若い女性に増加中の子宮頸がん。ママたちからは「検診に行きたいけど、子どもの預け先が…」なんてため息も。でも、そんな人でも気軽に行ける「ママ友検診」という検診スタイルがあるんです。
「ママ友検診」ってどんなもの?

「その名の通りママ友検診とは、ママたちがみんなで子宮頸がん検診を受けられるイベントのようなものです。医療機関にママ限定の頚がん検診の日時を設けていただき、参加希望のママを募集したうえで実施します。」
そう教えてくれたのは、「ママ友検診」の主催団体であるStand for Mothersの広報ご担当の方。病院が通常の診察とは別に用意してくれた枠で、ママだけが集まって検診を受けられるというわけですね。どうしてこのようなアイディアが生まれてきたのでしょうか?
「誰かが発案したというのではなく、『子連れでは検診に行きづらいよね』というニーズが話し合いの中で浮かび上がってきたことによって、企画が動き出しました。」
子連れで検診にいくのはハードルが高い…!
子宮頸がん検診は、職場の健康診断などと一緒に受けられる場合もありますが、通常は、自分で病院に受けに行くもの。しかし、「病院には子どもを見てくれるスタッフがいるわけではないので、診察時に子どもをどうするか、頭を悩ませるママが多かった」のだとか。
「加えて、待合室には病気の方や妊婦さんがいらっしゃるため、病院側もどうしてもお子さん連れの方に配慮をお願いしなくてはなりません。それがママたちの子連れ受診を阻んでいたのです。」
そこで出てきたのが、子連れ限定の検診機会を設けるという、ママ友検診のアイディアだったそうです。
気兼ねしないで受診できる、がママ友検診最大のメリット

普通の受診・検査と比較して、ママ友検診にはどんなメリットがあるのでしょうか。
「最大のメリットは、やはり、子どもを連れて気兼ねなく受診できることでしょう。ママ友検診で待合室にいるのは、検診を受けるママと子どもだけ。自分の子が少し騒いだところでまったく問題ありません。」
また、ママ友検診は参加者同士でみんなの子どもを見るシステムなので、自分が検診を受けるときは、他のママたちが子どもを見てくれるそうです。
こうしたママ友検診の取り組みは、2013年に始まり「日本対がん協会」と一緒に企画・実施する形で、これまでに全国で10回ほど開催されているそうです。単に検診だけでなく、ランチつきの企画や、ワークショップの同時開催もあったそう。
「ママ友検診」参加者たちの反応は?
実際にママ友検診を経験した方からは、どんな声があったのでしょうか?
「全般にポジティブな感想が多数でした。中でも多かったのは、やはり『自分の健康が後回しだったけど、この機会に検診を受けられてよかった』ですね。また、『いつもは病院に行くと子どもが騒いでヒヤヒヤするけれど、今回は受け入れてもらえるので安心だった』、『具合が悪い方がいる待合室に子どもがいると気を遣うが、今回はみんな検診だけのために集まっているので、気楽で良かった』という感想もありました。」
ママ友検診には、イベントとして大勢で参加することで、検診への心理的ハードルを下げる効果もありそうですね。
もっと検診に行ってほしい。そのためにできること

女性のがんの中でも、発症率が高い子宮頸がん。しかし、さまざまな啓発活動がされている現在でも検診の受診率は低いままです。2013年の「国民生活基礎調査」のデータによれば、日本の20歳〜69歳の女性の子宮頸がん検診受診率は40%程度、20代に限った受診率はもっと低く、20%くらいしかありません。
【参照】国民生活基礎調査(※PDFデータ)こうした現状をママ友検診を通して変えていきたい、と広報ご担当者は話します。しかし、残念ながら2017年1月現在、ママ友検診は定期的に開催されていないそう。
「ママ友検診の開催は、『検診に行きたい』というママのニーズと、私たちや病院側の『検診に来てほしい』という思いが重なり合って、初めて実現します。『また開催したい』と言ってくれる病院があれば、いつでも実施する用意はあります。そのためにも、20〜30代のママはもちろん、いろいろな立場の女性に、健康やがん検診への関心を持っていただければと思います。」
子育て中のママががん検診に行くのは、子どものお世話や病院の受け入れ体制など課題が多いもの。今後、ママ友検診のような取り組みが、もっと普及するといいですね!
★この記事のポイント★
- 「ママ友検診」はママたちが協力して子宮頸がん検診を受ける取り組み
- 最大のメリットは、子どもを連れて気兼ねなく受診できること
- 自分が検診を受けるときは、他のママたちが子どもを見てくれる
- 2013年に始まりこれまでに全国で10回ほど開催されている
- 定期開催のために「ママ友検診」の活動を今後もっと広げていこう!