子どもの友だちと接する時に自分のことを何と呼びたいですか!?「いこーよ」で読者アンケートを行った結果、最も多かった回答は「おじちゃん」「おばちゃん」でした。スタンダードな呼び方ではあるものの、なかには使うことに抵抗がある人もいるそう。自分の気持ちと折り合いをつけながら子どもにとっても不自然でない呼び方をするにはどうしたらいいのでしょうか。コラムニストの石原壮一郎さんに解決策を聞きました。
子どもの友達に対して自分のことを何と呼びたいかについて、まずは「いこーよ」読者にアンケートをとってみました。
結果を見ると、やはり「おじちゃん」「おばちゃん」が多数派に。ついで「●●ちゃんママ、パパ」が多いという結果になりました。
その他を選んだ人に、具体的な呼び方を聞いてみたところ、「自分の名前」というストレートな回答もあれば、「あだな、ニックネーム」「あえて主語を言わない」などの回答も。
そこで、この結果をふまえてどんな呼び方をするのがいいのか、コラムニストの石原壮一郎さんに聞いてきました。
「子どもから見れば、自分が仮に20代であっても相当な年上にあたります。本人がどう思おうと『おじちゃん』は『おじちゃん』、『おばちゃん』は『おばちゃん』でしかないんですよね」
「おじちゃん(おばちゃん)」の領域に足を踏み入れられずにいる人にとっては、耳の痛い意見です。アンケートでは「ぼく(わたし)」や「名前を呼ばない」などの回答もありました。どちらも「おじちゃん(おばちゃん)」を回避するための苦肉の策のようにも感じられます。
「自分のなかで、小さなたたかいを繰り広げているんでしょうね。言霊というものがありますから呼び方によって老けたと感じてしまうのであれば、使わなくてもいいのかもしれません。ただ、子どもを産んで育てるということは、『おじちゃん(おばちゃん)』呼ばわりを受け入れることでもありますよね。『おじちゃん(おばちゃん)』は、そういった人生経験をつんだ人にふさわしい呼び方。ぼくはむしろ年長者に敬意をはらった名称だと思っています」
年を取ることへのネガティブなイメージが「おじちゃん(おばちゃん)」の言葉の意味を悪くしているのかもしれません。
「孫に対して『おばあちゃん』と呼ぶことに抵抗がある人もいるくらいですからね。『グランマ』や『ちえこさん』のように別の呼び名でごまかすパターンです(笑)。『おばあちゃん』と尊敬の気持ちを込めて呼ぶことで、高齢者への敬意の気持ちも育まれると思います」

「たくさん使って抵抗感を薄めるといいのではないでしょうか。『おじちゃん(おばちゃん)』という呼び方が比較的よく使われている小さな子どもを持つお父さんお母さんの世界からスタートするといいと思います。まずは『おじちゃん(おばちゃん)』が実はいい呼び方なんだと自分にたたきこみ、自ら進んで使ってしまいましょう」
しかし、「おじちゃん(おばちゃん)」のよさについて自分自身の頭では理解できたとしても、気になってしまうのが周囲の反応。ママ友グループの中で自分だけ「おばちゃん」と呼びはじめるのはハードルが高そうですが…。
「いつかは通らないといけない道だと思うので、先鞭をつけるところを楽しむのもいいかもしれません。『●●ちゃんママが自分のことをおばちゃんって言っている! あの人が先駆者になってくれたから、わたしも言えるわ!』というような感じになるといいですよね(笑)」
実は、自分では「おばちゃん(おじちゃん)」に抵抗感は無いのに、周囲の目が気になって使えないというケースもありそう。そんな時には、グループの中の誰か一人が先駆者になると、そのグループの中で「おばちゃん(おじちゃん)」が、マイナスイメージ無く使えるようになりそうです。
「子どもを通してのつながりだと、親同士の職業や社会的な地位は関係ないものです。『●●ちゃんパパ(ママ)』というのは、その中で生まれた生活の知恵だと思います。実は相手を呼ぶ時にも便利なんですよね。『●●ちゃんママ』から名前に呼び方を変えることで、『もっと仲良くなりましょう』というメッセージを伝えることもできそうです」
