楽しみにしていたおでかけも、車やバスに酔ってしまうと、とたんに地獄。ついに吐いてしまった…なんて事態にならないために、乗り物に乗る前・乗っている時に心に留めておきたいポイントがあります。

「もちろん慣れがあります。乗り物酔いのキーワードは『学習』。小さい頃からの生活習慣や慣れによって、乗り物酔い克服の学習をしていきます」と話すのは、JCHO(ジェイコー)東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科の石井正則先生。向井千秋さん、毛利衛さんなど宇宙飛行士の「宇宙酔い」も研究していた乗り物酔いの専門家です。
乗り物酔いには平衡感覚を司る内耳の三半規管や耳石器が関係していることは知られていますが、石井先生によると、乗り物酔いを引き起こすしくみは以下の3つの段階をたどります。
CANという聞き慣れない用語が出てきましたが、これは自分の意思とは関係なく刺激や情報に反応して体をコントロールする自律神経のネットワーク。私たちに備わっているこのCANを味方につけて、乗り物酔い対策してみましょう。
上記の三半規管と耳石器、CAN、自律神経とのネットワークが発達するにしたがって、小学校高学年から中学生をピークに乗り物酔いは軽減されていくと石井先生。
乗り物経験を積み重ね、「乗り物=日常」の感覚に近づけていく必要があるのでしょう。とはいっても今、目の前の子どもが苦しんでいたら少しでもラクにしてあげたいのが親心。何をしたらよいでしょうか。
「一番マズイのが、お母さんが子どもに酔った?酔わない?などと聞くこと。これは子どもを不安がらせるだけです。つまりCANが不快と判断してしまう。親は楽しい話をするなどして乗り物酔いから意識をそらせ、子どもに自分は酔わないという自信をつけさせることも大事です」
快・不快を判断するCANの働きとして、もう一つ興味深いエピソードを紹介してくれました。
「ある学校遠足で、行きのバスで大半の子どもが酔ってしまった。だから先生は帰りのバスでカラオケをしたりゲームをしたりして盛り上げた。すると、帰りのバスではほとんど酔う子がいなかったそうです」
なるほど「気持ちの問題」という言葉がありますが、ちゃんと体のしくみが作用していたんですね。おでかけの際の楽しいワクワク感を大事にしたいものです。
ただ元気に楽しく出発しても、急カーブや急ブレーキ、急発進が続けば、大人でも気分が悪くなってしまうもの。いざ乗り物酔いしてしまった時、どう対処したらいいのでしょう。
「アイスキューブをなめると効果的です。小さい子でも氷の破片をなめるだけでOK。できるだけゆっくりなめてください。冷たい刺激が交感神経を興奮させて、吐き気などを起こす副交感神経を抑え込みます。真夏だったら首筋から背中にアイスノンを当てるだけでずいぶんよくなりますよ」
そして、頼りになるのはやはり酔い止め薬。乗り物に乗る30分前に飲みましょうとされていますが、酔ってしまってから飲んでも間に合うと石井先生。
「酔い止め薬は、アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン剤が一般的です。眠気を引き起こす副作用があるので、薬を飲んで酔う前に寝ちゃえ!がいいでしょう。横たわるだけでも頭の動きが少なくなり、内耳への刺激も減ってラクになるはずです」
万全の対策を教えてもらい、遠出がちょっと怖くなくなった気がします。親はあんまり神経質になりすぎず、子どもと一緒におでかけを楽しんじゃいましょう。

なぜ乗り物酔いって起こるの?
そもそもなぜ乗り物酔いは起こるのでしょう? 自家用車を持たない家庭の場合、赤ちゃんの頃から車に乗っている子と比べると「酔いやすい」ということはあるのでしょうか。「もちろん慣れがあります。乗り物酔いのキーワードは『学習』。小さい頃からの生活習慣や慣れによって、乗り物酔い克服の学習をしていきます」と話すのは、JCHO(ジェイコー)東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科の石井正則先生。向井千秋さん、毛利衛さんなど宇宙飛行士の「宇宙酔い」も研究していた乗り物酔いの専門家です。
乗り物酔いには平衡感覚を司る内耳の三半規管や耳石器が関係していることは知られていますが、石井先生によると、乗り物酔いを引き起こすしくみは以下の3つの段階をたどります。
・乗り物酔いを引き起こす第一段階
三半規管や耳石器で、耳から入ってくる情報(揺れや急ブレーキや急カーブなど)と目から入ってくる情報のズレを感知する。つまり日常感覚とのズレが生じる・乗り物酔いを引き起こす第二段階
脳の自律神経ネットワークであるCAN(中枢自律神経線維網)で、入ってきた情報の快・不快を瞬時に判別する・乗り物酔いを引き起こす第三段階
CANで不快と判断すると、自律神経の反応(生つばが出る、顔が青くなる、冷や汗をかく、吐くなど)が起こる。CANという聞き慣れない用語が出てきましたが、これは自分の意思とは関係なく刺激や情報に反応して体をコントロールする自律神経のネットワーク。私たちに備わっているこのCANを味方につけて、乗り物酔い対策してみましょう。
乗り物酔いは「気持ち」に左右される!?

乗り物経験を積み重ね、「乗り物=日常」の感覚に近づけていく必要があるのでしょう。とはいっても今、目の前の子どもが苦しんでいたら少しでもラクにしてあげたいのが親心。何をしたらよいでしょうか。
「一番マズイのが、お母さんが子どもに酔った?酔わない?などと聞くこと。これは子どもを不安がらせるだけです。つまりCANが不快と判断してしまう。親は楽しい話をするなどして乗り物酔いから意識をそらせ、子どもに自分は酔わないという自信をつけさせることも大事です」
快・不快を判断するCANの働きとして、もう一つ興味深いエピソードを紹介してくれました。
「ある学校遠足で、行きのバスで大半の子どもが酔ってしまった。だから先生は帰りのバスでカラオケをしたりゲームをしたりして盛り上げた。すると、帰りのバスではほとんど酔う子がいなかったそうです」
なるほど「気持ちの問題」という言葉がありますが、ちゃんと体のしくみが作用していたんですね。おでかけの際の楽しいワクワク感を大事にしたいものです。
酔ってしまった時の“特効薬”とは
おでかけの前の日は「興奮しちゃって眠れない」という人はいませんか?わが子もその一人ですが、乗り物酔いの大敵は体調不良。「睡眠や栄養をたっぷりとって体調を整えることが基本です」と石井先生。ただ元気に楽しく出発しても、急カーブや急ブレーキ、急発進が続けば、大人でも気分が悪くなってしまうもの。いざ乗り物酔いしてしまった時、どう対処したらいいのでしょう。
「アイスキューブをなめると効果的です。小さい子でも氷の破片をなめるだけでOK。できるだけゆっくりなめてください。冷たい刺激が交感神経を興奮させて、吐き気などを起こす副交感神経を抑え込みます。真夏だったら首筋から背中にアイスノンを当てるだけでずいぶんよくなりますよ」
そして、頼りになるのはやはり酔い止め薬。乗り物に乗る30分前に飲みましょうとされていますが、酔ってしまってから飲んでも間に合うと石井先生。
「酔い止め薬は、アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン剤が一般的です。眠気を引き起こす副作用があるので、薬を飲んで酔う前に寝ちゃえ!がいいでしょう。横たわるだけでも頭の動きが少なくなり、内耳への刺激も減ってラクになるはずです」
万全の対策を教えてもらい、遠出がちょっと怖くなくなった気がします。親はあんまり神経質になりすぎず、子どもと一緒におでかけを楽しんじゃいましょう。