子どもたちの憧れの職業について、その道のプロからお話を伺い、子どもたちの夢の育みをサポートする『子どもの夢応援企画』。第12回を迎えた今回は、この春AKB48を卒業し、歌手・タレントとして、その活躍の幅をさらに広げ続ける高橋みなみさんにお話を伺いました。

なんとなくオーディションを受けていた子ども時代
高橋みなみさんと言えば、明るく元気な努力家というイメージですが、実は子どもの頃は消極的で、あまり目立つことが好きではなかったとのこと。
「どちらかと言えばおとなしい子どもでした。ただ、母がすごく芸能界に興味のある人だったので、親に連れられていろいろなオーディションを受けに行っていました。でも、当時はあまり自分の意志ではなかったので、ほとんど覚えていないです(笑)。」
歌手になりたい!友達の何気ない一言が夢へのきっかけに

そんな日々を大きく変えたのは、友達の一言でした。
「小学4 年生くらいの時、一緒にカラオケに行った友達に『みなみ、歌うまいじゃん!!』って言われて、その一言で完全に調子に乗りました(笑)。私、歌手になりたいって。それからはなんとなくじゃなく、自分から歌手を目指してオーディションも積極的に受けるようになりました。」
「当時憧れていたのは、中森明菜さん。もともとは母がカラオケで歌っているのを聞いて『いい歌だなぁ』と思ったのが好きになったきっかけです。それからCDで明菜さん本人の歌を聞いたり番組を見たりして、改めてそのすごさを実感しました。アイドルでありながらアイドルらしからぬアーティスト性みたいなものを子ども心に感じて、あんなステキな女性になりたいなって思いました。」
それからは歌手という夢を目指して、いくつものオーディションに挑戦。歌の練習は主に友達と行くカラオケで行っていたとのこと。
「当時、芸能界について全く詳しくなかった私は、何をやったらいいのか分からなくて…。とにかく週に1回は友達とカラオケのフリータイムを利用して7時間ずっと歌っていました。歌うことが大好きだったので苦ではありませんでした。」
AKB48メンバーに!アイドルとしての自分への戸惑い
しかし、オーディションでなかなか結果が出ず、いつしか高橋さんは14歳に。「これが最後!」とお母さんと約束して受けたAKB48オープニングメンバーオーディションで見事合格! ただ、当時は歌手になりたいという気持ちが強い分、アイドルグループの一員としての自分に違和感を感じることも多かったそうです。
「AKB48に入った時は戸惑いしかなかったです…。みんなそうだったと思うんですが、女優になりたい、モデルになりたいというそれぞれの夢があって、その上で集められたメンバーだったので、こんなにチームとして活動するものだと思っていなかったんです。夢も年齢も違う女の子たちが集められたわけですから、最初はなかなか打ち解けられなかったですね。すぐに年の近い子同士でくっついてしまってました。」
ところが、劇場がオープンするとあっという間にそんな考えは一変したと言います。
「実際に劇場の幕が開いてみたらAKB48としてステージに立って、それ以外のお仕事もAKB48としていただくことが多かったので、ここでは個人ではなくチームで戦わないとダメなんだってすぐに気が付きました。」
「毎日劇場公演はMCがあって、チームメンバー同士が本当に仲が良くないと話が盛り上がらないんです。お互いしっかり関わらないといけないんだって覚悟を決めたら、一気に仲良くなれた気がします。」
劇場オープンとMステ初出演が一番うれしかった瞬間
そうしてメンバーが一致団結して頑張ってきたことで、日本を代表するトップアイドルグループに成長したAKB48。「総監督」としてチームリーダーも務めた高橋さんですが、今年2016年4月8日に、AKB48を卒業しました。14歳から10年という時間をアイドルとして過ごした高橋さんに、特に印象深かったことを聞いてみました。
「やっぱり劇場のグランドオープンのステージに立った時はすごくうれしかったですね。あとは、ミュージックステーションに初めて出演させてもらった時も感動しました。あのお馴染みの階段を下りる自分なんて想像したこともなかったので。『あっ、本物のタモリさんだ!』とか、とにかく大興奮でした。」
「逆に辛かったことで言うと、総選挙です。みんなが見ているところであんな風に順位を付けれるのってやっぱり辛かったです。順位が下がったり、付かなかった子は頑張っていないのかって言えば、そうではない。でも自分の順位を受け入れて、それを何とかモチベーションに変えてやっていかないといけないんです。」
「総監督になってからは、総選挙のスピーチに期待されるっていうのもプレッシャーでした。『何かいいこと言うんじゃないか』って。テレビの中継も入ってますし、見られている中で何を残せるのか、そういったものを毎回問われる場でもあったと思います。」
ここまで続けられたのは、やっぱりファンのみんながいたから!

