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子どもの冷え性(低体温)が増加!?親ができる対策は?

掲載日: 2017年1月10日更新日: 2017年1月10日平野 友紀子

子どもは風の子と言われていますが、現在は幼児や小学生でも冷え性(低体温)の子が増えているそう。そこで、子どもの冷え性の原因と、親ができる対策について早稲田大学人間科学学術院教授で医学博士の前橋明先生に聞きました。

冷え性になると、無気力でやる気が出ず、眠りも浅くなる

最近、冷え性の子どもが増えているというのは本当なのでしょうか?

一般的な『冷え性』というのは、体温が36度を下回る『低体温』の状態を指します。保育園の登園時の検温データを見ると、低体温の子どもが増えてきていることがわかります」と前橋先生。

そもそも、体温は常に一定ではなく、朝と夜では体温に差があるもの。2歳〜3歳頃から、体温は1日のうちに、0.6度〜1.0度の変動を示すようになり、一般的には、夜中3時頃が最も低く、夕方16時頃に最高となる一定のサイクルを示します。

「しかし、低体温の子どもは、この体温リズムがズレてしまっており、朝になっても眠っているときの低い体温のままです。体温が低いということは、からだも脳も覚醒していない状態で活動をしなければならないということです。したがって、いろいろな活動をしても、無気力でやる気が出ず、実際に覚えきれなかったり、やりきれなかったりします。からだのウォーミングアップができていない状態です。」

低体温になると、子どもたちは朝から眠気とだるさを訴え、食が進まなくなります。朝食を食べず、日中に運動が足りないと、体温は適切にコントロールされなくなり、夜の眠りも浅くなります。」

では、いったいなぜ、子どもたちは低体温になってしまうのでしょうか?


睡眠の乱れや欠食、運動不足が低体温の原因に

前橋先生によると、子どもたちの低体温には、睡眠・食事・運動という基本的な生活習慣が関係しているのだとか。

「夜更かしをして、睡眠時間が短くなる、朝起きる時間が遅くなるなど、夜型生活の中で睡眠リズムを乱していくと、子どもたちは朝食を食べなくなり、午前中の活動力も低下します。睡眠の乱れや欠食、運動不足の状態が続くと、やがて脳や自律神経がうまく機能しなくなります。体温は自律神経によってコントロールされているため、こうした状態が続くと、うまく体温調節ができなくなってしまうのです。」

現在の日本では、午後10時を過ぎて就寝している幼児の割合が4割を超えているそう。

【参考】睡眠の質が子どもの脳に影響!?理想の就寝時間と睡眠時間って?

子どもの睡眠をはじめとした健康的な生活習慣とそのリズムについて、幼少児期から大切に考える大人たちが必要」と前橋先生は警鐘を鳴らします。

また、運動不足の原因には、徒歩通園の減少や車利用の増加、室内あそびの増加、テレビやビデオ視聴の増加なども挙げられるそう。昔に比べてライフスタイルが夜型に変化していることも原因のようです。


早寝・早起きと日中の運動で冷え性を改善

子どもを低体温にしないためには、生活リズムを整え、体温調節をコントロールする自律神経の働きを高めることが大切です。具体的に親が気を付けることを前橋先生に伺いました。

1.生活リズムを整える→早寝・早起き

「生活リズムの改善は、早寝・早起きが基本となります。子どもの起床や朝食開始が遅れている場合は、就寝時刻を現状よりも1時間早めましょう。これによって、早起きを促し、朝食を食べたり、排便時間を確保したりして、自律神経の働きを高めることができます。情緒も安定し、対人関係の充実をより一層図っていくことができるようになるでしょう。」

2. 自律神経の働きを高める→日中に運動をする

「自律神経の働きをより高めていくためには、以下の3つが大切です。」

  1. 外に出て、いろいろな環境温度に対する適応力や対応力をつけさせること
  2. 安全な遊び場で、運動あそびをしっかり経験させること、
  3. 運動(筋肉活動)を通して、血液循環が良くなり、産熱をしたり(体温を上げる)、汗をかいて放熱したり(体温を下げる)して、体温調節機能を活性化させること

「なかでも、日中の戸外運動を積極的に取り入れるといいでしょう。例えば、鬼ごっこや転がしドッジボールなど、子どもたちが夢中になってからだを動かせる集団あそびがおすすめです。」

「さらに、午後の戸外あそび時間を増やして運動量を増加させ、心地よい疲れを誘発させること、そして、だらだらと遅くまでテレビやビデオを見せず、健康的な視聴をさせるよう心がけることが、早寝にもつながります。」


子どもの低体温対策は、睡眠・食事・運動という基本的な生活習慣を、大人たちが大切にしていくことが基本のようです。親子で一緒に「食べて、動いて、よく寝よう!」を心掛けたいですね。

★この記事のポイント★

  1. 一般的な『冷え性』というのは、体温が36度を下回る『低体温』の状態
  2. 低体温になると、無気力や欠食、運動不足を引き起こし、眠りも浅くなる
  3. 睡眠の乱れや欠食、運動不足が低体温の原因
  4. 改善するには生活リズムを整え、自律神経の働きを高めることが大切
  5. 早寝・早起き、日中に運動するように心がけよう

お話を聞いたのは…

  • 前橋 明 先生

    医学博士/早稲田大学人間科学学術院教授。米国University of Missouri-Columbia大学院修士(教育)、岡山大学医学部博士(医学)、倉敷市立短期大学(1987年講師,1992年助教授,2000年教授)、米国ミズーリー大学客員研究員,米国バーモンド大学客員教授を経て、現在、早稲田大学教授、2015年度は台湾:国立体育大学客員教授。

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ライター紹介

平野 友紀子

ライター/エディター。温泉ソムリエの資格を持つ、大の旅好き、温泉好き。結婚をきっかけに、オーガニックアドバイザーを取得。0歳と2歳の年子育児をしながら、旅、ライフスタイル、オーガニック、女性の生き方、子育てをテーマに活動中。

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