
歴史がわからなくても十分楽しめる
「お城は『歴史を知らなきゃ楽しめない』というわけではないんですよ」と、いきなりの安心材料を与えてくださった萩原さん。もちろん、過去のできごとや武将、史実を思い起こすのは楽しみ方のひとつですが、お城の見どころは他にもたくさんあるそうです。特別な知識がなくても、メインの建物となる天守の造形美をはじめ、天守に登る楽しさや、景色の美しさを満喫できます。さらなる楽しみを子どもと共有したいなら、注目すべきは、あちこちに見られる「仕掛け」。歴史を遡らなくても、ほんの少しのポイントを押さえておくとよいそうです。
城を守るための仕掛け「狭間」や「石落とし」
「天守や塀には、攻めて来た敵から守るために作られた、さまざまな仕掛けがあります。例えば、敵を鉄砲や弓矢で攻撃するための『狭間(さま)』という穴。内側は広く、外側は狭く作られているため、場内からの射程距離が広がり、外側からは狙われにくくなります。狭間をいくつも覗いてみると、通路などを向いていて、死角がないことがわかります」

くねくねした道のりも攻めにくくするため
お城は、天守だけではありません。敷地内にも工夫が凝らされているのです。「天守に着くまでの道のりはくねくねしていて、侵入者が簡単に天守へ到達できないようになっています。道のりが長く複雑に折れ曲がっていれば、侵入者を攻撃する場所が増えて好都合なのです。まるで迷路のような作りで、方向感覚を失ってしまうことも。疲れさせるために傾斜が付いていたり、早く進めないように石段の幅や高さをまちまちにするなど、さまざまな工夫があるんです」
漠然と歩くだけでは疲れてしまいそうな道のりでも、「どうしてくねくねしているのかな?」「なかなかお城に着かないね」などと一緒に考えながら進めば興味を持ってくれそう。また、歩いた道のりをお城から眺めて見ると、違った感覚が味わえるでしょう。
3月にリニューアルする姫路城がおすすめ!
「屋根や壁の修復で5年ほど入ることのできなった姫路城が、3月にリニューアルして一般公開される予定です。世界遺産なので、かなり話題になると思います。美しい天守は女性にも人気ですが、天守にたどり着くまで迷宮のような設計で、天守内も攻撃用の仕掛けがたくさんあります。とにかく見どころが多いので、一見の価値ありです」
