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水族館で「へぇ~」親子で話す水辺の生き物雑学5選/サンゴ/イルカ/カエル/ジュゴン

掲載日: 2015年8月10日更新日: 2025年4月26日千谷 文子

「なぜイルカはジャンプするの?」など親子の会話が弾む、水族館の生き物雑学をお届けします。話を伺ったのは、飼育種類数日本一という鳥羽水族館・学芸員の杉本幹さん。分かりやすく興味をそそる解説に、まずはお父さんお母さんが「へぇ〜」となります。

Q.サンゴって岩じゃないの?

A.サンゴ虫という小さな動物の集まりです

カラフルな魚たちが泳ぐサンゴの水槽/写真提供:鳥羽水族館

堅そうで岩のように見えるサンゴ。でも「環境破壊によってサンゴが減少している」なんてニュースも聞くから、生き物なのでしょうか?

「実は、サンゴ虫という小さな動物が集まったもの。皆さんがよく知っている、クラゲやイソギンチャクの仲間なんです。だからよく見ると一つひとつにイソギンチャクのような口があって、小さなプランクトンを食べています」と杉本さん。

さらに驚いたのは、体の中に小さな藻が棲んで植物と同じように光合成をする種類もいて、それがサンゴのエネルギー源になっているんですって! だから光をたくさん浴びられる、浅くて明るい海で見ることができるんですね。

Q.なぜイルカはジャンプをするの?

A.移動や求愛、色々な理由が。体がかゆい時に飛ぶことも!

パンダのような配色のイロワケイルカ/写真提供:鳥羽水族館

「イルカがジャンプする理由はいくつもあります。体がかゆい時や、体に何か付いている時にそれを取るためジャンプ! 外敵から逃げる時にジャンプ! そして、オスがメスに求愛する時にジャンプ!」

なるほど、ジャンプが得意なはずです。特に周りに危険がなくても、水族館のプールで突然ジャンプしたり、船が走ってできる波に乗ってジャンプしたり、遊んでいるように見えることも多いよう。

さてここで、もう一つイルカにまつわる雑学を。実はイルカとクジラは同じ仲間で、体の長さが4m〜5mより大きいとクジラ、小さいとイルカと呼んでいるんですって。「へぇ〜!」

Q.なぜジュゴンは人魚といわれるの?

A.オッパイが人間のお母さんと同じようなところにあるからかも…?

沖縄付近にも生息しているジュゴン。日本の水族館では唯一、鳥羽水族館で飼育展示しているのを観察できる/写真提供:鳥羽水族館

人魚伝説のモデルになったといわれるジュゴン。でも、お世辞にも顔は人魚には見えないけれど…。

「陸地に近い浅い海で海草を食べて暮らしているので、尾びれだけ時々見えることがあったからかもしれませんね。それにジュゴンは人間と同じ哺乳類で、お乳はちょうど人間と同じようなところにあるから、親が子供にお乳をやる姿が人間のように見えたのではないか、とも言われています。」

なんと、授乳姿が人間の母子に見えたなんて! 
ちなみに、ジュゴンは大昔、陸にいた動物が海へ戻ってきたものだそう。ご先祖はゾウの祖先と同じだとか。確かに肌の感じは人魚というよりゾウに似ている?かも。

Q.なぜラッコは冷たい海でも元気なの?

A.8億本の毛が空気をためて保温します

石で貝を割って食べる習性があるラッコ/写真提供:鳥羽水族館

「冷たい海に棲むアザラシやアシカは、よく太って、体にたくさんの脂肪を蓄えていますが、実はラッコにはその脂肪がほとんどないんです」と杉本さん。その代わり、体に約8億本もの毛が生えているのだとか…!

毛と毛の間にたくさん空気をためて保温しているんです。水をはじく毛なので、水中では体全体が光を反射して銀色に輝いているように見えます。」

ぜひ、水中で泳いでいるところを観察してみましょう。

さらに、よく食べることも水中で体温を保つためには必要です。貝やエビ、カニ、ウニなどの餌をいつも探して、食べて、充分にエネルギー補給。ラッコの水槽の前では、しっかり食べることの大切さも教えてあげられそう。

Q.カエルが大合唱するのはなぜ?

A.オスが縄張りを誇示しているため

なんともユニーク!アカメアマガエル/写真提供:鳥羽水族館

田んぼ道を通ると、カエルの鳴き声がよく聞こえてきますが、実は鳴いているカエルはオスだけなのだそう。

オスがメスを誘ったり、他のオスに縄張りを示している声なんです。のどや頬にある柔らかい皮膚の袋を膨らませて鳴きます。」

さらに驚いたのは、鳴き声のバリエーション。「アマガエルは『ケロケロ』とか『ケッケッケッ』と鳴き、ウシガエルはその名の通り、牛のように低い声。世界にはもっとおもしろい鳴き声のカエルもいて、ネコガエルは『ニャー』、イヌガエルは『ワンワン』と鳴いているように聞こえます。ホントです!」と杉本さん。

カエルといえば『ゲロゲロ』鳴くものだと思っていましたが、こんなにバリエーション豊かなんですね…! 鳥羽水族館では『ワン』と鳴くイヌガエルを日本で唯一展示しているそう。ぜひ会ってみたいですね。

まとめ:『素朴な疑問』の数だけ、新発見がある!

最後に、私の素朴な疑問として「水族館の魚が他の魚を食べることはないの?」と聞くと、杉本さんから「クエ」という魚の名前が出てきました。

夜行性の大きな魚で、他の魚が寝ている間に食べてしまうこともあるクエ/写真提供:鳥羽水族館

『素朴な疑問』を持つことは、それだけで優れた才能! だってこうして、思いもよらない新発見につながるから。ここでご紹介した水辺の生き物以外にも、水族館には気になる生き物たちがいっぱい! ぜひ水族館を訪れて、子どもたちの「なぜ?」に、たくさん答えてあげる夏休みにしたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 杉本 幹(すぎもと・みき)さん

    鳥羽水族館の学芸員として、子どもたちの生涯学習や、一般の人への観察会などを担当。また水族館や自然界の生き物を写真・映像に記録。生態調査は広域にわたり、遠くはチリ・マゼラン海峡のイロワケイルカ、北極のイッカククジラ、オーストラリアのカモノハシなども追いかけた。自宅では金魚の飼育係。

  • 鳥羽水族館

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ライター紹介

千谷 文子

1969年生まれ。フリーの編集・ライター。ニッチな温泉エリアのご近所温泉を案内する、『さいたま湯めぐり』シリーズ3冊を出版。それを機にケーブルテレビの番組に温浴ナビゲーターとして出演。インコが頭に飛んできたり、愛犬の寝言に耳を傾けたり。そんな瞬間が幸せな日々。

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