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子どもの外反母趾が急増中。原因は歩き方にあった!

掲載日: 2016年9月16日更新日: 2016年9月19日野々山 幸

最近、外反母趾(がいはんぼし)を患う子どもが多いそう。大人によくある症状という印象が強い外反母趾ですが、今なぜ子どもにも増えているのでしょうか? 外反母趾の研究、治療を行う外反母趾研究所の代表・古屋達司さんに、その理由や対処法を伺いました。

「ペタペタ歩き」が外反母趾を引き起こす!

外反母趾は、足の親指が付け根から人差し指の方向に曲がり、痛みを生じることもあるものです。

外反母趾の原因といえば、これまでハイヒールや足に合っていない靴を履くことだと思われてきました。しかし、最近では、根本的に外反母趾の原因が見直されていると古屋先生は言います。

実は外反母趾の原因は靴ではなく、『歩き方』なのです。通常人間は、かかとから着地をして、足裏→足の指と順番に地面に接地し、足の指で体重を支えながら地面から離れる、という流れで歩行をしています。ところが、最近では足裏全体で地面に接地して歩くいわゆる『ペタペタ歩き』が大変増えています。」

「ペタペタ歩き」が指の筋肉を退化させ、足の変形につながる

「ペタペタ歩きは、足の裏で接地をするので、足の指に体重を乗せずに歩いています。体重を乗せないと、足の指は『地面に着いて体を支えて歩く』という重要な仕事をしなくなります。すると、広げたり曲げたりという動きをすることもなくなり、足の指の筋肉がどんどん退化してしまいます。」

「筋肉が退化すると、足指の筋肉が衰えて浮き上がる『浮き指』や足の横幅のアーチが崩れて広がる『開張足』、そして、親指の筋肉が縮こまって曲がってしまう『外反母趾』などの足の変形につながるのです。」

ペタペタ歩きは親指のつけ根を叩きつけて歩くので、外反母趾以外にも指のつけ根が膨らんでいたり、親指が反り返っていることもあります。

そして、この「ペタペタ歩き」が今、大人だけでなく子どもにも急増しているそうです。

「パソコンやゲームなど室内遊びが多くあまり歩かない、アスファルトの平らな地面を歩くので足の指を使わなくても歩ける…など、要因はいろいろと考えられますが、子どもにも多くペタペタ歩きが見られます。その結果、幼稚園児や小学生ですでに外反母趾で、親指のつけ根に痛みを訴えるケースもあります。」


健康な足に導く「ゆりかご歩き」とは?

では、外反母趾やその他の足のトラブルに悩むことのない正しい歩き方とは、どんな歩き方なのでしょうか?

足の接地面を、かかとから足裏、足の指へと、ゆりかごの動きのように滑らかに移動させる歩き方、『ゆりかご歩き』が理想です。ペタペタ歩きだと、足裏からドンと接地するので、指のつけ根に大きな負担がかかりますが、ゆりかご歩きなら指の付け根を通過点にして、足の指にもしっかり体重をのせて歩くことができます。そうすることで、足の指の筋肉も鍛えられて、続けるうちに丈夫な足になっていきます。」

注意したいのは、足の指を使う歩き方とは、指に力を入れたり、指を地面で蹴るように歩くわけではないということ。あくまでも、ゆりかご歩きの流れの中で、自然に指に体重が乗ることが望ましいということです。

また、足の動きに合わせて、体の重心を前方に移動させることも重要です。

「ペタペタ歩きの子どもは、重心が後方に残ったままなので、足の指に体重が乗らずに歩いている場合が多いのです。背中を反りすぎると重心が後ろに傾くので、ほどよくまっすぐな姿勢で、股関節からしっかり足を動かして、腰から重心を前方に移動させて歩くように心がけてください。」


「ゆりかご歩き」のチェックポイント

続いて、「ゆりかご歩き」がきちんとできているかチェックするポイントをご紹介します!

ポイント1:かかとから接地している

ペタペタ歩きでは、足裏を一度にドンと接地してしまうので、特に前から歩き方を見るとその違いがよくわかります。

ポイント2:指先が正面を向いている

いわゆる内また、外またの歩き方では体が傾いて、正しいゆりかご歩きはできません。前から歩き方をチェックして指先が正面を向くように改善を。

ポイント3:かかとの上がりが早い

後ろ重心のペタペタ歩きでは、いつまでもかかとが地面に着いています。ゆりかご歩きでは、指先が着いたらそのままの流れでかかとが自然に上がるもの。後ろから歩き方を見てみましょう。


歩き方のクセや足のトラブルは、子ども自身で自覚するのが難しいもの。お子さんの歩き方を見てこの3つのポイントができていない場合は、ぜひ正しい歩き方を教えてあげましょう。

「外反母趾研究所に訪れるお子さんには、ゆりかご歩きが身に付くように、歩き方のチェックをして、どう足を動かすべきかを細かくお伝えしています。歩行を修正することで、外反母趾やそれに伴う痛みを改善できます。」

歩行は一生行うもので、子どもの頃に悪いクセがついてしまうとずっと足のトラブルに悩まされることになります。ぜひ、お子さんの足や歩き方をチェックしてあげてください。」

親が早めに気づいて健康な足に導いてあげたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 古屋達司さん

    外反母趾研究所代表。1992年に三園接骨院(現みその接骨院)を開業し、外反母趾治療に取り組み始める。テーピングだけの治療法に限界を感じ、リハビリテーション医学の観点からアプローチを加え、外反母趾の改善効果を飛躍的に向上。主に「歩き方」に着目し、多くの外反母趾に悩む人々の相談、治療を行っている。著書に『子どものスポーツ障害・外反母趾は「歩き方」で治る!』(メタモル出版)など多数。

  • 「外反母趾研究所」ホームページ

ライター紹介

野々山 幸

1979年生まれ。ライター。芸能インタビューから美容・健康、恋愛、結婚、育児に至るまで、“女性が興味のあること”をテーマに書き続けて早15年。2歳の女の子と0歳の男の子の母でもあり、毎朝5時起床で目まぐるしい日々を送る。今最も知りたいことは、「帰宅して15分で作れる子どもごはんのレシピ」。

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