冷たい飲み物がおいしい季節ですが、こんな季節にごくごく飲みたいジュース。甘くておいしいけれど、乳幼児にはあげていいのかどうか…赤ちゃんにジュースを与えていいのは何歳から? また、与える時の注意点とは?
離乳食をスタートしたらOK!

じんわりと汗ばむ季節は、冷たいジュースがかっこうの癒しドリンク。暑い日は赤ちゃんが水分不足にならないかも気になります。赤ちゃんにジュースをあげるとしたら、何歳からがいいんでしょう?
「赤ちゃんにジュースを与えていいのは、離乳食をスタートした後からです。乳児期に限って言うと、離乳食開始前の水分補給は、基本的に母乳や育児用ミルクで十分。夏場はお母さんが水分を多く摂る分、母乳の水分量も増えます。赤ちゃんが飲みたがるだけ与えれば、極度に暑い環境にいる以外では水分不足になる心配はまずありません。ほかに与えるとすれば、ジュースではなく白湯や麦茶がいいですね。」
そう教えてくれたのは、子どもの栄養教育の分野を研究されている帝京科学大学教授・上田玲子先生。ただ、離乳食スタート後も、ジュースの与えすぎには要注意だそう。目安となるジュースの量を教えてもらいました。
●離乳食の最中の赤ちゃんは60〜80 ml
「6ヶ月の赤ちゃんは1日60ml。7ヶ月以降から1歳半までの赤ちゃんは1日に80mlまでを目安としてください。この時期は、果汁から直接絞って倍ぐらいに白湯で薄めた手作りのものか、赤ちゃん用や0歳児用といったベビーフードの果汁がオススメです。」
●離乳食を完了した赤ちゃん&幼児は100ml〜150ml
「離乳食完了後には、間食の中で与えると考えます。1日2回の間食を与えるとすると、2歳までは1日100ml、3〜5歳でも1日150mlぐらいまでを目安とするとよいでしょう。」
与えるのに適したジュースは「果汁」や「野菜」、ただし…

ジュースといっても、清涼飲料水、炭酸飲料、果汁&野菜ジュースなど、巷にはいろんなタイプがありますね。離乳食完了後は、どんなジュースをあげればいいんでしょう?
「栄養の点から考えると、“清涼飲料水”のように糖分のみを多く含むものを与える必要はないと思います。“炭酸飲料”も同様で、炭酸自体に害はありませんが、炭酸を入れることで甘みを感じなくなるため、含まれる糖分量が多いのです。また、砂糖や果糖の代わりに人工甘味料を使っているジュースも幼児向きとはいえません。」
「その点、適しているといえるのが、果汁や野菜のジュースです。ビタミンCなど熱に弱いものはジュースの製造過程で減ってしまいますが、逆にカロテンなどは吸収しやすくなっており、ミネラルなどは摂取しやすい状態になっています。」この場合、できれば果汁や野菜100%のジュースにするのがベター。たまになら、それ以外でもOK。神経質になりすぎる必要はないようです。
「こうしたパーセンテージよりも、気になるのが糖分の含有量。果汁や野菜100%であれ、それ以外であれ、ジュースにはとにかくたくさん糖分が含まれています。しかも、飲み物に含まれる糖分は吸収が速く、血糖値も急激に上がります。
果物なら一度にそれほど大量には食べられませんが、液体は一気にたくさん飲めることから、幼児がとっていい砂糖の目安をオーバーしてしまいがち。くれぐれも、たくさん飲ませすぎないように注意してください。」
幼児がとっていい砂糖の目安は1日「5g」程度!

「下記に、一般的なジュースの糖分の割合をまとめてみましょう。たとえば、果汁ジュースの糖分は10%ですね。100mlの果汁ジュースを飲んだら10gの砂糖を摂取することになります。一方、幼児の砂糖の目安は5g程度です。100mlの果汁ジュースを1本飲むと摂りすぎになってしまうのです。」
●ジュースに含まれる糖分の割合
- 果汁 : 10%前後
- 野菜 : 8〜9%
- 炭酸飲料 : 10%
- スポーツ飲料 : 6〜7%
- 充実野菜 : 9%
- カルピスウオーター : 11%
- ヤクルト : 18%
- 飲むヨーグルト : 18%
「そもそも『甘み』は、温かいものに強く感じます。冷やして飲む清涼飲料を、あまり甘く感じないのはそのためです。飲みすぎ予防のためにも、あまり冷やしすぎないよう注意してくださいね。
また、本来的にはジュースを飲むより、食物繊維も含まれる果物をまるごと食べるのが理想。日常的な水分補給も、水や麦茶など、糖分の入ってないものを与えるようにするのがベストですよ。」
おいしいけれど、糖分の摂りすぎが気になるジュース。毎日与えるのではなく、スペシャルな飲み物という位置付けにするのがよさそうですね。