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今年の「中秋の名月」は満月じゃないって本当?

掲載日: 2015年9月18日更新日: 2018年9月4日飯田友美

2015年の「中秋の名月」は9月27日。この「中秋の名月」は必ずしも「満月」とは限らないということ、ご存知でしたか? そしてどうしてススキやお団子をお供えするのでしょうか。そんな「中秋の名月」の由来や楽しみ方を、日本文化にまつわる書籍を多数執筆されている文筆家、広田千悦子さんに伺いました。

※2018年の「中秋の名月」は9月24日、「満月」は9月25日です。この同様の現象が起こります。

そもそも「中秋」って何? なぜお月見をするの?

大気が澄んで空気中の水分が少なくなるこの頃、夜空に輝く、とてもきれいな月を見ることができます。そもそも、この「中秋の名月」とはどういう行事なのでしょうか。


中秋とは、旧暦の8月15日のことで、現代の暦だとだいたい9月から10月ごろ。中秋のこの日にお月見をする『中秋の名月』の由来は全国さまざまですが、一般的なのは中国の『中秋節』の風習と、日本古来の収穫の祭りが合わさったものという説です。中国では、この日に月を愛で、歌を詠むという慣わしがあります。」

「日本では、この『中秋節』を元に、平安時代の貴族の中でお月見ブームが起こり定着し、現在もその風習が残っているようです。竹取物語で8月15日にかぐや姫が月に帰るのも、この流れなのでしょう。」

当時は電気などなかったため、夜道は月明かりだけが頼りだったそう。昔の人が月に注目したのは、その明るさも大きな理由のひとつでしょう。暗闇を探すのが難しい現代では、空に月があることのありがたさは実感しにくいですよね。お月見をしながら、昔の人の生活に思いを馳せてみるのも楽しいかも。


「中秋の名月」=「満月」ではない

お月見はきれいな月を見るのが目的なので、「中秋の名月」は満月だと思い込んでいたのですが、実は満月とは限らないそう!


毎年、中秋の名月の日が満月というわけではありません。というのも、新月から満月までの間が必ず15日とは限らないからです。今年の中秋の名月は9月27日ですが、満月になるのは翌日9月28日。ちなみに次に中秋の名月がちょうど満月になるのは、2021年です。」

満月ではないと言ってもほんの少しズレているだけなので、ほぼ満月、といったところでしょうか。これまで毎年満月と信じていたほどなので、その違いは微々たるものなのかも…?

ススキやお団子をお供えする理由

お月見といえば、ススキとお団子を飾るのが定番ですが、どうしてこれらを月にお供えするのでしょうか。

「ススキやお団子以外にも、月にお供えをするものは全国さまざまなのですが、
その時期に収穫を迎えるものをお供えすることが多く、無事の収穫を祈り、恵みに感謝する意味があると言われています。」

  • ススキ

その形が稲穂に似ているということから、お供えすることで「これから収穫を迎える稲の豊作を祈る」「収穫に感謝する」「月の力をかりる(背が高いので)」などの意味がある。

  • 月見団子

中国では、昔の主食である里芋の形に似せた丸い団子をお供えして収穫に感謝していたことから。また、丸いものは家族円満になるようにとの祈りの形でもある。他にも、丸い形が月に似ているなどの理由から。

お月見の代名詞ともいえるススキとお団子には、それぞれに意味があり願いが込められていたのですね。そしていずれも、稲穂や月に見立てて飾られたもの。日本人は昔から何かを何かに「見立てる」のが好きだったことがわかりますね。


子どもと一緒に月見団子を作ろう!

広田さんによれば、お供えのお団子は自宅でも特別な道具もいらず、意外と簡単に作れるそう。この機会に子どもと一緒にお団子を作ってみるのもいいですよね!


お子様と一緒にということでしたら、簡単で手軽にできる白玉粉を使うのがいいでしょう。ゆでるので、蒸し器を用意する手間もかかりませんから。かぼちゃを練りこむと、黄色い月のようなお団子ができますよ。」


お供えするときのお団子の数は、十五夜にちなんで15個、または一年の満月の数である12個か13個です。飾り方は15個の場合は1 段目が3個×3列、2段目が2個×2列、3段目が2個。13個の場合は1段目が3個×3列、2段目が2個×2列となります。」

簡単! かぼちゃだんごの作り方

材料(15個分)

・マッシュしたかぼちゃ……50グラム


・白玉粉……100グラム

作り方

  1. マッシュしたかぼちゃと白玉粉を混ぜる。
  2. 少しずつ水を入れながら、耳たぶくらいのやわらかさになるまでこねる。
  3. 直径2cmくらいにまるめ、沸騰したお湯に入れる。
  4. 浮き上がってきたら、さらに1〜2分ゆで冷水にとる。
  5. さめたら水気を切る。

お月様そっくりの、かわいいお団子の出来上がりです。お月見の由来やお供えの意味など、子どもと話しながらお団子を作ってみましょう。

正しい飾り方はある?

お団子とススキの準備ができたら、あとは飾るだけ。飾り方に決まりはあるのでしょうか。

「一般的には『月の光の当たるところに飾る(外、窓際、縁側など)』『月から見て左が自然のもの(ススキ)、右が人の手が入ったもの(お団子)』と言われています。とは言っても、現代は生活スタイルも多様化しています。お月見も、地域によってさまざまな風習がありますので、絶対こうしないといけないと考えすぎずに、由来を知った上で、自分の暮らしに合わせた好みのものを取り入れていくのがいいのではないでしょうか。せっかくのお月見ですから、ゆったりとした気持ちできれいな月を楽しみましょう。」

今は昔と違って情報が手に入りやすい分、様々な情報に振り回されてしまいがちですが、お月見をする由来を知って、それぞれに合った形で自由に、そして柔軟に行事を楽しめるといいですね。

お団子などのお供えものは、もちろん食べてOKです。今年の中秋の名月は、それぞれのご家庭に合った楽しみ方で、きれいな月を眺めてみてはいかがでしょうか。

※参考書籍

お話を聞いたのは…

  • 広田千悦子さん

    文筆家。日本の文化・歳時記研究家。うつわ・ことば・絵の作家。新聞や雑誌などでコラムと挿絵を連載中。企業アドバイザー。メディアなどに多数出演。著書は『くらしを楽しむ七十二候』(アースエンターテイメント)、『ほんとうの和の話』(文藝春秋社)、『口福だより』(小学館)、『美味しい! 日本のくらしと七十二候』(新潮社)、『七十二候で楽しむ日本の暮らし:角川ソフィア文庫』(角川学芸出版)など多数。『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)はロングセラー。

  • 広田千悦子さんのホームページ

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ライター紹介

飯田友美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。好きなものは猫とパンダ、趣味はライブに行くこと、お芝居を観ること。杉並区在住。2児の母。

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