかけは何でも良いと思います。子どもが興味を持った時が、ダンスのはじめ時です。」
スタジオ見学や体験教室などを行っているダンス教室もあるので、まずは親子で一緒に参加してみてはいかがでしょうか。
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