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離乳食が不安…。子どもの食物アレルギーの対処法って?

掲載日: 2016年2月3日更新日: 2017年5月16日宇都宮 薫

赤ちゃんに離乳食を与えたら口の周りが赤くなってドキッとした、なんて経験はありませんか? 初めての食材を与えるときなど特に、我が子にアレルギー反応が出ないか心配になりますよね。もしも子どもにアレルギーの症状が出たら、どのように対処したらいいのでしょうか? 北浜こどもクリニックの北浜直先生に食物アレルギーについて教えてもらいました。

アレルギー症状を引き起こしやすい『7大アレルゲン』

そもそも食物アレルギーとはどのようなものなのでしょうか?

「人間には、体内に入ってきた異物を排除して、体を守ろうとする免疫機能があります。例えば、風邪などのウイルス感染で熱や鼻水が出るのも、害のあるウイルス(=異物)を追い出そうとする体の反応です。」

「ところが、本来害のないものを過剰に攻撃してしまい、体に様々な症状を引き起こすのがアレルギーなんです。中でも食物アレルギーは、口から入ってきた食品を体が異物と認識してしまい、様々な症状が引き起こされます。アレルギーが起こるメカニズムは解明されていませんが、遺伝や生活環境などが影響するとも考えられています。」

アレルギー症状を引き起こすリスクが高い食品として、鶏卵、牛乳、小麦、えび、かに、そば、落花生の7品目が『7大アレルゲン』と呼ばれています。中でも乳幼児は、鶏卵、牛乳、小麦の3つから反応が出ることが多いそうです。

「食物アレルギーは消化機能が未熟な子どもに多く見られるのが特徴です。このほかにも大豆やバナナ、もも、リンゴなど、アレルギーの原因となる食物は多岐に渡ります。」

私たちが日常的に食べている身近な食べ物も、アレルギーの原因になりうるのですね。


どんな症状がどの程度出るのかは人によりさまざま

では、アレルギー反応が起こると、どんな症状が現れるのでしょうか。食物アレルギーの、主な症状は以下の3つです。

食物アレルギーの主な症状

  1. 皮膚・粘膜症状…発疹、じんましん、かゆみ、赤み、目や口の周りの腫れなど
  2. 呼吸器症状…くしゃみ、鼻水、せき、呼吸困難、喘息など
  3. 消化器症状…腹痛、下痢、嘔吐など

「よく病院を受診すべき目安を聞かれるのですが、アレルギーの症状は人によって軽度から重度までさまざまなので、一概には言えません。僕は心配なことがあったらとにかく受診してくださいとお話ししています。また、親や兄弟姉妹にアレルギーがある場合には、そうでない子どもよりもリスクがあるので、注意したほうが良いでしょう」

北浜先生によると、乳幼児期にあらわれる食物アレルギーは成長とともに治りやすく、皮膚に少し赤みが出る程度であれば心配し過ぎる必要はないそうです。ただ、アレルギー反応の中には命にかかわるようなケースもあるので注意が必要だといいます。

「アレルギー反応で最も怖いのが『アナフィラキシー』。極めて短時間のうちに全身性に複数の症状があらわれ、急激に血圧が下がってショック状態に陥ります。」

明らかに呼吸が苦しそうだったり、意識が朦朧とするような状態があれば、一刻も早く病院に連れて行きましょう


気になる離乳食の開始時期。どうやって進めればいい?

食物アレルギーが心配ですが、離乳食はいつ頃から始めるのがいいのでしょうか? また、初めての食材はどのように与えたらいいですか?

離乳食は生後5カ月〜6カ月くらいから始めましょう。数年前までは、アレルギーが心配であれば離乳食の開始時期を遅めたほうがいいとも言われていましたが、実はそれは間違い。適切な時期に食べることによって耐性を獲得していくので、とくにリスクの少ない子どもは、これくらいの時期から始めたほうが良いでしょう。」

「ただし、新しい食材はまずは一口から与えてみてください。何かあった時にいつでも小児科に連れて行けるように、病院が開いている時間帯だとより安心ですね。」

それでもやっぱり、初めの一口は不安もありますよね。子どもに食べさせる前にアレルギーがあるかどうかわからないものでしょうか?

アレルギーは血液検査で調べることもできますが、すべての食材を調べることはできないのと、診断を確定するものではないので、やっぱり初めは食べてみて判断するしかありません。食事の後に異変を感じるようなことがあれば、医者との相談のうえで進めることをおすすめします。」

医者の指示のもと、少量を食べていく治療法も

もしもアレルギーが判明した場合、特定の食品を食べない以外にできることはないのでしょうか?

最近では『経口免疫療法』といって、アレルギー反応のある食べ物を完全に除去するのではなく、医者と連携しながらごく少量を食べていく方法も研究が進んでいます。免疫学的寛容といって、少しずつ耐性をつけることで、体が反応しなくなっていくのです。ただし、進め方は人それぞれなので、アレルギーがある子の場合は自己判断はせず、専門医の指示に従って行ってください。」

原因にも症状のあらわれかたにもかなりの個人差がある食物アレルギーですが、リスクの高い子どもでなければ、そんなに神経質になったり食事を制限する必要はないと北浜先生は言います。不安があれば、まずは専門医に相談してみましょう。

お話を聞いたのは…

  • 北浜 直 先生

    北浜こどもクリニック院長。「地域に密着したママの駆け込み寺」を目指し、「どんな些細な相談でもウェルカム」という理念で多くの患者を受け入れている。

  • 「北浜こどもクリニック」ホームページ

ライター紹介

宇都宮 薫

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、単行本(ビジネス書・実用書)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは、出産、育児、健康、おでかけ、芸能、グルメなど。まち歩きとバイクが好き。

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