徐々に気温が上がり「夏の節電」に頭を悩ます季節がやってきました。なるべく電気代を抑えたいところですが、子どもの熱中症も心配…。そこで、All About「家計簿・家計管理」ガイドである二宮清子さんに、日常生活の中で無理せず電気代を節約できるポイントをうかがいました。
電気代がかかるのはエアコン&冷蔵庫!
経済産業省が報告した「夏期最大電力使用日の需要構造推計」(東京電力管内/平成23年)によると、「1世帯あたりの時間帯別電力需要(機器別/14時)」では、エアコンが53%で堂々の1位に。次いで2位は冷蔵庫の23%となっています。

「電気代を節約するなら『エアコン』と『冷蔵庫』を制することが大切。消費電力が大きいこの2つの電化製品の使い方を工夫することで、電気代をグッと節約することができます!」
そう話すのは、All About「家計簿・家計管理」ガイドの二宮清子さん。さっそく、エアコンと冷蔵庫それぞれの具体的な「節電ワザ」をご紹介いただきましょう。
二宮さんが伝授!エアコンの節電ワザ

まずは、消費電力が最も大きい、エアコンの節電ワザから見ていきましょう。
1.帰宅直後はまず窓を開けて換気を
「外出から戻ったとき、部屋の中は蒸し風呂状態です。エアコンのスイッチを入れたくなりますが、まずは窓を開けて家中の空気の入れ替えをしましょう。」
外出中に部屋の温度が上がるのは、家中の家電製品が放出した熱が原因だそう。窓を2カ所以上開けて風を通すことで、室内温度が2度〜3度変わることもあるのだとか。そうして室温を下げてからエアコンを入れることで、エアコンの消費電力を抑えることができます。
2.エアコンと扇風機の併用で効果的に冷気を循環させる
「エアコンをつけてもなかなか涼しさを感じられない時は、扇風機を同時に使えば効果的に部屋中に冷気を回すことができます。」
温かい空気は上へ、冷たい空気は下に行く性質があるので、せっかくエアコンをつけていても、空気の対流がないと、足元ばかりに冷気がたまってしまいます。扇風機を使うと、部屋の空気を対流させることができるので、部屋全体を効率よく冷やすことができるのです。
下に溜まった冷気を循環させるには、扇風機をエアコンが設置されている壁と反対側の壁を向けて置き、冷気が壁を伝って上へ向かうようにするのがポイント。
なお、扇風機の電気代は1時間1円程度なので電気代が極端に上がる心配はありません。設定温度を下げる前に、扇風機の併用を試してみましょう。
ほかにも、天井に設置したシーリングファンとの併用もおすすめだそうです。
3.「自動運転」キープでエアコンの室温検知機能を活用!
「部屋が涼しくなってくると、少々風量を弱めようと風量を『 弱』に変更しがちですが、実はこれはNG。自動運転をキープする方が節電につながる場合が多いです。」
自動運転に設定した場合、エアコンは、室温を設定温度に近づけるために、「強・弱・微」など風量を自動で切り替えます。しかし、手動で風量を設定してしまうと、設定温度以下の室温になっても、「弱」から「微」へと自動に切り替えないため、消費電力を無駄に使ってしまうことにもなるそうです。
4.2週間に1度のフィルター掃除を!
「最近エアコンの効きが悪いな…と思ったら、エアコンのフィルターが汚れていないかチェックしましょう。」
エアコンフィルターに埃がついた状態だと、空気の循環は悪くなります。その状態のまま自動運転に設定すると、常に風量は強めになり、エアコンの消費電力を上げてしまうそうです。節電効果を高めるために、フィルター掃除は「2週間に1度」を目安にしましょう。
二宮さんが伝授!冷蔵庫の節電技

次は冷蔵庫の節電ワザです。夏季だけでなく、年間を通して活用できそうな節電ワザも教えていただきました。
1.保冷ポットなどを活用し、冷蔵庫の開閉回数を減らす
「夏場、頻繁に口にする冷たい飲み物を保冷ポットで常備するなど、冷蔵庫を開ける回数を減らすように工夫しましょう。」
一定の温度を保とうとする冷蔵庫は、扉の開閉による内部の温度上昇によって、消費電力アップにつながります。そのため、冷蔵庫の開閉回数を減らすことが節電につながるそうです。
2.「こまめに買い物」が節電につながる!
「猛暑が続くと外出も億劫で、1回のお買い物でドカッと買い置きをしたくなりがちですが、冷蔵庫に詰め込みすぎないよう、こまめな買い物を心掛けましょう。」
冷蔵庫に食品を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、これが原因で余計な電力が使われてしまうそう。冷蔵庫内いっぱいに食品を詰め込んだ場合と半分だけ保管した場合では、年間約1,000円の差がでます。(※1)
3.冷蔵庫の配置を見なおそう!
「おうちの冷蔵庫、どんな場所にどんな風に配置されていますか? これを見直すのも大切なこと。冷蔵庫は、壁から適切な間隔で設置しましょう。」
冷蔵庫は、内部を冷やすために常に放熱しています。この放熱がスムーズにいかないと、余計に電力を使ってしまいます。目安は、冷蔵庫の側面0.5cm〜2cm、上部5cm〜30cm以上のすき間です。これにより、年間約2,000円節約できます。(※2)
家計をスリムに、その分を家族の豊かな時間に使う
夏場に電力需要が上がるエアコンや冷蔵庫。しかし、このような節電ワザを使えば、少しの工夫で大きな節約につながります。
「電気は快適に生きるために欠かせないものですが、少しの工夫で無駄を省き節約すれば、、その分、子どもとのレジャーや思い出づくりにお金を回せます。また、エコや省エネの意識を子どもに伝える良い機会にもなりますね。ただし、あくまで無理のない範囲で節約することが大切です。子どもは特に暑さに弱いので過度な節電には注意してくださいね。」
なお、エアコンや冷蔵庫が古い場合には、買い替えをすることが最大の節電に繋がるそう。
「毎年、省エネ性の高い電化製品が商品化される日本。最新のエアコン製品は、10年前のエアコンと比較して1割〜2割、20年前のエアコンと比較して5割ほど電気代が安くなるという報告もあります。また、10年前の冷蔵庫を新型に買い替えることで、年間約12,000円もの電気代の節約につながることもあります。」(※3)
もし古い機種であれば、子どもが大きくなり消費電力が増えることを見越して、買い替えを検討してもいいかもしれません。
日常の工夫から、将来を見据えた買い換えまで。猛暑に負けない節電意識でスリムな家計を目指したいですね。
※1 参照:環境省「家庭でできる節電アクション」
※2 参照:東京電力エナジーパートナー「でんきの省エネ術」
※3 参照:環境省「省エネ製品買換ナビゲーション しんきゅうさん」