薄くてデリケートな子どもの肌には、気温の上昇や肌の露出にともない、さまざまなトラブルが起こります。ただの虫さされでも、かくうちに重症化してしまうケースも…。そこで代表的な5つの肌トラブルについて、「わかばひふ科クリニック」院長の野崎誠先生に伺いました。
特に赤ちゃんの場合は、かゆみを感じないことが多く、刺された直後ではなく、半日以上たってから硬いしこりが出ることが多いため要注意です。そのためアレルギー反応が長引くことがあり、治癒により時間がかかってしまうことも。かゆみは徐々に出てきます。
また旅行先での虫さされや、その年初めての虫さされは症状は強く出ることが多いので、早めに治療を始めましょう。
「世間で最適といわれる温度は子どもにとっては暑く不快な環境であり、汗をかくことでとびひやあせもの原因となります。子どもにとっての快適な環境は、温度25度以下、湿度50%以下。エアコンをしっかり活用する必要があります。」
「また夜間は、子どもに布団をかけなくても大丈夫。実際、布団をかけ直すことがあせもを誘発することも多いんですよ。朝のシャワーも有効です。特にあせもは、汗のついた時間が長ければ、それだけできやすくなります。雑菌そのものや雑菌の分泌物を落とす意味からもシャワーが重要なのです。」「そして、保湿剤は夏もしっかりと使ったほうがよいと思います。乾燥肌は、水いぼ、とびひの発生率を増やしますので、予防の意味でも保湿を心がけましょう。」
「使いすぎるとあせもになることもありますので、夏の間はクリームや乳液ではなく、化粧水タイプのさらりとしたものに変更したほうがいいでしょう。さらりとした保湿剤は保湿力が劣りますので、回数を塗ることでカバーしてくださいね。」
汗ばんでいるから…と保湿をおろそかにしがちですが、強い日射しを浴びた夏の肌は乾燥しやすいもの。保湿剤を塗ることで、子どもの肌を隅々までチェックできるという利点もありますね。日ごろのスキンケアでトラブルを早めに察知して重症化を防ぎ、子どものキレイな肌を守りましょう。
おむつかぶれ
【原因・症状】
おむつと排泄物(おしっこ・うんち)による皮膚の炎症で、お尻や股間に赤み、かゆみ、湿疹などを引きおこします。ときにはカンジダ(=カビ)が発生する場合もあります。布おむつを使用している場合は、布がこすれて赤くなることもあります。【予防するには】
まめにおむつを替えて清潔を保つ、サイズの合うオムツを使用する、お尻を乾燥させてからおむつを当てる…などをして予防を。おむつはメーカーによって刺激が強いものがありますので、メーカーを変えることも検討しましょう。【なってしまったら】
こすらないことが大切です。そして拭くだけでは汚れが取りきれないので、お尻をこまめにシャワーで洗いましょう。ベビーパウダーは、毛穴が詰まって悪化するおそれがあります。また手持ちのステロイド外用薬の使用も、カンジダだと悪化してしまうので、あまりおすすめできません。【受診の目安】
赤みがひどい時、皮がむけている時、痛みやかゆみが生じている時は受診しましょう。ただ、カンジダやこすれなど、違った原因でも同じような場所に同じような症状で現れることがありますし、また原因が変わることもあります。長引くケースもありますので、心配な時には受診してください。あせも
【原因・症状】
はっきりとした原因はわかっていません。皮膚の表面に住む雑菌と、その分泌した成分によるアレルギー反応とも考えられます。赤いブツブツや小さな水ぶくれから始まり、点状にかさぶたができて消えていきます。関節の内側にできることが多いですが、こすれる部分であればどこにでもできます。抱っこが多い子はおなか、ベビーカーに乗ることが多い子は背中に出ることが多いです。【予防するには】
汗をふく、シャワーする、まめに着替えるなど、汗をかきっぱなしにせず肌を清潔に保ちましょう。衣類の素材にも気をつけ(綿が最適)、エアコンをしっかり活用しましょう。【なってしまったら】
肌を清潔にし、かきむしらないこと。場合によっては冷やしましょう。ベビーパウダーは毛穴が詰まるのでおすすめしません。【受診の目安】
かゆくなければ自然に引いてきますが、引っかいてしまうと、湿疹やとびひになることもあります。かゆみが出たら薬を塗って抑えたほうがよいので受診しましょう。虫さされ
【原因・症状】
虫の唾液成分や、注入された毒物に対するアレルギー反応及び化学反応です。かゆみと痛み、腫れやむくみなどが生じます。【予防するには】
肌を露出しすぎないことと、虫よけスプレー等で対策をしましょう。また汗をかくと刺されやすくなるので、汗をかいたらシャワーで流してください。【なってしまったら】
かきむしらないこと、刺された部分を冷やすこと。かゆみ止めの薬を塗ってもいいでしょう。【受診の目安】