「それ以外にも辛かったことはいろいろありましたが、本気でやめたいって思ったことはなかったです。ちょっと負けず嫌いなところがあるので、『ここで辞めたらラクだけど負けだ』ってどうしても考えてしまって。それに途中で投げ出すのは簡単だけど、それじゃ応援してくれたファンの人たちに申し訳ないって思っていました。」
「AKB48のファンの方たちって本当に不思議な存在で、とても距離が近いんです。ファンというよりは友達に近い感覚。ファンの方もアイドルに会いに来るってよりは、友達に会いに来ている感覚に近いんじゃないかな。何か悲しいことがあれば一緒に泣いてくれるし、うれしいことがあれば一緒に喜んでくれる。」
「AKB48に入って、メンバーという本当にかけがえのない仲間に出会えましたけど、ファンの人たちとも強い絆で結ばれた仲間なんだなと改めて感じます。やっぱりここまで続けてこられたのは、そんなファンの方々の支えがあったからだと思います。」
子どもたちの素朴な疑問に、高橋みなみさんがお答え!
ここで高橋さんに、子どもたちから寄せられた3つの質問にも答えてもらえました。
ほかの人にない、自分だけのアピールポイントは何ですか?
「突発的なコメントの対応力はAKB48で身についたと思います。AKB48はサプライズでの発表事が多かったんですけど、いいサプライズの時も悪いサプライズの時も、マイナスじゃなくプラスに持って行って前向きにコメントする力が付いたかなと思います。」
アイドルはお休みがなく大変なお仕事ですか?

「AKB48のグループ結成当時はお休みがなかったんです(笑)。でも、メンバーが増えるにしたがってお仕事を分担できるようになったので、少しずつお休みも取れるようになりました。AKB48を卒業した今は余裕が出て、一人でお茶をしたり、なかなか行けていなかった人とご飯に行ったりもしています。」
どうしたら歌が上手くなりますか?

「これは私もすごく知りたいです(笑)。でも、歌が好きだって言う気持ちがあればいいんじゃないかなと思います。好きだと、『もっとこうなりたい』とか『もっと上手になりたい』とか欲が出てきます。そうやって自分から興味を持って学ぶからこそ、たくさんのものを吸収できたり、成長できるんだと思うんです。」
充実感が得られる最高の仕事。でもきちんと覚悟を持って
最後に、アイドルや歌手を目指す子どもたちにメッセージをいただきました!
「大変ですけど、自分もやっていて本当にやりがいのあるお仕事だなって思いました。自分たちのライブで笑顔になってくれる人たちを見ると、こんなに充実感のある仕事はないと思っています。ただ、華やかな舞台の裏には、大変なことや、たくさん努力も必要なので、その覚悟を持ってぜひ頑張ってください。」
「あと、私の場合、AKB48に入ってからダンスですごく苦労したので、子どもの頃からしっかりやっておくといいかな、と。ダンスを踊れるとすごく楽しいし、充実感もあるんですよね。リズム感も良くなって、歌の方にもいい影響があると思います。もしチャンスがあるのなら、ダンスは子どものうちからやっておいて絶対に損はないと思いますよ。」
また、高橋さんがアイドルを続ける中で、親のサポートが何よりありがたかったそう。
「夢を追いかける子どもたちのお父さん、お母さんには、ぜひお子さんのケアをして欲しいなと思います。すごく辛い時も、家に帰っておいしいご飯があるだけですごく救われるので。ぜひ温かく支えてあげてください。」
高橋みなみさん、貴重なお話をありがとうございました。『子どもの夢応援企画』第13回は「野球選手」です。お楽しみに!