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楽しいだけじゃない!『トーマス』が親子に教えてくれること

掲載日: 2016年8月30日更新日: 2016年8月31日井上マサキ

子どもたちに根強い人気がある「きかんしゃトーマス」。じつは子ども向け番組ながらその内容は深く、大人にも教訓となるストーリーがたくさんあることを知っていますか? そこで日本でマスターライセンスを保有するソニー・クリエイティブプロダクツに、「きかんしゃトーマス」の魅力と教訓となるエピソードをうかがいました。

「きかんしゃトーマス」とは?

(C) 2016 Gullane (Thomas) Limited.

「きかんしゃトーマス」が生まれたのは、1945年のイギリスでのこと。牧師のウォルバー・オードリーが、はしかで寝込んだ2歳の息子のために作った物語がきっかけでした。

この小さな蒸気機関車の物語は、オードリーの妻のすすめで出版社に持ち込まれ、『汽車のえほん』として出版。たちまちイギリス中の子供たちで人気となり、第26巻まで出版され、世界各国で親しまれています。

イギリスのテレビに「きかんしゃトーマス」が登場したのは1984年のこと。鉄道模型を使ったモデルアニメーションで作られ、現在では世界185の地域で30カ国語で放映が行われています。日本では1990年に「ひらけ!ポンキッキ!」で放送を開始。現在はモデルアニメーションに替わってCGアニメーションで製作が行われ、NHK EテレやCS放送のカートゥーンネットワークで放送されています

「きかんしゃトーマス」が愛される理由とは?

世界中の子どもたちに人気の「きかんしゃトーマス」。今も昔も愛される理由はどこにあるのでしょうか?

トーマスたちのモデルはすべて実在した乗り物です。蒸気機関車や緻密な舞台設定にリアリティを持たせているのが、世界で愛される理由の一つだと思います。」

「また、多彩なキャラクターが存在するところもポイントです。顔や色、形、数字などの見た目もさまざまで、性格も弱々しかったり、見栄っ張りだったりと人間っぽさがあります。」

主人公のトーマスをはじめ、優しいエドワードや、うぬぼれやさんのジェームズ、いつも威張っているゴードンなど、蒸気機関車たちはとても個性豊か。

蒸気機関車だけでなく客車や貨車、作業車、ヘリコプターといったのほかの乗り物たちも数多く登場します。これだけ多くのキャラクターがいれば、好きなキャラクターも必ず見つかりますよね。

また、ストーリーにも人気の理由があるそう。

「ケンカなどの日常的な場面を通じて、友情やチームワークの大切さを伝えるストーリーは定番の一つです。また、トーマスとなかまたちがストーリーの中で失敗するとき、その原因はワガママ、怠惰、傲慢(ごうまん)、嫉妬や見栄である場合が多くみられます。あくまで子どもの日常の生活に根ざしたリアルなテーマが設定されています。」

トーマスはがんばりやで働き者ですが、ひとりで突っ走ったり、仲間とトラブルを起こしたりもします。「絶対に正しい人」や「常に悪者」なキャラクターが登場せず、誰しも体験したことがあるような、現実の延長線上にあるストーリーが人々の共感を呼んでいるといえそうです。


思わずヒザを打つ!「きかんしゃトーマス」のストーリー5選

では「きかんしゃトーマス」にはどんな形で教訓が登場するのでしょうか。実際のストーリーをいくつか紹介していただき、日本のことわざに例えてもらいました。

第1シリーズ第1話「トーマスとゴードン」

自分は一番の働き者と思っていたトーマスが、休んでいるゴードンを『なまけもの』と言って怒らせてしまいました。その後、トーマスはゴードンの元へ客車を運ぶのですが、連結がうまくはずれなかったため、ものすごいスピードでゴードンに引っ張られてしまいます。トーマスはヘトヘトになってしまったのでした。

「ゴードンの本当の実力を知らずに、『休んでいる』という一面だけで判断してしまったトーマスが大変な目に会うエピソードです。まさに『口は災いのもと』ですね。」

第1シリーズ第25話「ゴードンみぞにはまる」

ゴードンはいつも「おれは脱線したことがない」と自慢しています。ところがある日、貨車を引くのが嫌だったゴードンは、転車台の上でわざと体をずらしたので、滑り落ちて溝にはまってしまいます。しかも、そのまま夜まで放置されてしまいました。

「ゴードンは自分の軽率な行いで、貨車を引く以上に嫌な目にあってしまいます。自ら損をしてしまうのは『自業自得』『身から出たさび』ですね。」

第2シリーズ第44話「トーマスあさごはんにおじゃま」

よく働くトーマスに機関士は「1人でも大丈夫だね」とお世辞を言いました。その言葉を真に受けたトーマスは、これからはなんでも自分1人でできると意気込んで機関士を乗せずに走り出します。しかし止まることができなくなってしまい、最後は駅長さんの家に突っ込む大失敗をしてしまいます。

調子に乗ると失敗してしまうということは、このほかのエピソードでも多く語られています。やはり子どもはこういう失敗が多いからかもしれませんね。ことわざでは『身の程を知る』『おごる平家は久しからず』といったところでしょうか。」

第14シーズン第329話「トーマスとキリン」

島に新しく動物園がオープンしました。キリンを運ぶことになったトーマスは、早く動物園にキリンを届けたくて飼育員の到着を待たずに出発してしまいます。しかし、途中でキリンが言うことを聞いてくれないため、かえって遅れてしまいました。

「このあと、トーマスはソドー鉄道の局長であるトップハム・ハット卿に怒られてしまいます。彼らにとってはトップハム・ハット卿に怒られることは、最もしてはいけないことなのです。『急いては事を仕損じる』を教えてくれるエピソードです。」

第13シリーズ第320話「ヒロのだいかつやく」

会議の出席で忙しいトップハム・ハット卿を助けようと、ヒロは自分がみんなに仕事の指示を出すことを思いつきます。ところがヒロの指示はすべてうまくいかず、かえってトップハム・ハット卿を怒らせてしまいました。

「日本の機関車ヒロが主役となるエピソードです。良かれと思った振る舞いが裏目に出てしまいました。まさに『情けがすぎれば仇となる』『小さな親切大きなお世話』ですね。」

何気なく観ていた「きかんしゃトーマス」にも、見方を変えれば学びとなる機会になるんですね。親子で観終わったあと、「トーマスはどうすればよかったかな?」と振り返ってみるのもよいのではないでしょうか。

お話を聞いたのは…

  • 株式会社 ソニー・クリエイティブプロダクツ

    キャラクターを中心とした国内外の著作物・商標などの知的財産を開発・使用し、マーチャンダイジング、セールスプロモーションを含む様々なサービス分野へのトータルマーケティングを行うプロパティビジネスを展開しています。

  • きかんしゃトーマスチャンネル

ライター紹介

井上マサキ

1975年生まれ。小学生の娘と保育園の息子を持つ二児の父です。SE時代に会社で男性初の育児休暇を取得。フリーライターに転身後も家事育児を続け「ほぼ主夫」状態に。IT、ネット、スマホが得意分野。路線図が好きで、額縁に入れて飾るほど。

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