かゆみが出てかきむしるようであれば受診してください。市販薬ではアレルギー反応そのものを抑えることはできませんが、ステロイド外用薬は効果も高く、短時間で治療できるので悪化を防げます。特に赤ちゃんの場合は、かゆみを感じないことが多く、刺された直後ではなく、半日以上たってから硬いしこりが出ることが多いため要注意です。そのためアレルギー反応が長引くことがあり、治癒により時間がかかってしまうことも。かゆみは徐々に出てきます。
また旅行先での虫さされや、その年初めての虫さされは症状は強く出ることが多いので、早めに治療を始めましょう。
とびひ
【原因・症状】
あせもや虫さされなどを引っかいたかき傷やすり傷から細菌が侵入して、水ぶくれやかさぶたを引きおこします。【予防するには】
あせもや虫さされを悪化させないようにしましょう。汗をかいたら放置しない、かきむしらないようにします。爪も短く切っておきましょう。特に乾燥肌の子は発症しやすいので、保湿剤でしっかりと肌の乾燥のコントロールを。【なってしまったら】
しっかりエアコンを使い、あまり汗をかかないようにすること。汗や汚れはシャワーやお風呂できちんと落としましょう。絆創膏で覆ってしまうと感染が拡大することが多いので避けてください。学校を休む必要はありませんが、プールはお休みしましょう。【受診の目安】
数時間で拡大するじくじくした水ぶくれやかさぶたを見つけたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。こじれてしまうと、SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)という全身が真っ赤になって皮膚がむける病気にまで進行することがあります。これは数日間の入院が必要になりますので、できるだけ小さな範囲のうちに治療を開始しましょう。アトピー性皮膚炎や乾燥肌の子は特に要注意です。水いぼ
【原因・症状】
皮膚や粘膜に伝染性軟属腫(水いぼ)ウイルスが感染すると、球状の突起(=水いぼ)が多発します。水いぼそのものには痛み・かゆみはありません。【予防するには】
プールなどで物を介して接触感染するので、タオル、浮き輪、ビート板を共有しないようにしましょう。共有後にシャワーで洗っても、感染は防げません。【なってしまったら】
かいたりこすったりすると、指の間にウイルスが入り込み、感染が拡大するのでしないように。また、絆創膏で覆うと粘着剤の付着した皮膚がふやけて感染しやすくなり、拡大することがあるのでやめましょう。兄弟間で感染することが多いので要注意です。【受診の目安】
除去するか、自然治癒を待つかは、周囲の環境次第です。通学やプールの授業への参加は医学的には問題ありませんが、学校によってはプールに入れないことがあるので、その場合は除去するしかありません。治療はピンセットでつまんで取りますが、痛みがあるので数の少ないうちに治療したほうがよいでしょう。自然治癒の場合は、一年以上経たないと治らない場合がほとんどで、徐々に増大することも多いです。エアコンは「しっかり」活用&保湿も忘れずに
こうしてみると、汗がさまざまな肌トラブルの一因となることがわかります。でも新陳代謝が活発な子どもは、とにかく汗っかき。そこで汗をかかない、かきっぱなしにしないために、温度と湿度の高い時期はエアコンを「しっかり」活用すべきだと野崎先生は言います。「世間で最適といわれる温度は子どもにとっては暑く不快な環境であり、汗をかくことでとびひやあせもの原因となります。子どもにとっての快適な環境は、温度25度以下、湿度50%以下。エアコンをしっかり活用する必要があります。」
「また夜間は、子どもに布団をかけなくても大丈夫。実際、布団をかけ直すことがあせもを誘発することも多いんですよ。朝のシャワーも有効です。特にあせもは、汗のついた時間が長ければ、それだけできやすくなります。雑菌そのものや雑菌の分泌物を落とす意味からもシャワーが重要なのです。」「そして、保湿剤は夏もしっかりと使ったほうがよいと思います。乾燥肌は、水いぼ、とびひの発生率を増やしますので、予防の意味でも保湿を心がけましょう。」
「使いすぎるとあせもになることもありますので、夏の間はクリームや乳液ではなく、化粧水タイプのさらりとしたものに変更したほうがいいでしょう。さらりとした保湿剤は保湿力が劣りますので、回数を塗ることでカバーしてくださいね。」
汗ばんでいるから…と保湿をおろそかにしがちですが、強い日射しを浴びた夏の肌は乾燥しやすいもの。保湿剤を塗ることで、子どもの肌を隅々までチェックできるという利点もありますね。日ごろのスキンケアでトラブルを早めに察知して重症化を防ぎ、子どものキレイな肌を守りましょう。