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子どものグズりに「くすぐり遊び」が効果的!

掲載日: 2016年5月30日更新日: 2017年5月16日青柳直子

疲れたり、退屈したり、眠かったり。子どものグズりは親にとっては困ったものですが、1、2歳の少しのグズりなら、「くすぐると泣き止んだ!」という経験をしたママパパも多いのでは?そこで、子どものグズりをイライラせずに対処する方法として「くすぐり遊び」をご紹介します。

子どものグズりは、自律神経のバランスの悪さが原因

子どもの『グズり』は自律神経のバランスが悪くなったときに起こります。」

そう話すのは、身体心理学者で桜美林大学教授の山口創先生。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、それぞれ、活動するとき(交感神経)、休息するとき(副交感神経)に身体の機能を調整する働きがあります。交感神経が優位に働いている時は神経も高ぶり、興奮・緊張した状態に。一方、副交感神経が優位に働いているときは、リラックスした状態です。

この自律神経のバランスが崩れると、小さな子どもは不安を感じたり、機嫌が悪くなったり泣いたりしてグズるようです。


「くすぐり」で交感神経と副交感神経のバランスを整えよう

つまり、「子どものグズリを解消するには交感神経と副交感神経のバランスを整えてあげればよい」ということなのですが、その方法のひとつとして「くすぐり」が有効なんだそう。

「くすぐりには、身をよじってしまうようなくすぐったい感覚=『不快』の要素と、お母さんやお父さんが笑顔で関わってくれる=『快』の要素の両方の側面があります。この相反する2つの要素が自律神経のバランスを整えるのに役立つと考えられます。」

「一般的に、快の刺激に対しては副交感神経が優位になり、不快な刺激に対しては交感神経が優位になります。これらが同時に刺激されると、どちらも強まり、最適な気分状態である『覚醒した状態のリラックス感』が得られるのです。」

また、くすぐられて笑うこと=腹式呼吸をすることは軽い有酸素運動にもなるのだそう。

軽い有酸素運動をすると、運動中は交感神経が優位になりますが、運動後は副交感神経が優位になり、深いリラックス状態になります。つまりそれはグズってバランスを崩してしまった自律神経を整えることになります。また脳にも酸素が運ばれ覚醒状態になりますので、退屈などが原因でグズっている場合は特に有効でしょう。」

くすぐるとグズりがおさまる理由には、このような科学的な根拠があったのですね。


親子のスキンシップにもなるくすぐり遊び

このように、子どものグズりに効果的なくすぐりですが、「やみくもにくすぐるより、遊びの中でくすぐる『くすぐり遊び』がおすすめです」と山口先生。そこで、親子のスキンシップにももってこいな「くすぐり遊び」をいくつかご紹介します。

いっぽんばしこちょこちょ

昔からおなじみの、手遊びの中にくすぐりを加えた遊びです。

  1. 「いっぽんばし こちょこちょ」→指を一本立てた後、赤ちゃんの手のひらをくすぐる。
  2. 「たたいて つねって」→赤ちゃんの手をやさしくたたいてつねる。
  3. 「かいだん のぼって…」→肩の方へ二本の指で歩くように進み、
  4. 「こちょこちょこちょー!」→脇の下など、いろいろなところをくすぐる。

漬物遊び

子どもをキュウリや大根に見立てた遊びです。洗ったり、塩をもみこんだり、切ったりする仕草をしながらくすぐります。

大根漬け
仰向けに子どもを寝かせ、足をさすって「水洗い」、両足をもって左右にゆらして「水切り」など、大根を漬けこむ手順にそって、子どもの体を動かしてふれあいます。最後は「大根一本つけあがり!いただきます」で、全身をくすぐります。

きゅうりができた

  1. 「塩ふってパッパパ」→仰向けに子どもを寝かせ、塩をまく振りをする。
  2. 「板ずりキュッキュキュ」→両方の手の平で左右に子どもを転がす。
  3. 「トントン切ってね」→大人の手を包丁に見立て、子どものお腹を優しくトントン叩く。
  4. 「いただきます」→全身をくすぐります。

ぞうきん遊び

子どもをぞうきんに見立てた遊びです。

  1. 「ラララぞうきん」→頭から足へ子どもの体をやさしくなでる(ここで、くすぐるアレンジを加えると、子どもが喜びます)。
  2. 「縫いましょう」→人差し指で子どもの体をつつく。
  3. 「洗いましょう」→両足を持って腰を左右にふる。
  4. 「絞りましょう」→腕や足を手のひらでギュッギュとつかむ。
  5. 「干しましょう」→手のひらでパタパタとやさしくタッピング。
  6. 「たたみましょう」→両足を持って折り曲げ、伸ばすを繰り返す。

くすぐり遊びをする際の注意点

1.楽しい雰囲気、笑顔でくすぐる

親子で楽しくコミュニケーションをするのが一番大切です。いきなりくすぐって子どもをおびえさせないよう、楽しい雰囲気を作って笑顔でくすぐるようにしましょう。

2.子どもが一番喜ぶ場所を見つける

脇、首、お腹、股、背中、足の裏、など子どもによってくすぐったがる場所が違います。子どもが一番喜ぶ場所を見つけましょう。スキンシップはまんべんなくするのががよいですが、くすぐりは特定の場所のほうが効果的です。

3.適度に加減しながらくすぐる

子どもが笑うからといって、くすぐりすぎると不快な感覚でしかなくなります。笑いすぎで苦しくなっていないか、適度に加減しながらくすぐりましょう。

4.グズりがおさまらない場合は体調不良を考慮

いくら楽しく「くすぐり遊び」をしてもいっこうにグズりがおさまらず泣き止まない場合は、頭痛、腹痛、その他体調不良も考えられますので、子どもの様子をよく見るようにしてください。


なんの道具もなくどこででもできるくすぐり遊び。いろんなアレンジを加えれば、お家の中だけでなく、移動中やお外など、子どものグズり泣きに悩まされる様々な場面で、ママやパパを助ける切り札になってくれるかもしれませんね。

お話を聞いたのは…

  • 山口創先生

    桜美林大学リベラルアーツ学群教授。臨床発達心理士。
    早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。親子や夫婦、恋人同士のスキンシップについての研究を行う。『子どもの「脳」は肌にある』(光文社新書)、『手の治癒力』(草思社)など著書多数。

ライター紹介

青柳直子

ライター暦16年。神戸生まれ・育ち・在住のアラフォー世代。芸能・インタビュー、舞台・コンサートレポをメインに、子育て関連、街取材まで“守備範囲を広く”がモットー。小学1年生の長男、1歳の長女、ヨーゼフ(ハイジの犬)似の夫+猫2匹と、毎日てんやわんやな暮らしぶり。娘が歩けるようになったのを機に、家族キャンプ再デビューを計画中。

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