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時には離れるのも大事!子どもにイライラしないための予防策

掲載日: 2016年2月15日更新日: 2016年2月15日衣山 泉

予定通りに行かなかったり、何度もやり直しをさせられたり、子育てってイライラすることが多いですよね。でもできることなら笑顔で子どもに接したいもの。そこでできるだけイライラしないための心がけやコンディションづくりについて、現役ママでもある心理学博士の山本ユキコ先生にお話を伺いました。

イライラ予防はイライラ前から

子どもがコップを倒してイライラ、家を出るときにグズり始めて結局出かけられず、さらにイライラ…。そんなシーンは母親なら誰しも経験があるはず。でも怒鳴ったり枕を壁に投げつけても、イライラは収まるものではありません。

それもそのはず、山本先生は「イライラを抑えるのはまず無理!」と言います。

ママはみんな悩んでる!子どもにイライラするのは悪いこと?

「イライラ状態に入ってしまったら、もう自分ではコントロールはできません。目をつぶって10数える…とか、すっごくイライラしている時にはできないでしょう? だからまずは『イライラを抑えるのは無理』と受け入れます。

「イライラしないためにできること、それは通常のイライラしていない普通の時の気分を幸せな方向に上げておくことです。」


日頃から自分を「少し幸せな状態」にしておく

「普通の時の気分を少し上げる」とは? どういうことなのでしょうか?

「扉は、台風が来る前にきちんと補強しておくものでしょう? そういうイメージで、自分のベースの気分を補強して、ほんわりと『幸せだな〜』という状態にしておくことです。」

「表で見るとわかりやすいと思います。一般的に、人間の感情は【覚醒】【鎮静】の縦軸と、【快】【不快】の横軸で表すことができます。『ラッセルの円環モデル』と呼ばれるもので、覚醒度が高く快なら[喜]、不快なら[怒]に、鎮静度が高く快なら[楽]、不快なら[哀]といったように表現できます。」

自分のニュートラルな状態がA地点だとして、例えば旦那さんが靴下をリビングに脱ぎ捨てたとします。ムカッ、イラッとして青い線のように覚醒度が上がり、不快な方向に気持ちが動いてしまう。そうすると、[怒]の状態になってしまって、もう自分ではコントロールできません。

でも、もし自分のニュートラルがそれよりも高い状態のB地点、つまり心地よい状態にあれば、青い線と同じぐらい覚醒度が上がって不快な方向に気持ちが動いてしまっても、[怒]にまではならないんです。緑の線なら、まだ気持ちを自分でコントロールすることができます。

「つまり、日常的に心地よく過ごしていれば、突発的に子どもが何かをしたり、思い通りに行かないことが起っても、自分の気持ちを[怒り]にまでは持っていかれずに済むわけです。」

ママ自身が日々気分よく幸せに過ごすことがポイントなんですね。

「そうです。普段が幸せなら、旦那さんや子どもが、多少ムカつくことをしても平気でいられますからね。とにかく自分自身を大事にして、できるだけ幸せな状態にいることがイライラの予防につながるわけです。」


たっぷり寝てきちんと食事をとって幸福感を補充

しかし、イライラしがちな生活を送っているママにとって、気持ちを常に幸せな状態にキープすることは簡単でないように思いますが…。「自分を大事にする」とは具体的にはどういうことですか?

人間の幸せには[睡眠][栄養][衛生][無条件の愛]、この4つが必要です
[無条件の愛]は、[仲間がいること]とも言い換えられます。親兄弟(姉妹)でも同じ立場のママ友でもいい、つまり『分かって、助けてくれる人』のことです。子育て中の人は、たいていこの4つがどれも不足しているんですよ。だからイライラする。」

追い詰められている時は、まずは寝ましょう。それから、食べる。ちょっとつまむだけではなく、栄養がちゃんと取れるようなものをちゃんと食べるようにしましょう。あとはお風呂に入り、友達など気の合う人とおしゃべりをする。人はこれで満たされるんです。」

イライラするのは、人間として必要なこれらのものが足りてないよっていうサインなんです。だから『自分には今、足りないんだな。じゃあ足りないところから補充していこう』と自分自身のことを考えるべきなんです。」

無理をするより幸せな距離感を保つことが大切

さらにイライラしないために、ママの幸福のために、保育園などに子どもを預けるという選択肢もあります。山本先生もそれを選択した一人。

「私は我慢弱いし、一人でいろいろ考えたりするのが好きなので、子どもとずっと一緒にいるとどうしてもイライラしてしまうんです。だから早いうちに保育園に預けました。離れたほうが幸せな人間関係、距離感ってあると思います。」

「実際、母親の鬱傾向は、子どもの成長におけるリスク要因として数えられます。子どもを小さいうちに預けることを罪悪感を感じる人もいるかと思いますが、ママが無理をして鬱になるより、思い切って子どもと離れる時間を作って、ママが笑える状態をできるだけ長く保ったほうがいいんです。とにかく、ママ自身が『ああ幸せだなあ』という状態にいられるのであれば、結局はそれが一番いいですね。」

できるだけママの負担を減らし、体と心を休ませることがママの幸せであり、子どもの幸せにもつながります。もちろん家庭円満にも。

自分を振り返って「最近イライラしてばっかり…」と思うなら、自分にとってどうすることが幸せかを考えるいい機会なのかもしれません。

お話を聞いたのは…

  • 山本ユキコさん

    北九州大学文学部卒、九州大学人間環境学研究科で博士号を取得、研究職へ。結婚・出産を経て退職後、自分の子育てに悩み、救いを求めて保育学や発達心理学、認知行動学など子育てについて学ぶ。そこで学んだことをもとに「こそだてフィロソフィー」を開講、子育てに悩むママのために各地で講演などを行っている。女の子2人のママ。2016年2月に初の著書『出産・育児ママのトリセツ~「子どもができて妻が別人になりました」というあなたへ』(亡羊社)を出版。

  • こそだて心理学博士 山本ユキコさん 公式サイト

ライター紹介

衣山 泉

幼稚園児の娘、フリーライターの夫、2匹の愛猫と福岡在住。旅行も外出も大好きだが、平日は娘のお迎え以外はほぼ家にこもりっぱなしのインドア派なので、体力が追いつきません。ほしいものは、タフな体。余力のある週末には日帰り温泉や蚤の市、焼き物の里めぐりに出かけています。

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