「●●ちゃんパパ(ママ)がやってあげようか」と話しかけることで、子どもの友だちに対しての自己紹介の役目も果たしてくれそう。一方、自分のアイデンティティを大事にしたい人にとっては抵抗がある呼び名でもあります。
「例えば保育園や幼稚園だと親子がセットで見られるのは当たり前です。少し引っかかるものがあっても便利だから使おうという心持ちでいるくらいがちょうどいい。子どもの付属物として見られることがいやなら無理に使う必要はないと思いますよ」
「マイナスイメージの強い『おじちゃん』『おばちゃん』ですが、実は若さに執着しない、大人としての余裕のある自分を演出することができます。『●●ちゃんパパ』『●●ちゃんママ』は、子どもにもわかりやすいうえに周りとの調和も考えている呼び方。輪を大事にする自分をアピールする呼び方ですね」
どちらの呼び方も、多少の抵抗感を感じる人は多そうですが、そんな時、気持ちの折り合いをつけられる効果がありそうです。そして、もうひとつ心に留めておきたいことは、無理をしてまで使わなくてもいいということ。
「どうしても『おじちゃん(おばちゃん)』や『●●ちゃんパパ(ママ)』に抵抗感を感じるなら、あえて主語を言わなかったり、『私』『僕』などで通してもいいんじゃないかな(笑)。大人が考えているほど子どもは呼び方なんて気にしていないかもしれませんからね(笑)」
これを機に、おばちゃん(おじちゃん)への扉をあなたも開いてみませんか? 意外と慣れてしまうと心地よいかもしれません。
おじちゃん、おばちゃんに抵抗感がある人も多数

Q.子どもの友だちに対して「おばちゃんがやってあげるよ」などと、自分自身のことを、おばちゃん、おじちゃんと呼ぶことに抵抗感がある、という声がありますが、自分のことを何と呼びたいですか? 以下から1つを選んで下さい。
- おじちゃん、おばちゃん 167人
- ●●ちゃんママ、●●ちゃんパパ 144人
- 私、僕 84人
- おじさん、おばさん 38人
- 下の名前 30人
- その他 18人
(有効回答者数:482人、実施時期:2015年4月・5月)
結果を見ると、やはり「おじちゃん」「おばちゃん」が多数派に。ついで「●●ちゃんママ、パパ」が多いという結果になりました。
その他を選んだ人に、具体的な呼び方を聞いてみたところ、「自分の名前」というストレートな回答もあれば、「あだな、ニックネーム」「あえて主語を言わない」などの回答も。
そこで、この結果をふまえてどんな呼び方をするのがいいのか、コラムニストの石原壮一郎さんに聞いてきました。
「おじちゃん」「おばちゃん」の先駆者になろう
アンケート結果第1位の「おじちゃん」「おばちゃん」は、石原さんから見ても自然な呼び方のようです。「子どもから見れば、自分が仮に20代であっても相当な年上にあたります。本人がどう思おうと『おじちゃん』は『おじちゃん』、『おばちゃん』は『おばちゃん』でしかないんですよね」
「おじちゃん(おばちゃん)」の領域に足を踏み入れられずにいる人にとっては、耳の痛い意見です。アンケートでは「ぼく(わたし)」や「名前を呼ばない」などの回答もありました。どちらも「おじちゃん(おばちゃん)」を回避するための苦肉の策のようにも感じられます。
「自分のなかで、小さなたたかいを繰り広げているんでしょうね。言霊というものがありますから呼び方によって老けたと感じてしまうのであれば、使わなくてもいいのかもしれません。ただ、子どもを産んで育てるということは、『おじちゃん(おばちゃん)』呼ばわりを受け入れることでもありますよね。『おじちゃん(おばちゃん)』は、そういった人生経験をつんだ人にふさわしい呼び方。ぼくはむしろ年長者に敬意をはらった名称だと思っています」
年を取ることへのネガティブなイメージが「おじちゃん(おばちゃん)」の言葉の意味を悪くしているのかもしれません。
