大事なおでかけやイベントのときに限って、子供が風邪をひくことは子育てのあるあるですよね。楽しい予定が台なしになるだけでなく、家族全員にうつる危険性もあります。
そこで今回は、子育て両立・共育支援事業を行う「エスキッチン」で食育サポーターとして活躍する管理栄養士の川島美由紀(かわしま・みゆき)さんに、日々の食事で風邪を予防するコツとポイントを聞きました。
風邪をひきにくいカラダって?

食事で風邪をひきにくいカラダをつくることはできるのでしょうか。
「食事によって、免疫力を高めることは可能です。風邪など病気になりにくいカラダをつくるには、ウイルスに対する免疫力を高めることが大切です。その免疫力を高めるためには、腸内環境を整える『腸活』が重要になります」

「腸内には、たくさんの細菌があり、善玉菌や、悪玉菌、日和見菌(ひよりみきん)の3種類に分けられます。善玉菌は、食べ物の消化吸収を助けたり、ビタミンの合成や免疫機能を高めたりする機能があります。悪玉菌は、腸内環境を整えるために必要ですが、多すぎると細菌毒素や発がん性物質を産生したり、ガスを発生させたりするので注意が必要です。日和見菌は、健康なときにはおとなしく、体調が悪い時に悪さをする細菌です」

「ちなみに、腸内環境が良い状態というのは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌の割合が、2:1:7くらいの状態のことを言います」
腸内環境を整える食材とは?

では、細菌のバランスを整えて腸内環境を良くする「腸活」には、どのような食事が良いのでしょうか。
「腸内環境を良くするには、善玉菌と善玉菌のエサとなるものを一緒に摂ることが効果的です。善玉菌の中でも乳酸菌は、腸内の腐った菌を抑える働きがあるので、とくにおすすめです」
「乳酸菌を多く含む食べ物として挙げられるのが、発酵食品です。発酵食品には、乳酸菌をはじめ、善玉菌も多く含まれており、発酵食品に含まれる微生物が免疫細胞を活性化させるとも言われています」
【発酵食品の例】
食材:納豆、ヨーグルト、キムチ、ぬか漬け、麹、チーズ
飲み物:甘酒、乳酸菌飲料
調味料:しょうゆ、みそ、みりん、酢など
「また、善玉菌のエサにあたる食物繊維とオリゴ糖は、乳酸菌が働きやすい環境を整えてくれます。食物繊維は、腸内の掃除や便秘予防の観点からも積極的に摂りたい栄養素です」
【食物繊維を多く含む食品】
野菜類(ごぼう、にんじん、芽キャベツ、おくら、ブロッコリー、ほうれん草など)、果物、きのこ類、豆類、海藻、こんにゃくなど
【オリゴ糖を多く含む食品】
野菜類(玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガスなど)、バナナ、大豆

「食品から摂取できるオリゴ糖はごくわずかなので、市販のオリゴ糖シロップなどをヨーグルトにかけて食べるのがおすすめです」
手軽に腸活できる! おすすめの朝ごはん
日頃の食事で、簡単に腸活する方法はありますか?
「腸内環境を整える発酵食品と食物繊維、オリゴ糖を習慣的に食べるには、朝ごはんの際に日課として摂り入れるのがおすすめです。朝ごはんは子供の集中力を高め、良質な睡眠にも関係してくるので、必ずしっかり食べましょう」

「おすすめは、ご飯+納豆+具だくさんのみそ汁の組み合わせです。朝にみそ汁を用意する時間がないという人は、前日に作っておくか、週末に手作りのみそ玉を作って冷凍しておくのもおすすめです。みそ玉は、みそにかつお節や顆粒だし、具材を入れて、1食分ずつ丸めてラップで包んだもので、お湯をかけるだけですぐに食べられます」

「腸活には和食がおすすめですが、洋食の朝ごはんがいい場合は、雑穀や麦が入ったパン+ヨーグルト+温野菜の組み合わせがいいです」
ヨーグルトやバナナなどを使ったスムージーなどもカラダにいいのでしょうか。
「スムージーは忙しい朝に手軽に作られるので人気ですが、腸活にはおすすめできません。冷たいものは腸の動きを悪くし、消化不良の原因になります。朝は常温、または温かいものを摂り入れるのが理想的です」
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乳酸菌は、乳酸菌飲料を飲めば、手軽に摂取できるのでしょうか。
「お腹の調子を整えるために良いとされている乳酸菌飲料ですが、量と飲む時間には注意が必要です。甘い飲み物なので、飲みすぎはNGです。1日1本程度にしましょう。また、飲む時間は、夜より朝が良いです。夜寝る前に飲むと虫歯の原因にもなります。飲んだ後は、歯磨きをするようにしましょう」
日頃の食事から腸内環境を整える発酵食品や食物繊維を多く摂り入れ、免疫力を高めることが風邪をひかないカラダづくりに大切なのですね。しっかりと予防して、楽しい夏を過ごしましょう!