赤ちゃんがいる家庭ではマストアイテムになりつつある「抱っこ紐」。ベビーカーのようにかさばらず、身軽に動けるので重宝します。でも、抱っこ紐を使う前に正しい赤ちゃんの抱き方を知っておくとさらにママにも赤ちゃんにも負担が少なくなるとか。赤ちゃんの「抱き方講座」の講師でもある高橋由紀さんに、詳しくお伺いしました。
赤ちゃんは素手の抱っこが一番気持ちいい
「歩けない赤ちゃんと移動するときには、素手で抱っこするのを基本として捉えるのが、赤ちゃんにとってもメリットが大きいんですよ。」と高橋さん。
「赤ちゃんは抱っこされているとき、自分でお母さんに抱きつこうとして足を上げたり腕を回したりしていて、それが身体の力を育てることに繋がっているんです。また、赤ちゃんも、お母さんの顔を見ることが出来たり、いろいろな体勢に変えてもらえるのは嬉しいのではないでしょうか。」
確かに、赤ちゃんが抱っこ紐を嫌がった時に、手で抱っこすると嬉しそうにしていることはあります。でも、子どもが小さいうちは荷物も多く、抱っこ紐なしで移動するのは正直大変です…。
「もちろん、抱っこ紐を否定しているわけではないんです。あくまで補助として考えることを推奨しています。荷物がたくさんあったり、小さな兄弟の手を繋がないと歩けないなど、いろいろな事情に合わせて上手に使ってもらいたいですね。」
抱っこの基本を覚えよう
高橋さんによると、抱っこ紐選びをする前に、抱っこ紐を使わない基本の抱っこやおんぶの仕方を覚えた方がいいそう。なぜなら、この基本の抱っこの高さを基準にして、抱っこ紐を選べば、赤ちゃんにとってもママにとっても使いやすいものを選べるからだそうです。
「基本の抱き方は、お母さんと赤ちゃんの中心が揃うように真正面にします。足がママのウエスト部分巻き付くように。初めは足を支えて絡ませてあげる必要がありますが、慣れてくれば赤ちゃんが自分からやるようになります。片方の手でおしりを支え、もう片方で背中を支えてあげます。」

「おんぶも同じで、体を密着させ、お母さんのウエスト部分に赤ちゃんの足を巻き付けられるようにします。赤ちゃんの頭がお母さんの肩よりも高くなるようにすることが大切です。おんぶ紐を使わない場合は、赤ちゃんを身体の脇から通して背中に回し、身体を少し前に傾けるようにして赤ちゃんを背負います。」
昔の人は普通にやっていたことなのだそう。ただ、自信のない人は無理せず、他の人に背中に乗せてもらったり、慣れるまではおんぶ紐などを使うようにしましょう。

「また、赤ちゃんの脇の下を支えて持ち上げるときには、手を引っかけるのではなく、肩甲骨の下を手で支えるようにして、赤ちゃんの体をしっかり支えます。」

抱っこ紐選びは、赤ちゃんのこと最優先で考えて
「抱っこ紐を選ぶ時には赤ちゃんのことを第一に考えて、できるだけ身体の力が付くようなものを選びたいですね。抱っこ紐を選ぶときには「高さ」がポイントです。素手で抱っこするときと同じように、足がママのウエストあたりに来るものがいいと思います。赤ちゃんが自分で足を巻き付けようと、力を入れられるので、身体の力がつきます。おんぶも考え方は同じですよ。」

上の写真は素手での抱っこですが、このように低い位置だと赤ちゃんの力が鍛えられないそうです。抱っこ紐を装着するときにも、注意点は同じです。特に真夏など、暑いからと緩く装着して赤ちゃんの位置が下がってしまわないように注意したいところです。
一方、腰の位置にベルトを巻くタイプの抱っこ紐は、産後のママの骨盤をむやみに締めてしまい、ゆがみの原因になることもあるそうです。
赤ちゃんをいたわる姿勢が、ママにとってもいちばん疲れにくい
「抱っこは、腰を突き出さないようにすると共に、ママと赤ちゃんの体の中心がずれないことが大切です。おんぶは前屈みにして、背筋を伸ばします。」

また、抱っこによって肩が凝ってしまう人も多いですが、抱く位置が低すぎると肩こりの原因になりやすいとのこと。赤ちゃんと目線が近い高い位置で、母子がぴったりと密着した姿勢が、お互いに一番快適ということなんですね。抱っこ紐も、自然と高い位置になるものを選ぶと、比較的肩こりしにくいそうです。
「抱っこ紐に頼らず、子どもの気持ちに合わせて抱っこやおんぶをしてあげれば、外出先でもぐずることが少なくてママもラク」という高橋さん。インタビュー中ずっと一貫していたのは、「赤ちゃんを第一に考えて欲しい」ということでした。
赤ちゃんの成長はとても早いため、お父さん・お母さんがたくさん抱っこしてあげられるのはほんの数年です。自分の手で赤ちゃんを抱っこすると、赤ちゃんの成長も自分の手で感じられます。正しい抱っこやおんぶの仕方を身につけて、赤ちゃんとのお出かけを楽しめるといいですね。