小さな子どもを持つ親の悩みとして多いのが、「寝かしつけ」に関する問題。布団に入ってもなかなか寝てくれない子どもに手を焼いているママやパパも多いのでは?
そんな子どもの寝つきを「食事」で改善する方法があるのだとか。今回は、子育て両立・共育支援事業を行う「エスキッチン」で食育サポーターとして活躍する管理栄養士の川島美由紀(かわしま・みゆき)さんに、子どもの「寝つきを良くする方法」について教えてもらいました。
解決のカギは朝食にアリ!?

子どもの寝つきを良くするためには、まず「朝食」が大切だとか。なぜ、夜の寝つきと朝食が関係あるのでしょうか。
「人間は、起床後14〜16時間後に眠気が訪れると言われています。そのため、朝起きたらすぐに太陽の光を浴び、しっかりと朝食をとって、体内時計をリセットすることが大切です」
「さらに夜の寝つきを良くなるためには、眠りをスムーズにする効果が期待できる食材を朝食に摂り入れるのがおすすめです」
眠りをスムーズにする効果が期待できる食材とは、どのようなものでしょうか。
「人間は、夜になると脳からメラトニンというホルモンが分泌されることによって眠気を感じます。このメラトニンの分泌を促す栄養素を多く含む食材を朝食に取り入れることで、夜の入眠をスムーズにする効果が期待できます」
睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌する栄養素
では、「メラトニン」の分泌を促す栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか?
主な栄養素は2つです。
トリプトファン
体の中で生成することができない必須アミノ酸の一つ。睡眠・精神安定作用を持つ神経伝達物質「セロトニン」を作り、リラックスした状態をもたらします。
トリプトファンを多く含む食材は、牛乳、大豆製品、卵、バナナなど。夜にメラトニンが分泌され眠気を感じます。
ビタミンB6
トリプトファンからセロトニンを作るときに不可欠なビタミン。カツオやマグロ、鮭、などの魚に豊富です。
朝食時にトリプトファンやビタミンB6を多く含む食材を十分に取り入れ、日中は太陽の光を浴びて「セロトニン」を作ることで、夜に入眠を促す「メラトニン」の分泌を促進することができます。

メラトニンを作るためには、乳製品や大豆製品、卵、魚などのたんぱく質をしっかり摂ることが大切なようですね。
忙しい朝でも手軽に食べられるおすすめの朝食メニューはありますか?
「『最低限これだけでも!』というときにおすすめのメニューは、卵かけごはんです。トースト+牛乳コップ1杯や、鮭おにぎり+豆乳コップ1杯なども良いですね」
「最近は朝食を食べない小学生が多く問題になっていますが、朝食を食べる子どもと食べない子どもでは、食べない子どもの方が学力が2〜3割低いとういう研究結果もあります。さらに、体力にも影響してくるので、朝食は必ず食べるようにしてほしいですね」
寝つきを良くするために心がけること

せっかく食材を意識した朝食を食べても、メラトニンの分泌を抑制してしまう場合もあるのだとか。メラトニンの分泌を妨げることなく寝つきを良くするために、ほかに気をつけることはありますか?
食事以外で注意したいことは、次の5つです。
毎日同じ時間に起きて太陽の光を浴びる
人間は太陽の光を浴びてから14〜16時間後に眠気が生じるため、起きる時間はとても大切です。
夜は部屋の明るさを落とす
夜になっても明るい光を浴びていると、メラトニンの分泌が抑制されて寝つきが悪くなります。布団に入る1時間前には部屋の明るさを少し落とすのが理想。白色ではなく、だいだい色の光が良いと言われています。
寝る直前までのテレビやパソコン操作は控える
テレビやパソコン、スマートフォンなどのブルーライトを浴びると、眠りにつきにくくなります。寝る直前はブルーライトを浴びないように心がけましょう。
入浴は就寝1〜2時間前までに済ませる
お風呂上りは体温が高すぎて、すぐに寝ようとしても眠れません。入浴は就寝1〜2時間前までに済ませるのが理想です。38度〜40度前後のぬるめのお湯につかると、体温の下降とともに眠りやすくなります。
寝る前の食事は控える
消化器系が活発に動く就寝前は、たくさん食べ過ぎると体温が上昇して身体が覚醒してしまいます。夕食はできれば寝る2〜3時間前に済ませましょう。
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインも脳を興奮させる作用があるので、寝る前は麦茶か水がおすすめです。
朝食の食材や生活習慣を少し意識するだけで、子どもの寝かしつけが楽になるかもしれませんね。ぜひ記事を参考に、実践してみてください。