子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

子どもは妖怪好き! 妖怪の力を借りて楽しく子育て

掲載日: 2014年12月11日更新日: 2017年5月16日衣山 泉

幼児が大好きな妖怪は、ママにとっても強い味方!?

「妖怪ウォッチ」のメインキャラクターである「ジバニャン」は、車にひかれた猫の地縛霊だと知って何ともいたたまれない気持ちになった私ですが……それはさておき。アニメ「妖怪ウォッチ」が相変わらずの大ブームです。

しかし「妖怪ウォッチ」に限ったことではなく、今も昔も子どもは妖怪やモンスターなどのオカルト&ファンタジーな存在が大好物。「ゲゲゲの鬼太郎」しかり、「となりのトトロ」、「千と千尋の神隠し」などのジブリ作品しかり。

人間でも動物でもない不思議な存在が登場する物語を前にすると、子どもは目をキラキラ輝かせますよね。

実は、妖怪は子どもたちを楽しませてくれるだけではなく、ママの強い味方になりうる存在だって、知っていましたか? 

妖怪絵本作家であり、2人の男の子のママである いちよんご さんは、いつも姿の見えない妖怪たちに子育てを手伝ってもらっているとか。

「子どもがなかなか寝ない時に『くろだまがくるぞー』とか、おもちゃを片付けない時に『あずきはかりがおもちゃを持っていっちゃうよ!』と言っておどかしています(笑)。子どもの年齢によって効果はまちまちですが、妖怪は何よりもママである私がイライラした状態を抜け出すきっかけをくれるんですよね」

用途別・子育てを手伝ってくれる妖怪たち

「『日本妖怪大全』という本に『あまめはぎ』という、なまけものをこらしめる妖怪がいるんですが、水木先生が描かれたその顔がめちゃくちゃ怖いんです。それで息子が言うこと聞かない時にそれを見せて、『あまめはぎが来るぞぉぉぉぉ』ってすごく古典的なやりかたでおどかしたのが始まりですね。
当時4歳だった息子はかなりビビって、顔は凍りついてました。効果抜群だったので、しばらくは『あまめはぎ』によく登場してもらっていました(笑)。当時は精神的にかなりまいっていた時期で、イライラとストレスを全部息子に向けてしまう余裕のない母親だったんですが、今思えば、その状態から少し抜け出させてくれたのが妖怪だったのかもしれませんね」

「あまめはぎ」は怠け者を食べてしまう、なまはげの親戚のような雪国の妖怪ですが、いちよんごさんには救世主だったようです。そのほか、いちよんごさんを日常的に手助けしているのは例えばこんな妖怪たち。

朝、グズグズしている時 →れんこんぼうず


朝、朝出かける用意をしないでグズグズしていると、「みとーしたたん!」(見通し立たん)と呪文を唱えながら現れる、いちよんごさんオリジナル妖怪。れんこん=見通しがいい、という縁起に由来。

片付けしない時 →あずきはかり

昔からいるとされる妖怪で、天井裏であずきを量っているという。いちよんごさん的解釈では、部屋を片付けずに散らかしていると、天井から手が伸びてきて、落としたあずきと間違えて持って行ってしまうとされる。

トイレットペーパーがだらしない時 →べんじょみいら

トイレットペーパーが長くだらーっと垂れていると現れる。トイレットペーパーをクルクル巻いてミイラになるユーモラスな妖怪。

爪を噛む時 →つめ男爵

爪を噛みすぎてちぎれてしまった指の妖怪で、子どものツメをステッキに集めている。子どもが爪を噛んでいると現れて、爪を持って行ってしまう。

オリジナル妖怪を創作するコツとは?

このように、子どもの生活リズムや行動パターンに合わせてオリジナルで妖怪を創作したり、古典的な妖怪をアレンジしているんだそう。

妖怪創作のコツは?

こんな時に妖怪に出てきてほしいな……って考えるうちに、連想で決まっていくことが多いですね。
例えば…「つめ男爵」は、爪を噛むのをやめてほしい→子どもたちの爪を集める妖怪がいたらおもしろい→爪がほしいので礼儀正しい紳士の姿で近づいてくる→爪を集める男爵→爪を噛み過ぎてちぎれた指が化けた妖怪、みたいな感じです(笑)」

なるほど。いちよんごさんを見習って、私もさっそくオリジナルの妖怪を創作、召喚させてみました。泣きわめく3歳の娘に「泣いてばかりいると『妖怪なみだばばあ』が涙をなめに来るよー!」と……。ちなみに「妖怪なみだばああ」のベースは「アミダばばあ」(by『オレたちひょうきん族』)です。娘はというと、意味が理解できず、ポッカーンでした。3年の生涯において妖怪というものを見聞きしたことがないわけで、当然と言えば当然……。子どもの年齢によっては先に妖怪教育が必要なようです(しみじみ)。

イベント参加者の中には妖怪目撃者も

いちよんごさんは、新旧の妖怪を集めて「子育て妖怪かるた」を作り、地域の子どもたちと遊ぶ活動もしています。妖怪の話をすると、子どもたちは怖がりながらも興味津々で聞き入るんだそう。

「妖怪はとらえどころがなく、さまざまな物に姿を変えたりもします。それが怖くもありおもしろいんですよね。妖怪について話をした後にかるた大会をするんですが、みんな真剣! 3-5歳ぐらいだと絵を見て怖がって泣いてしまうこともありますが、なぜか最後は自分で取った札を大事そうに抱えているんです。

自分で取った妖怪には愛着がわくみたい(笑)。子どもたちには『妖怪が出てくるから○○はしちゃダメ!』など、押し付けがましいことは言わないよう心がけています。ふとした時に、『あ、妖怪ってこういうところに出てくるのかな』と考えるきっかけになればいなと。」
妖怪の、不気味で恐ろしいけれど妙に人間くさくてユーモラスな面や、「もしかしたら近くにいるのかも?」と思わせるところが、子どもたちを魅了し夢中にさせるのでしょう。 いちよんごさんによると、かるた大会では「(妖怪を)見たことあるー!」「おかあさんがときどき鬼になるー!」など、いろんな意味でスルーできない発言をする子もいるそうです。もしかしたら子どもには本当に妖怪が見えるのかもしれません、おもちゃを持って行ってしまう「あずきはかり」や、つり上がった目で叱ってばかりいる「ママ妖怪」が…。

お話を聞いたのは…

  • いちよんごさん

    1978年生まれ、奈良県出身、東京都在住。9歳と0歳の男の子を育てる妖怪大好きママ。「境港妖怪検定」中級。子育てを機に妖怪絵本を作り始め、2012年に妖怪かるた大会を企画・初開催。寝ない子の元気を吸い取る妖怪「くろだま」の物語はウェブ上で無料配信中(Google Play)

ライター紹介

衣山 泉

幼稚園児の娘、フリーライターの夫、2匹の愛猫と福岡在住。旅行も外出も大好きだが、平日は娘のお迎え以外はほぼ家にこもりっぱなしのインドア派なので、体力が追いつきません。ほしいものは、タフな体。余力のある週末には日帰り温泉や蚤の市、焼き物の里めぐりに出かけています。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事