子どもの足がしっかりとした「大人の足」になるのは、18歳頃。12歳頃に、「大人の足」のほぼ原型ができてきます。それまでの子どもの足の骨はとてもやわらかく、簡単に変形してしまうのだそう。健康な足の成長のために、どんな靴を選ぶべきなのでしょうか?
選び方のポイントや注意点などについて、フットケアの専門家にお話を聞きました。
サイズが合わない靴で足が変形する!?
「子どもの足の骨は、乳幼児期頃まで『軟骨状態』なんです。とてもやわらかいので、簡単に変形してしまいます。だから、成長に適した靴選びが大切なんです。」
そう話すのは、フットケアセラピストの玉島麻理さん。

「じつは、子どもの足はやわらかい上に痛みに対して鈍感。だから、少々きつい靴を履いていても『痛い!』と言うことは、ほとんどありません。ですから、親は合わない靴を履いていても、見逃してしまうことが多いんです。」
足に合わない靴を履いていても、痛いと言わない子どもたち。気づいてあげることは、できないのでしょうか?
「機嫌よく歩いているようなら大丈夫ですが、ちょっと歩いただけで抱っこをせがんだり、歩きたがらなくなる場合は、違和感があるのかもしれません。靴をチェックした方がいいかもしれませんね。」
サイズが合わない靴を履き続けることで、子どもの足にはどんな問題が起こるのでしょうか?
「合わない靴を履くことで、『外反傾向』など足の指が変形する可能性があります。」
外反傾向というのは、外反母趾になる手前の状態。足の親指の骨が、小指側に曲がるような変形のことです。症状が悪化すると、体の不調につながることもありますよね。
「子どもの場合、まだ骨が固まっていないので『外反母趾』と言い切ることはできませんが、放っておくと外反母趾になってしまう『外反傾向』になることがあります。骨の変形を防ぐためにも、足に合った靴を選びましょう。」
歩行や運動不足で「扁平足」に
また、最近は土踏まずがない状態である「扁平足」 の子どもも増えていると言います。
「扁平足は、歩行や運動が少ないことが問題で起こります。土踏まずは、歩くときにクッションの役割をしてくれています。扁平足になると、そのクッションがないまま歩くことになるので、疲れやすくなります。靴が合わなくて子どもが歩きたがらない、ということは避けたいですね。」
子どもの足にやさしい靴選び、ポイントは?
では、靴を選ぶときの具体的なポイントは何でしょうか。
「足のサイズを正確に測ることが、大切です。できれば、足に関する基礎知識と靴合わせの技能を学んでいる専門家、シューフィッターさんがいるお店で測ってもらうのが理想的です。」
シューフィッターのいるお店が近くにないときには、どうしたらいいのでしょうか。
「ママが子どもの足を測ることもできます。たとえば、紙の上でかかとと一番長い指先に印をつけて長さを計る方法や、中敷きを使う方法がおすすめです。中敷きは靴から取り出し、かかとを合わせて足を乗せ、つま先に余裕があるか、横幅があっているかをチェックします。」
測り方のポイント
1 足のかかとを合わせる
2 かかとからつま先の一番長いところまでを測る
3 最適な靴のサイズを割り出す(以下参照)
・14cmまでのベビーサイズは2の測定値+5〜8mm
・14.5cmからのキッズサイズは2の測定値+1cm
※実際に購入する際は、試し履きしてみてください。
「どの測り方にしても、まずかかと部分を合わせるようにしましょう。その際、必ず立たせた状態で測るようにしてくださいね。かかとがきちんと収まっていることで、靴の中で足が不安定になるのを防げます。」

サイズをしっかり測った上で、次のようなことに気をつけて靴を選んでみて、と玉島さんはアドバイスします。
子どもの靴選びのポイント
1 つま先は少し反りあがったもので、細くなっていないもの
2 軟骨状態の足をしっかり支えるために、かかとは固めのもの
3 マジックテープなどで足の甲をしっかりホールドできるもの
「足の甲までホールドできれば、ひも靴でもかまいません。でも、小さなお子さんの脱ぎ履きを考えると、マジックテープのものがおすすめです。」
子どもの靴選び、購入時期にも注意!
ところで、子どもの靴選びをする上で、ほかに注意すべきことはあるのでしょうか。
「気をつけたいのは購入するタイミング。子どもの足はすぐにサイズが変わってしまいます。まめにサイズチェックし、ちょうど良い靴を選んであげましょう。いただきものやおさがりの靴も注意が必要。子どもの足に合わせて選んだわけではないので、履かせる前にきちんとサイズの確認をしてください。」
なお、赤ちゃんの場合は短期間でどんどんサイズが変わるので、ファーストシューズはあまり早めに買わない方がいい、と玉島さん。
「いよいよ公園デビューかな?という直前にサイズを測って購入するようにしましょう。かわいいものを見つけると、ついつい先に買ってしまいたくなります。でも、いざ履かせようと思ったら小さかった、ということもあるので気をつけてくださいね。」
それなら、大きめの靴を買っておけば心配ないのでしょうか?
「足先に余裕を持たせることは大切ですが、大きすぎる靴を履かせるのは良くありません。中で足が滑って、指がつま先に当たり変形することがありますし、なにより歩きにくいので良くないですね。」
健康な足を育てるために
成長とともに、どんどんサイズが変わる子どもの足。どのくらいの頻度で足のサイズを測ればいいのでしょうか。
「3、4カ月に1度は測定するようにしてください。じつは子どもの足は、春から秋にかけてぐんと成長するんですよ。1カ月で4mmから1cmくらい、成長の早い子で2週間に7mmも伸びたケースも。その時期は測定の頻度を増やし、毎月サイズを測ってあげてください。」
また、玉島さんは補足情報として、健康な足づくりにハイハイが重要なことも教えてくれました。

「健康な足の成長には赤ちゃん時期の『ハイハイ』が重要な役割を果たしています。とくに、つま先をよく使う『高バイ』では指先が鍛えられるので、立って歩くようになったときにバランスを崩しにくくなるんです。しっかりハイハイをさせて、歩き始めたら正しい靴選びで足の成長をサポートしてあげてくださいね。」
ぴったり合った靴を履くと、子どもたちも思い切り歩いたり走ったりできます。健康な足の成長のために、きちんと足に合った靴を選んであげたいですね!