今、家庭だけで育児を抱えるのではなく、地域の中で子どもを育てていこうという動きが推進されています。そこで、期待されているのが「こどもパートナー」の存在です。いったいどんな人たちなのか、こどもパートナーの認証を発行している特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所に伺いました。
地域で活躍する「こどもパートナー」ってどんな人?
学校の先生でもなく、保育士でもない、「こどもパートナー」とはどういった人たちなのでしょうか。
「身近なところでは、各学校で行われている『放課後子ども教室』のボランティアさんですね。プレイパークや子どもサークルのスタッフたち、また、児童館のスタッフの方たちの中にもいますね。」とは、「特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所」研究員の小山田さん。
「こどもパートナー」は、意外と身近な存在なんですね。そのボランティアさんたちの中でも「こどもパートナー」は、どのようにして認定されるのでしょうか?
「子どもと関わる人たちが、規定の認定講座を受講して教育支援人材認証協会が発行する『こどもパートナー』の認定を受けています。認証協会は、全国の教育系の20大学、1専門学校、1団体からなる一般社団法人です。地域に根差した教育支援人材の育成と活用を目指して活動しています。」

「特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所では、東京学芸大学を中心とする先生方と一緒に、子どもたちと関わる活動をしている人たちの、今までなんとなく気になっていたこと、コミュニケーションの不安や疑問などをサポートしています。」
「そして、今の子どもたちのことや取り巻く環境のこと、子どもとの接し方など、基礎的知識を学ぶ『こどもパートナー認証講座』を開いて、受講者に認定を出しています。今までに、全国で約6,000人の『こどもパートナー』が誕生しているんですよ。毎年、約1,000人のペースで増えていますね。」
子どもを預ける親としては、子どもとの接し方を学んだ人が身近にいてくれるのは、心強いです。
第3者との関わりで子どもは大きく伸びていく
家庭や学校だけでなく、「地域で子どもを育てていこう」という取り組みの1つが「こどもパートナー」なのですね。「子どもを育てる」知識を持ったボランティアがいれば、親は安心して子どもを地域で遊ばせられそうです。
「今は、核家族や共働き世代が多くなったり、近隣との関係が薄れている傾向にあったりと、子どもが親以外の第3者と関わることが減っていると言われています。そこで、地域で子どもを育てるということが見直されてきているんです。」
「親や学校との関わり合いだけではなく、子どもが伸びていくには他の大人との関わり合いも重要になっていきます。さまざまな年齢、タイプの人と接する中で、たくさんの影響を受けていきます。そういう場を増やすには、『こどもパートナー』の存在が大事になってくるんです。」
そのためには、「親もどんどん子どもを地域に出していくことが重要だ」と小山田さんは話します。
子どもと一緒になって楽しむことが「こどもパートナー」に求められる力
講座の内容はどんなものがあるのでしょうか。難しい教育学や、児童心理学などを学んでいるのでしょうか。
「こどもパートナーは学校の先生ではありませんから、教えるという立場を求められてはいません。子どもにとって、どのような立ち位置で大人が関わることが大事なのか、パートナーとしての役割を学びます。」
「『今の子どもを取り巻く環境』や『子どもと関わりあう力』など、東京学芸大学の教授などがわかりやすく講義してくれます。さらに、子どもの目線に立って子どもの世界を理解するというワークショップも行います。大人が真剣になって、実際に遊んでみるんです(笑)。」

「指導ではなく、一緒に楽しむという関わり方が大事なんです。地域の中に、子どもが楽しみながら、自主性、忍耐力を育てられる場所を作っていきたいのです。」
どうやって子どもとコミュニケーションをとればいいのか、その知識や技能を学ぶのだとか。遊びや活動の中で子どもが自発的に物事を進められるように、サポート役に回ることが求められるんですね。
また、「こどもパートナー認証講座」は子どもに関わる地域の人だけではなく、パパママにも役に立つ情報がいっぱいだとか。
パパやママにも知ってほしい、「すぐに使える!」こどもパートナー講座
「じつは、講義の内容は親にとっても有益な情報ばかりです。子どもへの声掛けの仕方や、子どもの世界の理解の仕方など、家庭の中でも役に立つことが多くあります。私も育児真っ最中の時に聞いておけばよかったと思う内容が多いですね。ついつい親として指導ばかりしていたなぁと、子どもが小さかったころを振り返ってしまいます。先生方は、子育てに遅いということはない!とおっしゃるので、成人した我が子にも実践していますけどね。」
これからの学校のあり方や勉強の概念といった話や、どこの家庭にもある新聞紙を使ってダイナミックな遊びを経験できるなど、育児中のパパママも家庭の中やPTAなどで役立つ情報が多くあります。いろんな角度から「こどもパートナー認証講座」に興味を持つのもいいかもしれませんね。
【平成28年度 「こどもパートナー」認証講座】
開講日:2016年11月27日(日)
時間:10:00〜15:30(二部構成)
場所:松戸市民劇場 第3会議室
内容:第一部 「こどもパートナーとは何か?」「子どもと関わりあう力」
第二部 ワークショップ「新聞紙を使った遊び」
申込方法:codomo@u-gakugei.ac.jp へメールで申込