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子どもの頻尿の原因と対処法! 年齢別のトイレ平均回数も紹介

掲載日: 2017年5月22日更新日: 2017年5月22日隈本 昌子

子どもはトイレが近いものですが、なかにはトイレに行ってから30分以内にまた行きたがる「頻尿」の子もいます! お出かけのときに「トイレ!」と言われると親は焦りますが、調べてみると子どもの頻尿の多くは不安やストレスなどの心因性によるものだそう。子どもの排尿トラブルに詳しい昭和大学藤が丘病院小児科の池田裕一先生に、子どもの頻尿の原因と対処法をお聞きしました。

大人よりトイレが近い子ども 「頻尿」の目安は?

子どもは膀胱が小さいため、大人に比べてトイレが近いものですが、そもそもどのくらいを「頻尿」と呼ぶのでしょうか?

「小さなお子さんだと、トイレの回数が多いことは普通ですが、1時間おきに行ったり、行ったあとにすぐ行きたくなったりする症状があれば、頻尿症かもしれません」と池田先生。

子どもが1日に行くトイレの回数は年齢によって異なり、身体の成長に伴って、だんだん減少してきます。生まれたばかりの赤ちゃんは約1時間おきに排尿しており、1日に15回〜20回。1歳〜2歳では2時間おきで8回〜12回、3歳〜4歳では3時間おきで5〜9回が1日の平均的な排尿回数です。4歳以降になると3〜6時間おきと排尿間隔もあいてきて、1日4回〜7回とトイレに行く回数の個人差も大きくなります。

「一般的には、トイレトレーニングが終了し、排尿機能が成熟した4歳〜5歳以降も、トイレの間隔が2時間より短い場合や、1日の排尿回数が8回を超える場合は、頻尿症を疑います」

頻尿が続くと、勉強や運動に集中できなくなったり、夜間たびたび目覚めたりして睡眠不足になり、成長が阻害されることもあります。排尿回数が多く、学校生活に支障が出る状態が2〜3週間続く場合は、医療機関を受診した方が良さそうです。


ストレスや不安が原因の「心因性頻尿」とは?

頻尿は、膀胱などの排尿機能に疾患や異常がなくとも、精神的な要因やストレスが原因で引き起こされることもあるそうです。これを「心因性頻尿」と呼び、幼児では細菌やウイルスが原因で起こる「膀胱炎」についで、多いとのこと。

「頻尿の原因になっている病気の代表的なものは、膀胱炎や尿道炎などの尿路感染症。感染症の場合は、頻尿のほか、排尿時に痛みがある・血尿がでる・発熱するなど、ほかの症状もあるのが特徴です」

一方、「心因性頻尿」の特徴は排尿痛や発熱が見られず、何かに集中しているときや、夜寝ているときには症状がみられないことだそう。

「入学や新学期、試験や発表会など、緊張する場面でトイレが近くなることはどんなお子さんにもみられますが、このような状態が、一過性のものとして終わらず、いつもおきる場合があります。緊張していない時でも頻尿が起こるのではないかという不安や恐怖で、トイレを意識してしまい、頻繁にトイレにいくことで頻尿になってしまうのです」

「心因性頻尿」は精神的な要因やストレスが原因となるので、親のサポートでストレスを和らげてあげることが大切です。

親ができるサポートは?

子どもが「心因性頻尿」の可能性があった場合、親はどのようにサポートしてあげればいいのでしょうか。

「まずは、1日のおしっこの回数と、1回のおしっこの量を記録しましょう。この記録は、病院での診察の際に役立ちます。病院での検査の結果、膀胱や尿道に異常がないことがわかれば、お子さんの膀胱の大きさが正常かどうかを確認する必要があるからです。また、お子さん自身が頻尿を理解し、病気を克服する自覚を持つことにも有効です。ただし、記録をする頻度は週に2日ほど。あまり神経質になりすぎるのもよくありません」

排尿間隔を延ばしていくためには、腹筋や背筋、骨盤底筋を鍛える体操も有効です。過度の緊張やストレスが頻尿の原因となるので、その原因が明らかな場合はなるべくサポートし、トイレを急かさず、失敗してもしからないで優しく見守ってあげましょう

トイレトレーニングやおもらしは、ママにとっては大変なことですが、厳しく叱るとそれがストレスになって頻尿になることもあります。トイトレがうまくいかなかったり、おもらしが続いたりする場合は、まだ、オムツ外しのタイミングではない可能性もあります。そういう時には、一度リセットし、子どももママもリラックスした環境で再度取り組んでみるといいようです。

また、外出時に頻尿が目立つ場合は出発前に「おもらししないでね!」「途中にトイレはないからね!」など、子どもが不安になることを言っていないか注意し、もし子どもが不安がっていたら「途中でトイレ休憩もするから大丈夫」と安心させてあげましょう。


頻尿が続くときは受診を 過活動膀胱や病気の場合も

こうしたサポートを続けてもしばらく頻尿が続く場合は、膀胱機能に問題がある場合が考えられるため、医療機関を受診し、超音波検査などで膀胱や尿道に異常がないかも確認した方がいいそうです。

心因性頻尿似た症状で『過活動膀胱』の場合もあります。過活動膀胱になると、自分がおしっこを出そうと思っていないときに膀胱が勝手に縮んでしまい、それに伴って急に「おしっこを出したい」「我慢できない」「もれそう」という感じが起こるのです。子どもの場合は、膀胱や腎臓など体の機能が未発達なため起きていることが多いとされています。そのため、成長とともに自然と治ることがほとんどです」

このほかに、尿を濃縮する働きをもつ「抗利尿ホルモン」というホルモンの分泌が悪くなり、尿が薄いままたくさん出てしまう尿崩症や、小児糖尿病・膀胱がんなども、ごくまれに子どもでも発症し、頻尿になることがあるそうです。

入園・入学、進級から間もない今は、お子さんにとってもストレスがかかりやすい時です。幼稚園や学校などの環境にも目を配り、サポートした上で、不安があれば病院を受診しましょう。

お話を聞いたのは…

  • 池田裕一 先生

    昭和大学藤が丘病院小児科勤務、夜尿症や小児の排尿障害・腎臓病が専門分野。同病院の「尿トラブル外来」で診察にあたるほか、自ら立ち上げたウェブサイト「おしっこトラブルどっとこむ」で医学的に正しい最新情報を紹介。サイト上では相談や問診票、日誌などのダウンロードもできるので、おしっこのトラブルで悩む方はぜひ一読を。

  • 池田先生が主宰する「おしっこトラブルどっとこむ」

ライター紹介

隈本 昌子

2児の母で、現在は広告の制作・デザインや、雑誌・Web記事の編集・ライティングなどを手がけています。新米ママですが、日頃の悩み・困りごとを解決できることがないか、考えながら勉強しつつ、お役立ち情報をお届けします。

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