マネーのプロが解説する「お金と子育て」の話。第12回は「ズボラでもできる家計簿術」です。今年こそは家計簿をつけると決意しても、結局いつも続かないという人が多いのではないでしょうか。
続けるコツや楽な家計簿術について、ファイナンシャル・プランナーの小川千尋さんにお話を聞きました。
ズボラかどうかは関係ない!? 家計簿が続かない理由!

そもそも家計簿をつける意味や目的は何でしょうか?
「家計簿とは、我が家だけのお金のデータ。お金をどのように使っているかを把握して、節約と貯蓄に役立てることに意義があります」
「特に、知らず知らず使っている出費を見つけるのにはとても有用です。家計簿をちゃんとつければ、無駄な出費がわかり、上手にお金が使えるようになります」
家計簿の大切さはわかっていても「どうしても続けられない」という方も…。
「『ズボラだから続かない』という人もいますが、それは違うと思っています。そもそも家計簿をつけるのはそんなに楽しい作業ではないので、ズボラでなくても最初は結構しんどいものなんです」
「継続できるか否かは、性格よりも家計簿との付き合い方を見つけ出せるかどうかが大きいような気がします」
では、家計簿を続けられない原因はどこにあるのでしょうか?
原因1:目的があいまい
「家計簿をつける目的が曖昧なために、習慣化するまでやり続けるモチベーションを保てないのがひとつの原因ではないかと思います」
確かに、家計簿に限らず「何のためにするのか」という視点がぼやけていると、どこかで無意味に思えてくるもの。やる気がなくなるのは当然ですね。
原因2:真面目に取り組みすぎる
「市販の家計簿には、たいてい記録のつけ方などの説明があるのですが、それに従おうとして、面倒になってやめてしまう方が多いようです」
「家計簿の中身は自分がわかればいいので、つけ方も自分なりにアレンジしてOK。もう少し気楽に考えてもらえたらと思います」
なるほど。指定された方法にとらわれず、やりやすい方法を自分で導き出すことが大切なんですね。
これなら続く! タイプ別でわかる家計簿のつけ方

とはいえ、「細かい費目の仕分けが面倒」「手書きは手間がかかる」「時間が取れない」などなど、忙しいママからはいろいろな声が。
せっかくやる気になっても、何か面倒なことがあると、やっぱりモチベーションは下がってしまいますよね。できるだけ楽に続けられる方法があればいいのですが…。
「手書きでもOKという人なら、できるだけ簡略化してざっくりつけるのが一番。様式はシンプルなものを選ぶといいと思います」
「手書きタイプ」のポイント&コツ
(1)見開き1ページで1カ月分が書き込める家計簿を選ぶ
「書き続けると余白が埋まっていき、全部埋まると1カ月分が完成するので、達成感が得られやすく、続ける力になります。1カ月のデータが一目でわかり、お金の流れが分かりやすいため、一年分の集計するときもラクです」
(2)支出の分類を少なくする
「支出は食費、光熱費などいろいろな費目に分類しますが、できるだけ費目の数を絞って、ざっくり分類するほうが最初はやりやすいです」
たとえば、以下の3つにしか分類しないという方法を取っている人もいるとか。ユニークな方法ですね。
・『消費』:絶対に必要な買い物
・『浪費』:使わなくても良かった買い物(例:のどが渇いて外で買ったジュースやおやつなど)
・『貯蓄』:貯金のほか、習い事の費用といった自己投資
(3)レシートが出ない買い物のメモ帳を作る
「運賃を現金で払った場合や自動販売機など、レシートが出ない買い物は忘れてしまいがち。そうした支出が使途不明金になるので、専用のメモを持ち歩いて記録しましょう。家計簿の正確性が増し、『もっときちんとつけよう』というモチベーションになります」
(4)検算はしない
「1カ月分の家計簿をつけることに成功した場合、結果を集計することになりますが、計算は1回すれば十分。少額の打ち間違いなどに大した意味はないので、よほどおかしな数字が出ないかぎりは検算を省き、作業を簡略化しましょう」
「アプリタイプ」のポイント&コツ
一方、手書きは面倒という人の場合は、自分なりのアレンジはしにくいですが、スマホアプリがおすすめとのことです。
(1)スマホの家計簿アプリを利用する
「レシートを撮影するとその内容を記録・分類してくれるアプリは、面倒くさがりの人にもおすすめ。ほかにも多種多様な家計簿アプリがあり、なかには毎日の支出から銀行口座、クレジットカードのデータまでまとめて管理できるアプリもあるので、試してみるのもいいでしょう」
(2)無料のオンライン家計簿アプリを利用する
「こちらもたくさんの種類があり、銀行と連動するなど機能もいろいろです。多くのソフトはクラウドでデータを保管してくれるので、パソコンを買い替えても大丈夫なのが良いところです」
自分に合った方法を見つけてみましょう。
「続ける楽しみ」を作って家計簿を習慣に

家計簿を継続させるには、何より「つける楽しみを作ること」が重要とのこと。
「例えば、家計簿を何日つけたら自分にご褒美をあげる、というような設定をしてみてはいかがでしょうか。家計簿が習慣になるまで、自分のモチベーションを保つことが大切です」
果たしてどのくらい続けたら、習慣になるのでしょうか?
「私の経験から言えば、最低1カ月ですね」
「悪い習慣は3日でつきますが、良い習慣はなかなか身につかないですよね。ですから、少々ご褒美の頻度が高くなってもいいので、『とにかく続ける』ということを優先してほしいです」
まずは3日、その次は1週間、その次は10日とご褒美までの期間を小刻みに設定しながらやり続けていくと、「だんだんと家計簿をつけないと気持ち悪いと思うようになるはず」ということ。
私はズボラだから…と家計簿をあきらめていた皆さん。何かステキなご褒美を用意して、今年はちょっと頑張ってみませんか?