寒い季節になると、赤ちゃんの手足が冷たくてびっくり! 祖父母からは「寒くてかわいそう」と言われる一方、保育園などでは1年中裸足が基本…。果たして赤ちゃんに室内で靴下は必要なのでしょうか? そこで、「はらこどもクリニック」の原朋邦(ともくに)医院長に真偽の程を伺いました。
寒ければ靴下を履かせ、暑ければ裸足にさせる
冬であっても暖かい室内であれば、赤ちゃんに靴下を履かせなくても大丈夫なのでしょうか?
「南北に長い日本列島では同じ時期でも気温が異なります。また、住宅環境によっても室内の温度が違うので、一概にどうとは言えないのですが、大切なのは赤ちゃんが快適かどうか」と原先生。
「マラソン選手が、スタート時点につけていた手袋を途中で外すシーンを見たことはありませんか? 寒い時は手袋をしていますが、身体が温まったら手袋を脱ぎ体温調節をしています。赤ちゃんも同じで、寒ければ靴下を履かせ、暑ければ脱がせれば良いんです。」
手や足は血流が集中していて体温調節能力が高い部位。赤ちゃんも大人と一緒で手足を上手く使って体温調節しています。
マラソン選手は靴下を脱げないので、代わりに手袋で体温調節をしているのだそう。赤ちゃんの場合、暑い、寒いと言うことができないので、親が赤ちゃんの状況を判断してあげましょう。
赤ちゃんの「暑い」「寒い」の目安は?
でも、言葉が話せない赤ちゃんの「暑い」「寒い」の判断はどのようにしたら良いのでしょう?
「セーターを着せよう、帽子をかぶせよう、耳カバーを着けよう、などと同じです。靴下だからと言って特別なことはありません。」
顔色や唇が青ざめている、手足の血色が悪い、震える、体を縮めるようにして泣いているなど、赤ちゃんが寒がっている様子がなければ、無理に靴下を履かせる必要はありません。
「注意して欲しいのは、靴下は下着1枚と同じ効果があるということ。薄着なのに靴下を履かせている、厚着なのに裸足、というのは本末転倒です。」
冬だから室内でも厚着をさせるが、靴下は履かせない、などと決めつけるのは禁物。顔に汗をかいていなくても背中は汗ばんでいることや、逆に元気に遊んでいてもお腹や背中がひんやりしていることも。ときどき背中に手を入れてチェックし、暑いのか、それとも寒いのか確かめることが大切のようです。
就寝中に手足が冷たくても靴下は履かせる必要はない?
冬場などは布団から出ている手足がキンキンに冷えて、その冷たさにびっくりすることなどがありますが、就寝時に靴下は履かせないほうがいいのでしょうか?
「常に足が布団の中に入っている状態であれば、靴下を履かせる必要はありません。足をバタバタしたり、寝返りをうたり、足が布団から出てしまうのであれば、靴下を履かせても良いでしょう。」
とくに赤ちゃんは体温調節機能が未熟なので、手足が冷たくなりやすいそう。一般的には、手足が冷たくても身体が暖かければ大丈夫。背中やお腹などに手を入れて確かめましょう。
また、夜間に暴れて布団を脱いでしまうのが心配な場合には、スリーパーやベストを着せる方法もありますので、こうしたグッズもうまく活用しましょう。
幼児も基本的に赤ちゃんと同じ
「室内で靴下を履くか履かないは、基本的に幼児や小学生も同じ」と原先生。
「常に暖房で温かい室内にいる子どもは、寒さに弱い体になると言われていますが、必ず裸足の方が良いという訳ではありません。実際に室内が寒いのに裸足で過ごしていたら、しもやけになった子どももいます。寒くても我慢させるのではなく、親がきちんと判断してあげましょう。」
元気に動き回る幼児の場合、靴下を履いているとフローリングの床で滑って転ぶ心配があるので、室内で靴下を履かせる場合は、滑り止めのついた靴下を選ぶと良いですね。
赤ちゃんに室内で靴下は必要かどうかの答えは、イエスでもノーでもなく、状況による、というのが専門家の答えでした。こまめに子どもの様子をチェックし、臨機応変に対応してあげることが大切のようです。