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最近の公園遊具はこんなに進化している!

掲載日: 2015年9月1日更新日: 2016年11月15日畑菜穂子

すべり台やブランコなどのスタンダードなものから、ひとつの遊具で数パターンの遊びができる複合タイプまで。近ごろの公園遊具はバリエーションも豊富で、大人が見ても楽しそうなものが増えています。遊具のトレンドや安全性はどう変化しているのでしょうか。1939年創業の老舗遊具メーカー、日都産業で遊具デザインを手がける小林原生(げんき)さんに聞きました。

限られた敷地を活かした「コンビネーション遊具」

画像提供:日都産業

近ごろはすべり台やうんていなどが一体型となったコンビネーションタイプの遊具を多く見かけるようになりました。いつ頃から増えてきたものなのでしょうか。

「大型のものは古くからあったものの、敷地の広い公園に限られていました。身近な公園に増えたのは、30年ぐらい前のバブルの頃からだと思います。弊社も所属している『日本公園施設業協会』から遊具の安全規準が策定された2002年以降、老朽化した遊具の入れ替えでコンビネーション遊具がさらに増えている状況です」(小林さん)

国土交通省の指針を受けて作られた安全規準では、遊具の安全領域というものが設定されました。遊具から約1m80cm以内には、障害物となるものも置いてはいけないというものだそうです。

「単体のものをいくつも置かなくても、複数の遊具が合わさった『コンビネーション遊具』をひとつ置けば、さまざまな遊びができます。敷地の狭い都市部のような、限られたスペースの公園ではとくに重宝されているみたいですね」(小林さん)

単体のすべり台やブランコといった「スタンダード遊具」には及ばないものの、設置数は年々増えているそうです。


それぞれの年代が楽しめる、ゾーン分けが新たなトレンドに

画像提供:日都産業

小林さんが今後のトレンドになるだろうと考えているのが、年代別に楽しめるようエリア分けされている遊具です。新たに開発された「りぐりぐ」という遊具は、1歳〜3歳の乳幼児を対象にしています。

「つかまり立ちができるカウンターや、はいはいでも上れるスロープなど、乳幼児の発達に合わせて遊べるように作られています。また、敷地の広さや形に合わせてレイアウトが変えられるようになっており、そこが乳幼児専用のスペースになるので、安心して遊ばせられます。」(同)

大きい子どもとぶつかってケガをする心配もなく、乳幼児も保護者ものびのびと遊ぶことができそうです。

保護者が見守りやすいように、柵や日よけ付きのベンチがセットなのもポイントです。子どもが楽しめるのはもちろん、お母さんたちが育児について話し合えるような交流の場にしたいという思いがありました。」(同)

フェンスにはカバンがかけられるフックが付いているなど、ママへの配慮もされています。一方、小学校高学年くらいの子ども向けには、少し刺激のある遊具を開発したのだとか。

画像提供:日都産業

「アスレチック要素を重視した『わんぱく!』というシリーズです。とくにおすすめの遊具は『カイトレール』。滑車のついたロープにつかまり、円状のレールに沿って回ります。レールがアップダウンしているため、独特な動きをするのが特徴です」(小林さん)

公園での事故の影響もあり、アクティブな動きが必要とされる遊具は、ここ10年くらいで減ってきているそうです。この『わんぱく!』シリーズを作った背景には、児童の公園ばなれや体力低下に歯止めをかけたいという考えがあったと小林さんは言います。


公園遊びによって養われる能力は?

遊具で遊ぶことは、子どもの身体面での発達を促すことにもつながるそうです。

「遊具によって培われる能力はさまざまです。まず遊具で遊ぶことによって、体力がつくのはもちろん、危険への対応能力も身につきます。ブランコをこぐという動作ひとつをとっても、最初からできるものではありません。最初は一人で座ることもできないと思いますが、揺れに合わせる体の重心移動を身につけることで、こげるようになります。また、すべり台は、すべる時に、安全な速度調節やバランス感覚をやしなうことができます。」(同)

気になる安全性も進化している

ところで、子どもを伸び伸びと遊ばせたいものの、気になるのが遊具の安全面です。普段何気なく遊んでいる遊具には、じつはさまざまな配慮がされています。

「基本的な安全対策は、各社それぞれの基準に応じて行っています。例えば、基本的なことで言えば、指を挟むおそれのあるすき間や、洋服を引っかける可能性のある突起物をなくすといったことです。わたしが遊具をデザインする際に特に意識しているのは、年齢や体の成長に合っていない遊具を使って、怪我をしてしまうこと。高いところで降りられなくなってしまったり、大きい子とぶつかってしまったりというようなことが起こり得ます。そのような事故を防ぐために、はしごの段差や大きさを変えるなど、小さい子が簡単に上れないような対策もしています。」(同)

遊具の安全性をささえているのは、デザインだけではありません。使われる素材も変化しているようです。

「素材を鉄製から柔らかいプラスチック製に変えるなどして、子どもが遊具にぶつかったときの衝撃を和らげるような工夫をしています。木材にゴムカバーをつけただけだったブランコの座面は、現在は衝撃を吸収するゴム成形品を使用。また、頭や顔をぶつけやすい、すべり台のすべり面や階段の裏側には、角をなくす加工を施しています。」(同)

ただし、いくら安全面で配慮がなされているとはいえ、子どもを公園で遊ばせる際には、保護者がしっかりと側で見守ってほしいと小林さん。

「遊具ごとに対象年齢が設定されているので、年齢に合ったもので遊んでもらうのはもちろん、体力や能力には個人差がありますので、子供の成長に合わせて遊ばせて下さい。また、実際の年齢よりも大きい子の遊具を使う場合には特に、そばでしっかりと見守ってほしいです。」(同)

遊具の安全性は保障されているものの、子どもはいつどんな動きをするかわかりません。親がしっかりとサポートをしながら子どもの「できる」を伸ばしてあげるのがよさそうです。

お話を聞いたのは…

  • 小林原生さん

    日都産業 羽村工場 技術部 デザイン課 課長。遊具の開発などに携わっているほか、「JLAU(ラウンドスケープアーキテクト連盟)」と「プレーパークせたがや」とのセミナーに参加するなど、よりよい公園づくりを目指している。

ライター紹介

畑菜穂子

1979年生まれのライター。研究テーマは1980年代の子ども番組「パックンたまご!」とおかっぱ男子。食欲旺盛な2歳の娘を連れて行ける、おいしいごはん屋さんに目がない。雨の日の家での子どもとの過ごし方を模索中。

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