子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

医療費控除の新制度が丸わかり! 減税額も紹介【お金と子育て】

掲載日: 2017年4月18日更新日: 2017年5月16日岡本有紗

マネーのプロが解説する「お金と子育て」の話。第5回は2017年1月にスタートした新制度「セルフメディケーション税制」について。風邪薬や頭痛薬など市販薬のレシートを取っておくだけで税金が控除される新税制をファイナンシャル・プランナーの豊田眞弓さんに解説していただきました。

2017年スタートの新制度・セルフメディケーション税制

薬の外箱やドラッグストアの商品棚をよく見ると、「セルフメディケーション対象薬」と表示された商品があるのに気づきます。「その表示は、2017年から始まった『セルフメディケーション税制』に対応したもの。注目しておいたほうがいいですよ!」と、豊田さん。

そもそも、セルフメディケーション税制とはどういうものなのでしょうか?

「対象となる市販薬を一定額以上買った場合に受けられる、医療費控除の一種です。年間で12,000円以上購入すると、その超えた金額分が所得から控除され、減税になります

従来の医療費控除の場合、年間医療費が10万円(所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えないと申告できませんでした。

「セルフメディケーション税制はそれよりずっと金額が下がりましたので、枠が広がったのは明らかですね」

より多くの人が減税の対象となる可能性があるのですね。


新税制は「積極的な健康維持」に対する特典

ところで、「年間12,000円以上」という金額。確かに従来の医療費控除よりは低いですが、市販薬の購入額としては高いようにも感じるのですが…?

「1年に12,000円分の市販薬なんて買いそうもない、と思うかもしれませんが、実はこの税制の指定薬は、普通の薬より金額が高めの『スイッチOTC医薬品』。成分や薬効をそのままに、医療用から市販の薬へと転用された薬です。なので、市販薬の中でも少し高額といえます。もしこれを常備薬にしていたら、意外とすぐに12,000円に達するのではないでしょうか。頭痛や鼻炎のような不調でよく薬を飲む方や、家族のための薬をいろいろ買う方ならなおさらです」

ちなみに「セルフメディケーション」とは、WHOの定義によると『自分の健康に責任を持ち、軽い身体の不調は自分で手当てすること』だそう。

「今回の税制は、WHOの定義に沿って自分の健康を積極的に管理しようとする方への国からの『減税特典』では、と私は思いますね。実際、セルフメディケーション税制の申告には条件があって、『健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人』であることを証明する必要があるんです」

証明といっても、「申告しようとする年に健康診断や人間ドックなどを受けた実績があれば大丈夫。インフルエンザの予防接種などでも認められるようです」ということ。

薬の購入額が基準を超えるだけでは申告できないという点は、覚えておかなくてはなりませんね。


セルフメディケーション税制では、どのくらい減税に?

ところで、減税効果はどのくらいになるのでしょうか。

セルフメディケーション税制は、所得税と住民税の両方に波及します。減税額は、対象薬の購入額から12,000円を差し引いた金額に所得税の税率をかけて算出した金額と、住民税の税率をかけて算出した金額の合計となります」

住民税の税率は一律10%ですが、所得税は各人の課税所得(所得金額から社会保険料や扶養控除などの各種控除金額を差し引いたもの)によって、5〜45%と大きな幅があります。

▼セルフメディケーション税制で控除される金額例

※対象薬の合計額を年間55,000円と仮定した場合

控除の対象金額:55,000円−12,000円=43,000円

【所得税率が10%の場合の控除額】
・所得税の減税額:43,000円×0.1=4,300円
・住民税の減税額:43,000円×0.1=4,300円
となり、減税額は合計8,600円。

【所得税率が20%の場合の控除額】
・所得税の減税額:43,000円×0.2=8,600円
・住民税の減税額:43,000円×0.1=4,300円
となり、減税額は合計12,900円。

住民税は翌年の支払いですので安くなるわけですが、所得税は手続きをすることで還付されます。そうなると決して無視できない金額ですね! なお、セルフメディケーション税制で控除申告できる購入額の上限は88,000円です。


申告はどうやってすればいい? 必要書類と手続き

セルフメディケーション税制による『減税特典』を受けるには、確定申告が必要です。申告はいつ、どのように行えばいいのでしょうか?

「確定申告の期間は、基本的には2月16日から3月15日まで。所定の様式に記入をして、期間内に税務署に提出すればOKです。提出時は、購入額の証明になるレシートと、健康診断や人間ドック、予防接種などを受けたことが証明できる書類が必要です」

「確定申告に必要な書類は税務署でもらえます。また、国税庁のホームページにある『確定申告コーナー』で書類を作成することも可能です」

【参照】国税庁ホームページ(確定申告コーナー)

期待の新制度、セルフメディケーション税制。自分で自分の健康に気を付けることが、減税につながるのだとしたら、うれしいですよね。市販薬を買ったときはレシートを捨てずに保管するよう心がけましょう!

「お金と子育て」連載の記事一覧はこちら

お話を聞いたのは…

  • 豊田 眞弓さん

    ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー、子どもマネー総合研究会会長。個人相談やセミナー講師のほか、書籍・雑誌の執筆、監修など幅広い活動を展開。小田原短大非常勤講師。自身の子育ての中で感じたことを背景に、子どもの金銭・金融教育にもライフワークとして取り組んでいる。

  • FPラウンジ公式ブログ:今日も未来もハッピーに!
  • 子どもマネー総合研究会

ライター紹介

岡本有紗

2児と猫3匹を育てるライター。メディカル系専門の広告制作会社でライティングと編集業務を経験後、出産を機にフリーに。得意分野はやはりメディカル系だが、いろいろな分野を経験し幅を広げたいというのが現在の目標。趣味はあえてチープな手段で行く一人旅(休止中)、特技はハモリと絶対音感。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事