「孫に対して『おばあちゃん』と呼ぶことに抵抗がある人もいるくらいですからね。『グランマ』や『ちえこさん』のように別の呼び名でごまかすパターンです(笑)。『おばあちゃん』と尊敬の気持ちを込めて呼ぶことで、高齢者への敬意の気持ちも育まれると思います」

積極的に使えば、抵抗感は薄まる
では、「おじちゃん(おばちゃん)」のイメージ回復をするにはどうしたらいいのでしょうか。「たくさん使って抵抗感を薄めるといいのではないでしょうか。『おじちゃん(おばちゃん)』という呼び方が比較的よく使われている小さな子どもを持つお父さんお母さんの世界からスタートするといいと思います。まずは『おじちゃん(おばちゃん)』が実はいい呼び方なんだと自分にたたきこみ、自ら進んで使ってしまいましょう」
しかし、「おじちゃん(おばちゃん)」のよさについて自分自身の頭では理解できたとしても、気になってしまうのが周囲の反応。ママ友グループの中で自分だけ「おばちゃん」と呼びはじめるのはハードルが高そうですが…。
「いつかは通らないといけない道だと思うので、先鞭をつけるところを楽しむのもいいかもしれません。『●●ちゃんママが自分のことをおばちゃんって言っている! あの人が先駆者になってくれたから、わたしも言えるわ!』というような感じになるといいですよね(笑)」
実は、自分では「おばちゃん(おじちゃん)」に抵抗感は無いのに、周囲の目が気になって使えないというケースもありそう。そんな時には、グループの中の誰か一人が先駆者になると、そのグループの中で「おばちゃん(おじちゃん)」が、マイナスイメージ無く使えるようになりそうです。
「○○ちゃんパパ」「○○ちゃんママ」は生活の知恵
「おじちゃん」「おばちゃん」の次に多かった回答が、「●●ちゃんパパ」「●●ちゃんママ」。親同士が呼び合っているケースもあり、新たなスタンダードになりつつあります。「子どもを通してのつながりだと、親同士の職業や社会的な地位は関係ないものです。『●●ちゃんパパ(ママ)』というのは、その中で生まれた生活の知恵だと思います。実は相手を呼ぶ時にも便利なんですよね。『●●ちゃんママ』から名前に呼び方を変えることで、『もっと仲良くなりましょう』というメッセージを伝えることもできそうです」
「●●ちゃんパパ(ママ)がやってあげようか」と話しかけることで、子どもの友だちに対しての自己紹介の役目も果たしてくれそう。一方、自分のアイデンティティを大事にしたい人にとっては抵抗がある呼び名でもあります。
「例えば保育園や幼稚園だと親子がセットで見られるのは当たり前です。少し引っかかるものがあっても便利だから使おうという心持ちでいるくらいがちょうどいい。子どもの付属物として見られることがいやなら無理に使う必要はないと思いますよ」
呼び方には自己主張を込めることもできる
自分自身をどう呼ぶかには、それぞれ自己主張をこめることができると石原さんは言います。「マイナスイメージの強い『おじちゃん』『おばちゃん』ですが、実は若さに執着しない、大人としての余裕のある自分を演出することができます。『●●ちゃんパパ』『●●ちゃんママ』は、子どもにもわかりやすいうえに周りとの調和も考えている呼び方。輪を大事にする自分をアピールする呼び方ですね」
どちらの呼び方も、多少の抵抗感を感じる人は多そうですが、そんな時、気持ちの折り合いをつけられる効果がありそうです。そして、もうひとつ心に留めておきたいことは、無理をしてまで使わなくてもいいということ。
「どうしても『おじちゃん(おばちゃん)』や『●●ちゃんパパ(ママ)』に抵抗感を感じるなら、あえて主語を言わなかったり、『私』『僕』などで通してもいいんじゃないかな(笑)。大人が考えているほど子どもは呼び方なんて気にしていないかもしれませんからね(笑)」
これを機に、おばちゃん(おじちゃん)への扉をあなたも開いてみませんか? 意外と慣れてしまうと心地よいかもしれません。