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夏は特に注意!身近な虫刺されとその対処法は?

掲載日: 2016年7月29日更新日: 2017年5月16日飯田友美

いよいよ始まった夏休み、外で遊ぶ機会も増えますよね。そこで気になるのは虫刺されではないでしょうか。夏に注意したい虫刺されの種類と、刺されてしまったときの対処法を、神奈川県立こども医療センター・皮膚科部長の馬場直子先生に伺いました。

夏に注意したい虫刺されの種類とは?

まず、夏場に多い虫刺されにはどんなものがあるのでしょうか。

一番多いのは蚊ですね。そのほか、ブヨ、ハチ、ムカデ、マダニなどが挙あげられます。また、刺すということではありませんが、毛虫による皮膚炎も多いです。」

「中でも、ウイルスを媒介する蚊とマダニには注意が必要です。蚊は、デング熱やジカ熱などのウイルスを、マダニはライム病のウイルスをそれぞれ媒介します。」

蚊は、人や動物の排出する二酸化炭素、体温や汗に反応して、吸血行動のターゲットを決めるといわれています。なので、体温が高く、よく汗をかく子どもは、大人よりも虫に刺されやすいそうです。外遊びのときは、なるべく肌の出ないような服装を心がけるようにしましょう。

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虫刺され、子どものほうが重症化しやすい?

特に乳幼児の親が気を付けたいのは、蚊。 乳幼児では蚊に刺されたはずなのに、まるでハチに刺されたかのように腫れてしまう場合も。小さな子どもほど、虫に刺されたところが腫れあがってしまうように感じますが、これはなぜでしょうか。

「これは、体質的に腫れやすいとか、小さい子だから虫に刺され重症化しやすい、というよりは、虫に刺された経験によるもの」、と馬場先生。

虫に刺された経験が少ない子どもは、免疫反応が強く出てしまいがち。そのため、小さな子ほど刺された箇所が赤く腫れたり、範囲が広かったりと、見た目にも痛々しいですね。」

じつは、赤ちゃんが初めて虫に刺されたときには免疫自体がないので腫れないのだそう。実際に反応が出るのは、2回目以降に刺されたときだということです。虫に刺された経験がすくないうちは、体が蚊をウイルスなどと同じ外敵と判断し腫れが大きくなりがちですが、何度も刺されるうちに過剰に反応しなくてもいいものだと判断し、腫れが少なくなっていくそう。

「また、虫刺されには、直後に腫れる『即時型反応』と、1日から2日後に症状が出る『遅延型反応』があります。乳幼児はまだ刺された経験が少ないので『遅延型反応』が強く出ます。幼稚園から小学校くらいの子どもや若い人は、即時型と遅延型の両方の症状が見られ、年をとるにつれて即時型だけが出て遅延型は出なくなり、だんだんと無反応になっていきます。

乳幼児のうちは腫れが大きくなることが多いようですが、過剰に心配する必要はなさそうです。では、実際に刺されたときはどうすればいいのでしょうか。


もしも虫に刺されたら。種類別の症状と対処法

夏は、虫たちも活動的になっている季節。どんなに注意していても、虫に刺されてしまうことがありますよね。では、刺されてしまったときはどうすればよいのでしょう。ここで、刺された虫の種類ごとの症状と、その正しい対処法を紹介します。

【蚊】

この時期、虫刺されで一番多いのが蚊です。外や家の中などどこにでもいます。刺された場合は、洗って冷やし、薬を塗ってください。発熱や、腫れがひどい、ただれてえぐれてしまっているなどの症状がある場合は、EBウイルスの感染で起こる「蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)」の可能性がありますので、すぐに受診してください。

「蚊刺過敏症」は蚊アレルギーの重症型で、一般的な蚊に刺された跡とは違い、発熱などの全身症状を伴い反応が激しくなります。EBウイルス感染が重症化すると、白血病の一種のリンパ腫になることもありますので、疑われる症状があれば病院を受診して検査を受けましょう。

【ブヨ】

キャンプ場などで刺されやすく、かゆみが多いのが特徴です。掻きすぎると、芯のような堅いものが皮膚に残ってしまい、1年から2年くらい治らないこともあるので気をつけましょう。刺されてしまったら、洗って冷やし、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン軟膏などを塗ります。

【ハチ】

1回でも刺されたことがある場合は、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。それ以外の場合は、刺されたところから毒を吸い取り、ピンセットなどを使ってハチの針を取り除いてください。その後洗って冷やし、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン軟膏などを塗ります

【マダニ】

山や野原などにいて、夏のレジャーの際には注意が必要です。刺されると、マダニは皮膚に張りつきます。刺されてすぐは痛みなどもないため、気付きにくいです。もし小さなイボのようなものが張りついていたら、無理に引き剥がしたりせずに、そのまま皮膚科を受診してください。

【ムカデ】

ハチと同じように、1回でも刺されたことがある場合は、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。他の虫刺されとは違い、ムカデにさされた場合は傷口を温めてください。42度から45度くらいのお湯につけることで、毒が分解されます。

【毛虫】

刺されるわけではないですが、飛んできた毛に触れることでかぶれや強いかゆみが出ます。特に小さなお子さんは直接毛虫に触ることがないように気をつけてください。お茶やつばきの葉にいるチャドクガは4月から6月、7月から9月と、年に2回ほどピークがやってきます。2回目のピークがちょうど夏休みにかかっていますので、注意が必要です。とにかくかゆみが強いので、すぐに皮膚科を受診してください。

上記はそれぞれの虫に刺された際の主な症状例です。虫に刺されたあとに異常な発熱や、意識が遠のく、息苦しい、吐く、顔色が青白くなるなどの症状が出た場合は、ウイルス感染症やアナフィラキシーショックを起こしている可能性がありますので、すぐに病院へ行きましょう。

また、小さなお子さんの場合、虫に刺された後にかゆさのあまり掻き壊してしまい、とびひなどの二次感染を引き起こすこともあります。できるだけ患部を冷やす、薬を塗るなどでかゆみを抑えてあげましょう。

外遊びや夏のレジャーなど、子どもたちには楽しいことが満載の夏休み。虫刺されが原因で悲しい思い出に…、などということにはしたくないですよね。万が一、虫刺されのあと腫れがひかない、熱がある、などいつもと違うなと思ったら、自己判断せずに早めに受診しましょう。

関連文献

お話を聞いたのは…

  • 馬場直子先生

    神奈川県立こども医療センター・皮膚科部長、横浜市立大学皮膚科臨床教授。日本皮膚科学会会員、日本小児皮膚科学会運営委員・学校保健委員・日小皮会誌編集委員などもつとめる。書籍や雑誌記事監修も多く、主な著書に「こどもの皮疹・口内咽頭所見チェックガイド」(医学書院)、「外来でみる子どもの皮膚疾患」(診断と治療社)などがある。

ライター紹介

飯田友美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。好きなものは猫とパンダ、趣味はライブに行くこと、お芝居を観ること。杉並区在住。2児の母。

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