乾燥した季節に気になるのが「静電気」。すべり台で遊んだり、子どもと手を繋いだりすると、バチッとくることも…。でも、じつは衣類の組み合わせによって、静電気は起きにくくできるって知っていましたか? そこで、静電気を防ぐコツをライオン株式会社のお洗濯マイスター・山縣義文さんに聞きました。
異なる素材がこすれたときに静電気が発生
そもそも静電気はなぜ起きるのでしょうか?
「あらゆる物には、基本的にプラスとマイナスの電子が存在し、同じ数だけ含まれていて、プラスとマイナスがつりあっています。ところが、異なる素材同士がこすれたときにプラスとマイナスのバランスが崩れて、帯電することがあります。帯電した素材を引き離すときに生じる放電こそが、パチッとくる静電気です。」
静電気の原因は、異なる素材がこすれて電荷のバランスが崩れることなのですね。
衣類の素材の性質を把握する
山縣さんいわく、そもそも衣類の素材には、その性質によって帯電しやすいものと帯電しにくいものがあるそう。
「衣類は様々な素材からできており、プラスに帯電しやすいものとマイナスに帯電しやすいものがあります。例えば、アクリル・ポリエステルは、マイナスに帯電しやすく、ナイロン、ウールはプラスに帯電しやすい特徴があります。一方、綿や麻などはもともと帯電しにくい素材です。」
「洋服を着るときに、プラスに帯電しやすい素材とマイナスに帯電しやすい素材を組み合わせると静電気が発生しやすくなります。一方、プラスとプラス、マイナスとマイナスのように同じ性質の素材同士なら、こすれ合っても静電気は起きにくくなります。また、もともと帯電しにくい素材はこすれ合っても静電気は発生しません。」
静電気の発生を防ぐためには、素材がプラスなのか、マイナスなのかという性質を理解しておくことが大切のようです。
静電気が起きやすい素材、起きにくい素材の組み合わせ
冬はどうしても重ね着をする機会が多い季節。そこで、静電気が起きやすい組み合わせと起きにくい組み合わせのポイントを紹介します。
静電気が起きやすい素材の組み合わせ
- ウールのセーター(プラス)とポリエステルの下着やフリース(マイナス)
- ナイロンのレギンス(プラス)とポリエステルのスカート(マイナス)
静電気が起きにくい素材の組み合わせ
- ポリエステルの T シャツ(マイナス)とポリエステルのフリース(マイナス)
- 綿のチュニックとウールのマフラー
寒い冬に便利なヒートインナーは、アクリルやポリエステルを使用していることが多いです。ウールのセーターと組み合せるよりは、ポリエステルのフリースと組み合わせた方が静電気は起こりにくいようです。
また、タイツはナイロン素材が多いので、ポリエステルのスカートと組み合せるときは要注意。綿素材が混ざったタイツの方が、静電気は防げるよう。
また、素材の組み合わせを変えたくない時は、下着や靴を変えるだけでも静電気防止効果はあるそうです。
静電気を防ぐコーディネートのポイント
- 静電気が発生しにくい綿素材の下着を選ぶ
- 靴底にゴムやプラスチックを使用した靴は静電気がたまりやすいので、静電気を逃がしやすくする皮革製の靴底を選ぶ
柔軟剤と静電気防止スプレーも有効!
「静電気を気にせず自由なコーディネートを楽しみたい場合は、柔軟剤や静電気防止スプレーを利用するのも1つの手段」と山縣さん。
「柔軟剤は衣類を肌触りよく、ふんわり仕上げるだけではありません。繊維の表面を滑らかにする働きがあります。すると、繊維同士の滑りが良くなるため、重ね着をしても摩擦が減り、静電気が起こりにくくなります。また、柔軟剤の成分は、繊維の表面に電子を外に逃す層をつくる効果があり、静電気がたまりにくくなります。」
洗濯機用の柔軟剤はもちろん、乾燥機用柔軟剤もあるので活用したいですね。使い方は、脱水の終わった洗濯物と一緒にシート状の乾燥機用柔軟剤を入れて、乾燥運転を開始すればOKです。
「万全の対策をするなら静電気防止スプレーがおすすめ。お出かけ前や外出時にもサッとスプレーすることができます。ただし、静電気防止スプレーは、絹、レーヨン、テンセルなど水に弱い素材のほか、家庭での洗濯やドライクリーニングができないもの、皮革、和装品、毛皮には使用できないので注意しましょう。」
製品の裏面に記載されている、使用量の目安に従ってスプレーした場合、次の洗濯やクリーニングまで効果が持続するそう。これなら手間をかけずに、静電気を予防できそうですね。
静電気を防ぐコツは、覚えてしまえば簡単なものばかり。便利グッズも活用しながら、嫌な静電気の季節を乗りこえましょう。