ここ数年で一気に定着したハロウィン。 どんなお祭りなのか詳しくわからなくても、子供たちにとっては当たり前のイベントになりつつあります。そこで今回は、ハロウィンをより楽しめる絵本を、千代田図書館の大塚さんにご紹介いただきます。
ハロウィンをイメージしやすい単語が入っている絵本を

ハロウィンを連想させるイメージには、代表的なカボチャはもちろん、コウモリや魔女など色々なものがあります。子どもは何に興味を持つかわからないので、なるべく多くの切り口からアプローチしてあげることが大切。お祭りの由来やアイテム、仮装など、題材がバラエティに富むように注意して選本すると良いでしょう。
2歳におすすめのハロウィン絵本
パンプキン・ムーンシャイン

(作・絵:ターシャ・テューダー 訳:ないとうりえこ 出版社:株式会社KADOKAWA メディアファクトリー 本体価格:1,200円+税 発行日:2001年10月)
ハロウィンの日、シルヴィー・アンはパンプキン・ムーンシャイン(ジャク・オ・ランタン =かぼちゃで作るちょうちん)を作るために、大きなかぼちゃを探しに出かけます。丘の上でようやく手ごろなサイズのかぼちゃを見つけますが、大きすぎてアンひとりではとても持てません。さて、アンは無事にかぼちゃを家まで運び、パンプキン・ムーンシャインを完成させられるのでしょうか?
<おすすめポイント>
ハロウィンには欠かせない、かぼちゃを中心にお話が進みます。大きなかぼちゃがゴロゴロ転がってしまうシーンは、子どもの笑顔を引き出すことでしょう。かぼちゃちょうちんを作るために適したかぼちゃの選び方や、作り方も学ぶことができます。“パンプキン・ムーンシャイン”という素敵な響きが、子どもの興味をそそることうけあいです。
3歳におすすめのハロウィン絵本
まじょまつりにいこう

(作・絵:せな けいこ 出版社:ポプラ社 本体価格:1,200円+税 発行日:2007年08月)
年に一度、猫だけが招待される「まじょまつり」。どうしても祭りへ行きたいうさぎは、耳を帽子に隠し、猫に変装してこっそりついて行くことに。しかし途中でうさぎであることが魔女たちにばれてしまい…。追いかけられているうさぎを助けてくれたのは、いったい誰でしょう?
<おすすめポイント>
子どもにとってはちょっぴり怖い「魔女」と、楽しい「お祭り」が合体した「まじょまつり」に、子どもの想像はどんどん広がるはず。うさぎが猫に変装する様子は、まるでハロウィンの仮装のようで、子供たちをわくわくさせます。後半の展開では、ハロウィンに加えてお月見のムードも味わえますよ。
4歳におすすめのハロウィン絵本
ハロウィンナー

(作・絵:デーヴ・ピルキー 訳:かねはらみずひと 出版社:アスラン書房 本体価格:1,500円+税 発行日:1998年10月)
胴が長くて足が短いダックスフントのオスカーは、いつもみんなに「ウィンナー」と呼ばれ、からかわれています。ハロウィンの日、そんなオスカーにお母さんが用意したコスチュームはなんと「ホットドッグ」。案の定みんなからばかにされますが、短い足とその衣装のおかげで意外な展開に!
<おすすめポイント>
ハロウィンの楽しいイベントのひとつである、仮装をテーマにしたお話です。オスカーのホットドッグ姿がなんとも可愛らしく、子供たちの仮装への興味を刺激することでしょう。コンプレックスを自信に変えて、最後にはみんなのヒーローになったオスカーの姿は、子どもに勇気を与えてくれます。
コウモリのルーファスくん

(作・絵:トミ・ウンゲラー 訳:いまえ よしとも 出版社:BL出版 本体価格:1,300円+税 発行日:2011年5月)
夜の世界に生きるこうもりのルーファスくんは、あるとき昼の世界に憧れを抱き、眠らずに朝を迎えます。色鮮やかな景色に魅せられたルーファスくんは、自分の真っ黒な体がいやになってしまいます。そこで絵の具で自分の体をカラフルに塗り、飛び立ったところを、驚いた人間に撃たれてしまい…。
<おすすめポイント>
ハロウィーンを連想させる「こうもり」を題材にした作品。夜と昼を「色」の有無で表す斬新さと、メリハリの効いた色使いが子供たちを惹きつけます。自分の体を明るい色に塗り変えるという楽しい発想も見どころ。ルーファスを傷つけたのも助けたのも人間、という人間の二面性も描いています。
5歳以上におすすめのハロウィン絵本
ハロウィーン の星めぐり

(詩:ウォルター・デ・ラ・メア 絵:カロリーナ・ラベイ 訳:海後 礼子 出版社:岩崎書店 本体価格:1,400円+税 発行日:2015年09月7日)
幻想的な詩に合わせて、美しくユーモアたっぷりの絵が描かれた1冊。ハロウィーンの夜空に輝く星座をめぐりながら、ほうきで空を飛ぶ魔女たち。詩は星座と魔女たちのいる空の世界を詠っていますが、仮装した子供たちが家々を周る楽しげな地上の様子が絵で加えられ、互いの世界が響き合うようなハロウィーンの夜が描かれています。
<おすすめポイント>
「星座」と「魔女」と「子供たち」それぞれの目線で楽しめる、3重構造の絵本です。よく見ると魔女がイタズラしていたり、各家のハロウィンのデコレーションがとても凝っていたりと、何度読んでも新しい発見ができます。ストーリー展開とは異なり、詩という短い言葉だからこそ紡ぎだされる、音の響きの美しさを味わえることでしょう。
色々な切り口の絵本を読んでみて、かぼちゃが好きなら「なぜ、かぼちゃを飾るの?」、仮装をしてみたいと思ったら「なんで仮装するんだろう?」など、より深くハロウィンのことを知りたくなるきっかけになると良いですね。
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