イチロー選手や松坂大輔投手など、トップアスリートは、小さい頃に裸足で運動していたり、親が足裏マッサージをしていたりと、足の裏に刺激を受けて育った人が多いそう。そこで、足裏への刺激が子どもの発達に与える影響について、アスリートウェーブ西東京整骨院鍼灸院でトレーナーを務める阿部さんに伺いました。
足裏を刺激することで、運動神経への伝導を早める
そもそも、足裏への刺激と運動能力にはどういったつながりがあるのでしょうか?
「人間の身体は、筋、腱、関節にある受容器から情報を受け取り、感覚神経から脊髄・脳を経由して運動神経に電気的な信号を伝えることで、筋肉を収縮させて動いています。そのため、感覚がはっきりわかれば情報を伝えるのが早くなり、運動神経までの伝導が早くなります。逆に言えば、感覚が鈍ければ情報が伝わるのも遅くなり、反応が遅かったり動きが鈍かったりするのです。」
特に足裏への刺激が大切な理由って?
触覚、圧覚、温度覚、痛覚など様々な感覚がある中で、痛覚、温度覚は感じやすく、特に手掌、足底は痛覚が敏感だそう。歩行など、身体を動かす際に唯一地面に接している足裏を刺激することで、身体全体の動きへの神経伝導が早くなるそう。
「足裏の感覚が鈍いと神経の伝導もうまく伝わりません。足が動くのも遅くなり、躓きやすかったり切り返しが遅くなったりします。」
「試しに目をつぶって歩いてみてください。視覚からの位置情報を閉ざし、足裏の感覚からの情報だけで歩いてみると、ふらついたり直線から反れて歩いていたりします。実体験すると、より足底の感覚がどれだけ重要なのかが分かってくると思います。」
また、足裏にある感覚神経へ働きかけることで、地面の情報をキャッチする接地感覚が磨かれ、バランスを取りやすくなったり、踏ん張りがききやすくなったりする効果も期待できるのだとか。
スポーツの多くは走ったり、跳んだり、足を使う競技が多いもの。運動能力をアップさせるには、足裏を日常的に刺激して感覚を鋭くすることが重要なんですね。
運動能力向上には5歳〜6歳までの足裏刺激が重要
子どもの運動能力アップのためには、いつ頃までが効果的なのでしょうか?
「個人差はありますが、神経の発達が著しい5歳〜6歳頃までに、神経回路へ刺激を与え、たくさんの運動を経験させることは、運動能力向上において大切なこと。幼少期から足裏や足の指を刺激し、感覚を鍛えるようにしましょう。」
20歳時の神経系の発育を100%とすると、生まれてから5歳頃までに80%まで成長し、12歳でほぼ100%に達すると言われています。運動神経を育むためには、乳幼児期が絶好のチャンス。親が環境づくりをしてあげたいですね。
親子で一緒に足裏を刺激しよう
足裏を刺激するには、普段から裸足で過ごすことが効果的だそう。室内だけでなく、公園の芝生や砂場など、屋外でも裸足で歩かせるのが理想的ですが、安全面などを考えるとなかなかそうはいかないもの。
そんなときは親子で一緒に自宅でできるトレーニングがおすすめ。阿部さんに伺った、足裏を効果的に刺激できる方法をご紹介します。
ボールでゴロゴロ
椅子に腰かけ、ゴルフボールなど球状のものに足を乗せる。気持ち良いと感じる位の体重をかけ、かかとから爪先、左右など、足裏全体を使ってボールをゴロゴロ転がす。
タオルギャザー
タオルを用意し、床に広げ、その上に足を乗せる。足の指を大きく広げタオルを引き寄せる。足の指を大きく動かすのがコツ。
キャップ掴み
椅子に座り、床に置いたペットボトルのキャップを足指で掴む。キャップをたくさん用意し、制限時間内にどちらがたくさん取れるか親子で競争しても◎
このほか、足裏マッサージもおすすめとのこと。その際、親指の腹を使ってつまさきから土踏まず、踵まで、やさしく押していくのがポイント。子どもが痛がる場合は、すぐに力を弱めてください。
足裏マッサージは0歳から可能。お風呂上がりや寝る前など、時間を決めて日々の習慣に取り入れたいですね。運動能力アップのためだけでなく、親子のスキンシップやコミュニケーションを取る時間にもなります。まずは、週1回でも良いので始めてみてはいかがでしょう。