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もう子どもにキレない!「アンガーマネジメント」で変わろう

2016年6月23日門馬 聖子

グズる、わめく、散らかす、言うことを聞かない…。思い通りにならない子どもにイライラしたり、ドカンと爆発したり…。そんな「怒り」で、ヘトヘトになっているママやパパもいるのでは?穏やかな親になりたいと切に願っているあなたへ、「怒り」や「イライラ」をコントロールする「アンガーマネジメント」をご紹介します。

子育てにも役立つ「アンガーマネジメント」とは

『アンガーマネジメント』とは、1970年代にアメリカで始まった怒りと上手に付き合うための心理教育のこと。『怒り』を感じることがいけないのではなく、『怒り』を自分の中でどうコントロールして向き合うかを教えてくれるメソッドです」

そう教えてくれたのは、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の代表理事、安藤俊介さん。政治の世界、プロスポーツの分野など、さまざまな分野で取り入れられ、企業として積極的に取り組んでいるところもあるそうです。

そして、「アンガーマネジメント」は子育ての中で感じてしまう「怒り」や「イライラ」にも、すぐに活用できるメソッドだと安藤さんは言います。


STEP1 今この瞬間のイライラ、ムカムカを抑える!

安藤さんによると、「アンガーマネジメント」には3つの段階があるそうです。

A 衝動のコントロール
B 思考のコントロール
C 行動のコントロール

まずは「衝動のコントロール」。イラッとした瞬間に、目の前の子どもに怒りをぶつけない方法をアドバイスしてもらいました。

  • 6秒をやり過ごす…手のひらにイライラしたことを書くなどして6秒待つ
  • 「怒り」を数値化する…10段階でどのレベルの怒りなのかを点数化する
  • 「魔法の言葉」を用意しておく…「今はやめておこう」などの自分なりの呪文を
  • その場から離れる…「爆発」しそうになったら、ひとまず違う部屋へ

「いろいろなテクニックがありますが、自分が一番やりやすい、心地がよいものを選ぶとよいでしょう。自分に一番合った方法をみつけるまで、いろいろと試してみてください」と安藤さん。

ただし、これはあくまで「対処療法」で、根本的な解決には繋がりません。大切なのは、なぜイライラしてしまうのか、そのメカニズムを知ることです。

なぜ愛する我が子にイライラしてしまうの?

親はどんな時に子どもにイライラするのでしょうか。イライラしがちなシーンの具体例をあげてみます。

親が子どもにイライラする場面の一例

  • 寝かしつけ始めて1時間も経つのに寝ない
  • 食事中に遊び食べをする
  • お店で「これ買って〜」と騒いで聞き分けがない
  • 約束の時間になっても、宿題に取りかかろうとしない

このようにイライラする場面は違えど、安藤さんによると、ママたちのイライラの理由は1つに集約されるそうです。それは、親が「すべき」と思っていることを子どもが「しない」ため。大げさに言えば、親は子どもに裏切られたように感じるわけです。上記の例で考えると、親はこのように思っているはずです。

子どもにイライラしているときの親の気持ち

  • 1時間も寝かしつけたら、そろそろ寝る「べき」
  • 食事中はしっかり食べる「べき」
  • お店では静かにする「べき」
  • 約束の時間になったら、宿題に取りかかる「べき」

安藤さんはこの親の「べき」と思う気持ちと、子どもの行動にどれだけの隔たりがあるのかをしっかり把握することで、「思考のコントロール」ができると言います。


STEP2 許容範囲の境界線を知って怒りをコントロールしよう!

安藤さんによれば、親が「すべき」と思っている事柄とイライラは図で表わせるそう。

「べき」の境界線
(1)親の行動(思い)と子どもの行動が一致する
(2)親の行動(思い)とは違うが許容可能
(3)親の行動(思い)とは違い許容できない

この図には3つの境界線があります。親がイライラするときは、子どもの行動が(2)から(3)の間にある境界線を越えた時です。そのため、安藤さんは、子どもの言動の許せる範囲と許せない範囲の境界線を見つけることを勧めています。

では、「○○すべき」の境界線をどのように設定したらいいか、例をあげて考えてみましょう。

小学生の子どもが「食事中に遊び食べをする」というケースで、親が怒りを覚えたとします。その際、上の図に沿って「子どもの行動の許せる範囲」を整理した結果、以下のようになりました。

(1)親の行動(思い)と子どもの行動が一致する → 椅子に座り、箸を置かずに最後まで食べる
(2)親の行動(思い)とは違うが許容可能 → 椅子に座って食べる(多少の遊び食べはよしとする)
(3)親の行動(思い)とは違い許容できない → 席を立って歩き回る

