これからどんどん暑くなり、アイスクリームがおいしくなる季節。口の中で溶けてしまうから、赤ちゃんや乳幼児でも食べやすい気がするけれど、はたしてアイスを与えていいのは何歳から!?
赤ちゃんにアイスが不向きな3つの理由
夏が近づくにつれて、恋しくなるアイスクリーム。幸せそうに食べているママを見て、赤ちゃんが欲しがることも。ちょっとくらいならあげてもいいのかな? と思いきや……。
「いいえ、乳児には極力与えないようにしましょう。」
そう教えてくれたのは、子どもの栄養教育の分野を研究されている帝京科学大学教授・上田玲子先生。赤ちゃんの食べ物としてアイスクリームが適さない理由は3つありました。
アイスクリームは「嗜好品」の位置付けだから
「食品衛生法によれば、アイスクリームは下記の4種類に分けられますが、いずれも糖分を多く含み、なかでも『アイスクリーム』と『アイスミルク』は脂肪分を多く含んでいます。これらは嗜好品の位置付けであり、必ずしも赤ちゃんの健康を維持するために必要な栄養素を特に多く含んだ食品ではありません。よって、避けたほうがよいでしょう。」

温度の点で、胃腸に負担がかかるから
「食べ物や飲み物を口にする時、人肌(36℃〜37℃)前後が一番体にやさしく、冷たいものは刺激が強いのです。冷たいものを多量に与えると胃腸に負担をかけ食欲不振や下痢などを引き起こしてしまいます。そういった理由からも、乳幼児には与えないほうがいいでしょう」
これはアイスクリームに限ったことではないそう。飲み物を、ほ乳瓶やストロー型マグカップで多量に与える場合は、冷たすぎるものはなるべく避けたほうがいいそうです。
バニラアイスは生卵を使用しているから

「アイスクリームというとポピュラーなのがバニラアイス。一般的なバニラアイスは、作る過程で生卵を使っています。市販品は殺菌されていますが、手作りのものは細菌汚染の不安も…。食物アレルギー予防の点からみても、乳幼児が食べるものとしては好ましくないといえるでしょう。」
細菌やアレルギーという点に着目すると、かき氷やシャーベットのほうが安心のようにも思えますが、糖分が多い点や冷たさによって胃腸が刺激を受ける点は同じだそう。
アイスクリームデビューは3歳が目安!

「上記のことを考えると、アイスクリームのデビュー年齢は3歳以降がベストです。幼児期であっても、ゆっくりとなめさせて、口の中でとけてから飲み込むようにするのがポイントです。」
また、アイスクリームを食べられる年齢になっても、エネルギー量(カロリー)には注意が必要だといいます。
「3回の食事で補えない栄養を補食として与えるのが、幼児期に望ましい“おやつ”の考え方。嗜好品は一度にたくさんに与えないことです。幼児(3〜5歳)のおやつの一日のエネルギー目安量の1/4程度(50〜60kcal/日)以下を心がけましょう。スーパーやコンビニなどで購入できる商品の、目安の量は以下の通りです。
- 1個32kcalの「ピノ」は2個以下
- 1個50kcalの「雪見だいふく」は1個
- 1カップ267kcalの「ハーゲンダッツバニラ(ミニカップ)」は1/5個 など
子どもたちが食べられるアイスの量は、ほんとに“ちょっとだけ”なんですね。
「夏の暑さをしのぎたいなら、フルーツそのものを冷やして食べるのも手ですよ。ただし、冷蔵庫でキンキンに冷やすのではなく、水道水でひんやりとさせる程度がいいですね。」

「アイスを食べるときも、3回の食事ではとりきれない栄養素の補給も考えて、フルーツや蒸かし芋などを添えるのがオススメです。」
同じアイスクリームを分け合う“シェア”に注意!
さて、アイスクリームといえば、気をつけたいものがもう一つ。親子間や兄弟間で分け合う“シェア”です。
「一口ちょうだい」とねだられたとき、同じスプーンで気軽にやってしまいがちな「はい、あーん」。これは、おいしさとともに、恐ろしいものを子どもたちにお裾分けしてしまう可能性が……。
「子どもとの食事のシェアは、虫歯菌やピロリ菌などの感染につながりかねません。お母さんのアイスを子どもに与えるときは、口をつけていない部分、舐めていない部分を新しいスプーンですくうなどして気をつけてくださいね。」
3歳になって、アイスデビューした我が子と楽しむ夏はきっと格別。温度やカロリー、シェアなどには気をつけつつ、おいしい涼を堪能してください!