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五感を使って親子で歩こう!“歩育”のススメ

掲載日: 2016年2月18日更新日: 2016年11月15日佐藤葉月

普段は忙しくて、子どもとじっくり話をする機会を持てないママやパパも多いはず。休日、少しだけ時間をとって親子で一緒にお散歩してみては?「一歩外に出て、非日常を味わいながら歩くことは、親と子のコミュニケーションの場として最適。歩きながらいろんなことを親子で学ぶ“歩育”をおすすめします」と語る、日本ウオーキング協会・専務理事の井上成美さんに話を聞きました。

見て、聞いて、触って…親子で自然の中をお散歩しよう!

「歩くことは脳に良い」と言われていますが、どうしてなのでしょう?

「まず一つは、心拍数が上がったり、足裏が刺激されたりすることで、血流がアップし、脳への血流も増して脳が活性化するとも言われていることです。」

また、リラックスした状態の時に出る「アルファ波」や、アイデアや発想力の源になる「シータ波」など、歩くことは人間にとって良い脳波が現れるのを助けてくれるそう。

そして外を歩くことの一番良い点は、「五感が刺激されることです。美しい花を見る、風の音を聞く、木の葉に触るなど、家に閉じこもっていたのでは感じることのできない体験が、人間の脳を活性化すると言われています」と井上さん。

だから、歩くのはできるだけ自然がある場所が良いのです。

「子どもにとってはもちろん、知らず知らずのうちにストレスを抱えている親にとっても歩くことはとても良い気分転換になるんです」。


子どもを伸ばす「コーチング」と「ティーチング」

しかし、ただひたすら、無言で歩いたのではウォーキングの価値は半減してしまいます。大切なのは会話をしながら歩き、散歩を楽しむこと

井上さんは「親には歩きながら“コーチング”と“ティーチング”を意識してほしい」と言います。

子どもの好奇心を引き出す「コーチング」

「コーチング」は、子どもの興味、好奇心の引き出しを開けてあげることです。
そのコツは、子どもの目線に立つことと、子どもに自ら考えさせる問いを投げかけること

「子どもは好奇心の塊です。子どもが歩きながら『あれは何だろう?』『これに触ってみたい』とまわりを見まわしたり、立ち止まったりするそのペースに、親が付き合ってあげてほしいですね。」

「また、親の方からも『この花はどうしてミツバチがたくさん集まっているんだろうね?』『この大きな木はどのくらい生きているんだろうね?』など、そこにあるものについて子どもに質問をしてみてください。そこで、『どうしてだろう?』と考えることこそが、子どもの力を伸ばすのです。」

子どもに知識を教える「ティーチング」

そしてもう1つの「ティーチング」は、親が子どもに知識を与えることです。

「例えば『これは〇〇という虫だよ』『この花は〇月ごろに咲くんだよ』など、小さなことでも親が知っていることを子どもに教えると、『お母さんすごい!』と尊敬の気持ちが芽生えます。そしてそれが子どもの雑学として蓄積されていくのです。」

このように、“歩育”は、歩く時間や距離ではなく、どのように歩くかが何よりも重要

「毎回、『今日はこれを見よう』『これを知ろう』とテーマを持って歩くと、より楽しく、より意味のあるウォーキングの時間になりますよ。」

ただ目的なく歩くのではなく、親子で同じ風景を共有し、コミュニケーションをとりながら散歩することで、親子の絆を深めることにもつながりそうですね。


子どもと散歩するときに気を付けること

「生まれた時、赤ちゃんの足の裏はとても柔らかいですよね。そして、土踏まずのない真っ平らな状態です。そこからだんだんと指の力が養われていって歩けるようになり、足の裏がアーチ状になってきて、徐々にかかとで地面を蹴って上手に歩けるようになっていきます。」

子どもはこのように、段階を経て歩き方を体得していきますし、幼児の体型は上半身が占める割合が大きく、下半身にかかる負担が大きいので、歩く際には大人がちゃんと気を付けて、無理をさせないようにするのが大切なのだそう。

「歩く時は、まず足裏で衝撃を受け止め、足首へ、ひざへ、股関節へ…というように、徐々に衝撃が和らいで伝わっていきます。まだ十分に足裏のクッションが出来上がっていない子どもは、土の上や芝生の上など柔らかいところを歩くことから始めるのがベストです。」

「また、靴はおしゃれだからという理由だけで選ばずに、なるべく衝撃を和らげてくれるような機能的なものを履かせてあげてください。足裏の外側に体重をかけて歩くとか、内股で歩くとか、子どもによって歩き癖もありますから、デパートなどで靴選びの専門家に相談するのも良いと思いますよ。」

散歩した後に気を付けること

たくさん歩いたら、足のケアをすることも大切です。

「子どもは血液を運ぶポンプの役割をするふくらはぎの筋肉が、十分に発達していません。歩いた後は足裏の血流がアップして火照っている状態です。お風呂などで足裏をマッサージして、クールダウンをすると良いですね」

また、慣れるまではいきなり長い距離を歩くのではなく、少しずつ距離を増やしていくこともポイント。歩くペースも最初はゆっくりからスタートしましょう。

“歩育”のキーワードは“Slow&Stitch(スロー&ステッチ)”。ゆっくり、そしてひと針、ひと針縫うように確実に。子どもと一緒に歩く時間が、子どもの知力、気力、体力や、親子間の共感を育んで、より良い親子関係を築くきっかけになるはずです。」

少しずつ春の日差しが感じられるようになってきたこの季節。
親子で外に出て、おしゃべりをしながらゆっくりお散歩してみませんか?

お話を聞いたのは…

  • 井上成美さん

    一般社団法人 日本ウオーキング協会専務理事。同協会は、子どもから大人までウォーキングを通して心と体の健康を育むことを目的に、ウォーキングの促進及び各種大会・イベントの開催、指導者の養成・認定・登録などを実施している。日本全国にネットワークがあり、毎月様々なウォーキングイベントを行っている。スケジュールなどはホームページをチェック。

  • 一般社団法人 日本ウオーキング協会

ライター紹介

佐藤葉月

宮城県生まれ。タウン誌の記者、ブライダル雑誌の編集者を経てフリーランスに。東京オリンピックを含め、子どもたちに夢を与えるスポーツ関連の記事を書くことが目標。月に1回はライブを見に行く音楽好き。海外一人旅にはまり、アジア圏制覇を目論んでいる。

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