こうして考えると、「席を立って歩きまわる」のは許せないが「遊び食べをする」状況であれば許せる、ということがわかります。

「この図を頭に描き、自分の中での境界線を明確にしておけば、怒る必要があることと、ないことが区別できるので、むやみにイライラすることが減ります。また、なるべく(2)の許容範囲を広げる努力をしていけば、イライラすること自体が減っていくのです」


「怒る」のではなくリクエストとして伝えよう

では(2)の許容範囲を超えてしまったら、親はどうしたらよいでしょう? つい怒り出してしまいそうですが…。

怒るということは、子どもへのリクエストと考えてみましょう。今どうしてほしいか、次からどうしてほしいかがリクエストです。多くの親は、『手をわずらわせないで』『迷惑かけないで』といった自分の気持ちばかりを伝えて、本当のところどうしてほしいのか子どもに伝わっていません。これは許容できないと感じたら、リクエストすると考えて伝えるようにしてみましょう」

また、伝える際には子どものわかる言葉で伝えることが肝心だとも。

「親は伝えているつもりでも、じつは子どもに伝わっていないことがよくあります。『ちゃんと食べなさい』『きちんとしなさい』『しっかりやりなさい』といった言葉がその例です。子どもがわかっているかを確かめながら伝えることが肝心です」

例えば、「席を立って歩き回る」場合は、「ちゃんと座りなさい!」ではなく「食べている時は椅子にお尻をつけて座ってくれる?」といったように、具体的にリクエストしてみましょう。

気分次第で怒ったり怒らなかったりはNG

この境界線は、親の気分によって左右され、それぞれの円が大きくなったり小さくなったりするところに要注意と安藤さんは言います。

「親の気分次第で、ある時は怒りある時は怒らないでいると、子どもは混乱します。親は境界線を決めたら、それを親の都合でずらさないように気をつけなければなりません」

そのため、頭に描くだけでなく、ノートに書いたり、書いたものを壁に貼っておいたりすると、より効果的とのこと。ほかに、「自分がどんなことでイライラしたか」「すべきと思っていることは何か」をメモしておくのも有効だそうです。

「また、対応する親によって内容が変わらないように、この境界線は、夫婦で一致させておくことが望ましいでしょう」


STEP3 本当に必要なときだけ怒る

最後に、安藤さんに「行動のコントロール」のポイントをうかがいました。自分が怒ることで状況を変えられることと、変えられないことがあると認識することが大事なのだとか。

怒ること自体は別に悪いことではありません。怒ったことで状況が変えられること、本当に怒る必要のあることは自信をもって怒りましょう。ただ、子どもの寝つきが悪いなど、怒ったことで状況がよくなるわけではない事柄は、怒る必要のないこと。現実を受け入れ、例えば散歩して気を紛らわせるなど『怒る』以外の選択肢を探したほうがいいでしょう。いつでもどこでも誰に対しても、同じ条件で怒れるようにチャレンジしてみてください」

最後に、安藤さんはママ・パパたちにこんなメッセージを送ってくれました。

「人間イライラすることは普通の感情です。アンガーマネジメントは、『絶対に怒ってはいけません』というものではありません。『怒るときは怒る』でいいのです。ただ、怒りやイライラに振り回されないほうが、格段に気持ちは楽になりますし、人間関係もよくなります。親も子も、仲が悪くなりたいと思っている人はいないでしょう。アンガーマネジメントはちょっとした知識とトレーニングで身につけることができるので、ぜひ実践してみてください」

すぐに穏やかでやさしい親になれるものではありませんが、1つ実践することで、「常にイライラしている」「ついガミガミ言ってしまう」状況から、少し脱出できたらいいですね。大事なことは、自分の「すべき」と相手の「したい」がいつも一致するとは限らないと認識すること。子どもを「しっかりした子に育てたい」という思いと同時に、「のびのび育てたい」という思いも忘れずに!

お話を聞いたのは…

  • 安藤俊介さん

    一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。文部科学省も注目する感情理解教育「アンガーマネジメント」の理論、技術をアメリカから導入。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどに日々奮闘している。主な著書に、『怒りに負ける人、怒りを生かす人』(朝日新聞出版)、『イラッとしない思考』(KKベストセラーズ)などがある。

  • 一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会
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ライター紹介

門馬 聖子

1975年生まれ。書籍編集、建築インテリア誌編集を経てフリーに。双子の娘を出産後、計2年間、韓国・ソウルに滞在。娘が4~5歳の時、1年半のカナダ親子留学を決行。外国へ行くたびに「日本の美」への慕情を募らせる。学生時代からの趣味「地方の祭り巡り」をいつか娘たちと…と楽しみにしている。

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