便利な紙おむつが主流を占める一方、近年、布おむつが見直されてきています。その理由は「肌に優しい」「ゴミが出ない」などですが、「布だとおむつ外れが早い」という噂もあります。布おむつには、どんなメリットがあるのでしょうか。専門家に伺いました。
布おむつとおむつはずれの良い関係

「紙おむつを使用するママが多数を占める現在ですが、最近、布おむつも注目されていますね。そして、私の実感として、布おむつだとおむつはずれが早いというのは本当だと思います」
そう話すのは、子ども能力開花くらぶ「Tulip friends」の代表で、子育ち支援士として活躍する田宮由美さん。
それにしても、おむつはずれが早まるのはなぜでしょう?
「おそらく、布おむつのほうが、濡れた感触がわかりやすいからでしょう。濡れると気持ち悪く感じる布おむつは、すぐに吸水して排尿後もサラサラしている紙おむつより、排泄の感覚を意識しやすいはず。だから、トイレでの排泄を早めに覚えられるのではないでしょうか」
「排尿・排便の自覚」は、おむつはずれの第一段階。そこを早い段階でクリアできるのが布おむつというわけですね。
「また、『おむつが濡れて気持ち悪い』と不快感を泣いてお母さんに伝えるというプロセスは、脳を活性化させます。そういう面からも、おむつはずれという成長の節目が早くやってくるのではと思います」
なるほど。おむつが濡れる不快感は、赤ちゃんにとって、とても大切な刺激だったのですね。
他にもこんなに! 布おむつのメリット

「おむつはずれが早くなるほかにも、布おむつのメリットはたくさんあります」と田宮さん。
「まず、紙おむつに比べて肌触りが良いこと。それから、おむつ交換に手間がかかるぶん、親子のスキンシップが深まることです」
布おむつの交換時は、子供が動くと大変なので、あの手この手であやしたり、話しかけたりするママが多いそう。それは「結果的に親子のきずなを深める」と田宮さんは話します。
「それから、交換が遅れても持ちこたえてくれる紙おむつと違い、布おむつは濡れたらすぐ取り替える必要があります。そのため、排泄の回数や状態がわかり易く、赤ちゃんの健康状態も把握しやすくなります」
その他、場合によっては紙おむつよりトータルコストが低く抑えられる点や、ゴミの削減につながるのも布おむつのメリットだと言います。
布おむつの使い方って?
紙おむつが主流の現代、「布おむつがいいといわれても、使い方が分からない」というママは多いはず。そこで、田宮さんに、布おむつの使用法をレクチャーしていただきました。
布おむつは30〜40枚準備を
「まず準備です。布おむつは30〜40枚、おむつカバーは3〜5枚用意しましょう。カバーにはサイズがあります。赤ちゃんの成長に合わせて買い替えていってください。また、汚れた布おむつを浸けておくための、フタ付きバケツがあるといいですね」
おむつの枚数は多く感じられるかもしれませんが、「新生児なら1日15〜20回は排尿します。また、少し大きくなってからは二枚重ねで使いますので、最低限このくらいは必要です」と田宮さん。
布おむつには2種類ある
また、布おむつには自分で折りたたむタイプ(さらしを輪になるように縫ってある「輪おむつ」)と、最初から成形したタイプのものの2つがあるそう。
「成形タイプは手間が少ないですが、コストが高くなる、乾きにくいなどの難点も。個人的には自分で折るタイプをすすめます」
今回は輪おむつを例にして、布おむつの折り方・当て方をご紹介します。
【赤ちゃんの月齢別】布おむつの折り方・当て方
新生児
おむつ1枚を折って使います。
・折り方
輪おむつを横長に広げ、縦に1回、横に1回折って長方形に折ります。


・使い方
1.折ったおむつをおむつカバーに乗せてお尻の下へ。

2.股を通しておむつをお腹の上に持ってきたら、おへそのあたりで余った部分を折り返します。

3.おむつカバーで押さえて完成。

なお、「男女で当て方を変えるよう推奨する方もいらっしゃいますが、新生児は1回の排尿量が少ないので、変えなくても問題ないと思います」とのこと。万一、女の子で後ろへのもれが多いと感じたら、背中側を折り返すように当てても良いかもしれません。
3カ月前後〜
少し身体が大きくなり、排泄量も増えてくるので、1回におむつ2枚を組み合わせる「三角折り」での使用がベターです。
・折り方
1枚目(A):輪おむつを横長に広げ、右下と左下の角をそれぞれ上の辺の中央に持っていき、下向きの二等辺三角形の形に折ります。

2枚目(B):長方形の縦のほうが長くなるよう、1回だけたたみます。
・使い方
1.A(下向き二等辺三角形)の中央にB(縦長)を置き、赤ちゃんのお尻をのせます。その状態でBを折り曲げ、男の子は前側を厚く、女の子は後ろが厚くなるように股に当てましょう。

2.Aの逆三角形の両端と頂点をお腹の上に持ってきて、お尻全体を包みこんだら、おむつカバーで押さえます。


3.最後にカバーからおむつがはみ出していたら、きちんとオムツカバーの中に入れ込みましょう。
「必ずこう折る、という決まりはありません。ひとつの参考にしてください」と田宮さん。折るのも、当てるのも、慣れれば意外と簡単にできそうです。ぜひ試してみたいですね。
布おむつの洗い方は?

布おむつで一番厄介なのはお洗濯では?と思いますが、田宮さんは次のように話します。
「確かに洗濯の量や頻度は増えて、ちょっと大変かもしれませんね。でも、汚れた紙おむつをゴミの日まで取っておくよりはニオイも少ないし、清潔だと思いますよ」
気になる布おむつの洗い方も、「排泄物をサッと洗い流してから、洗剤を入れたフタ付きバケツにて漬けておき、ある程度量がまとまったら洗濯機で洗いましょう」と、思ったより簡単! 「漬けておくバケツの中にベビー用洗濯洗剤や重曹を少し入れておくとさらにニオイが抑えられ、汚れも落ちやすくなります」
「注意したいのは、最初の排泄物の処理だけ。うんちはトイレに流してから、布おむつの端を持って水の中で振るように洗う(振り洗い)のがコツ。ゴシゴシ洗って、色素が繊維に入らないように気を付けてください。また、干すときはできるだけ天日干しで。乾いたら、すぐ使えるように折っておくと使いやすいです」
意外と簡単に使えそうな、布おむつ。とはいえ、紙おむつの便利さもやっぱり捨てがたいものです。
「布おむつは赤ちゃん目線、紙おむつはママ目線の存在。布おむつは赤ちゃんの健やかな成長を助け、紙おむつはママの手間を助けるアイテムと言えるでしょう。ですから、おすすめは併用。普段の日中は布おむつで、夜中は赤ちゃんが長時間睡眠できるよう紙おむつでというように、上手に使い分けるのはいかがでしょうか。手軽さが必要な外出時のみ紙おむつを使うのもいいでしょう」
どちらかにこだわらず、それぞれのメリットを上手く利用すればいいのですね!
ライフスタイルに合わせておむつを選んで、おむつ替えも大切な親子のコミュニケーション時間にしたいですね。
★この記事のポイント★
- 布おむつだとおむつはずれが早いのは、濡れた感触がわかりやすいから
- 肌触りの良さ、スキンシップが増えるなど、布おむつにはメリットが多い
- 布おむつは30〜40枚、カバーは3枚〜5枚用意。フタ付きバケツもあると便利
- 新生児は1枚、3カ月前後からは2枚の布おむつを重ねて使用する
- うんちをトイレに流した後、水の中で振り洗いするのが洗い方のコツ