子どもがスマホを持つようになると、どんな使い方をしているのか心配になりますよね。ネット上での誹謗中傷の書き込みをはじめ、メールやLINE、SNSを介した悪口など、親の目が届かないところで密かに「ネットいじめ」が進行していることもあるのだとか。
そこで、All About「いじめ問題・対策」ガイドの小野田真里子さんに、親が注意すべき子どものネットいじめ問題について聞きました。
水面下で行われる「ネットいじめ」

スマホを持ったばかりの小学生の間でも発生しているというネットいじめ。その実態を教えて下さい。
「ネットいじめといえば、少し前までは学校裏サイトに悪口を書き込むというパターンが多かったのですが、現在はLINEを中心としたSNSで、悪口を書き込んだり、グループを外したりするネットいじめが多発しています」
「複数人でグループを作って会話ができるため、直接的ないじめと同様に『1人対その他』という構図ができやすいです。ウェブサイト上であればサイト管理者へ依頼して対応してもらうこともできますが、SNSは閉鎖された空間であり、第三者の介入が難しいのも問題ですね」
また、コミュニケーションの基本である『相手の立場でものを考える』というスタンスがとりにくく、対面での会話よりもトラブルが起こりやすいのがネットの特徴であると小野田さんは言います。
「すぐに相手と繋がれるネット上では、思ったことをひと呼吸置くことなく発信してしまい、関係がこじれてしまうことも。スマホを見ていない間にグループの会話から置いていかれる不安に駆られ、いつもスマホを気にしている子どもも多いです。大人でも難しい文字ベースのコミュニケーションを感情のコントロールが未熟な子どもが行うという点にSNSの怖さがあると思います」
上手に使えばとても便利なSNSですが、子どもの利用にはやはり注意が必要ですね。
もしもネットいじめに気づいたら?
親の目の届かないところで行われる子どものネットいじめ。もし我が子がネットいじめにあっていた場合、気づくことができるでしょうか?
「変化に気づくためには、子どもがスマホを見た後の態度をよく観察することが重要です。トラブルを抱えている場合、不機嫌になる、元気がなくなる、異常なくらいスマホの通知を気にするなどのサインが現れます」
「いじめに気づいたら感情的に問い詰めることはせず、まずは傷ついた子どもの心に寄り添ってあげてください。このクールダウンがないと、親子の関係がこじれてしまう可能性もあります。親として『絶対にあなたを守る』ということを表明し、リラックスした環境でゆっくり事情を聞いてみてください。時間が経過するほど問題は大きくなるので、通常のいじめと同じように初期の段階で手を打つことが大切です」
親子だけで解決するのが難しい場合は、学校への相談や交渉も必要になってきます。大きな問題が起こる前に、親子でスマホ・SNSの使い方をもう一度考え直してみたいですね。
子どもにスマホを与える前に親子で話し合うことが大切

ネットいじめをする側にも、される側にもならないためには、スマホを最初に買い与えるときに親子で使い方を確認することが大切です。子どもにスマホを使わせるうえでおさえておきたいのは、以下の3つのポイントです。
(1)ネットコミュニケーションの特性を知る
文字だけで相手に気持ちを伝えるのは難しいもの。受け取る側の気持ちを考えることが大切です。「自分がされて嫌なことは相手にもしない」のを大前提として、複雑な内容はスマホを使わず直接会って会話するなど、ネットから離れたところでのコミュニケーションも大切にするように伝えておきしましょう。
(2)ネットトラブルのリスクについて知る
ネットトラブルのニュースなどを題材に、日頃からネット利用のリスクについて話し合いましょう。誰が目にするかわからないネット上への書き込みにはどんな責任が伴うのか、誰にどんな迷惑がかかる可能性があるのか、情報発信の危険を理解し自覚を持たせることが必要です。
(3)スマホを利用する時間を決める
スマホの利用時間を決めて、「ながら利用」をしないようにしましょう。一日の時間の使い方をチェックして、計画性のある生活を送れるように親子で生活を見直してみてもよいでしょう。
今や私たちの生活になくてはならないスマホ。はじめて手にする子どもがトラブルに巻き込まれないように、親子で話し合っておきたいですね。