子どもが大きくなるに連れて費用がかさむ親子のお出かけ。ひとり親世帯ではさらに負担が大きいですよね。そんなときに利用したいのが、費用の一部または全額の助成が受けられる「ひとり親家庭休養ホーム」という制度。
今回は、各自治体で行っている「ひとり親家庭休養ホーム」の一例として、東京都杉並区の取り組みについて、同区の子ども家庭支援センターひとり親家庭支援の担当者に話を聞きました。
「ひとり親家庭休養ホーム」ってどんな制度?
「ひとり親家庭休養ホーム」とは、ひとり親家庭の人が施設を利用した場合に、入場料や宿泊費などの一部、または全てを助成してくれる制度。各自治体がレジャー施設や宿泊施設などと契約して、運営しています。
杉並区では「区内在住のひとり親家庭に、休養の機会と場を提供すること」を目的に実施しているそう。対象となる施設に遊びに行く際に、区の担当窓口で事前申請しておくと、当日の支払金額が安くなります。
杉並区では平成30年4月1日現在、48の宿泊施設・6の日帰り施設と契約しています。実際にはどのくらい利用されているのでしょうか?
「平成29年度は宿泊利用者数が628人、日帰り施設利用者数が857人でした。この制度に関する個別のアンケートや聞き取り調査は行っていませんが、平成27年度に実施した『杉並区ひとり親家庭実態調査』では、『ひとり親家庭休養ホームを利用したことがある、または利用したい』との回答が約56%ありました」
親子でお得にお出かけできるとあって、人気の制度といえそうですね。
どんなところで使える? 人気施設も対象!
同制度は各自治体によって実施の有無や内容が大きく異なります。ここでは一例として、杉並区の対象親子や助成内容、利用方法を紹介します。
対象
区内在住のひとり親家庭の親と子ども(20歳未満)
※所得制限なし
利用できる施設の一例
<宿泊>
・奥多摩の風 はとのす荘(東京都)
・国民宿舎 サンライズ九十九里(千葉県)
・館山休暇村(千葉県)
・ホテル伊東ガーデン(静岡県)
・奥武蔵休暇村(埼玉県)
・日光湯元休暇村(栃木県)
そのほか北海道から九州まで全国に48の対象施設あり
(区の公式サイトに一覧あり)
<日帰り利用>
・東京ディズニーランド
・東京ディズニーシー
・東京ドームシティ アトラクションズ
・サンリオピューロランド
・としまえん
・キッザニア東京
子どもが喜ぶ人気スポットから、海や山などアウトレジャーで便利なホテルや旅館、国立・国定公園内に位置する休暇村まで、バラエティに富んだラインナップが魅力です。
助成内容
<宿泊>
・杉並区と契約している施設で1人1泊6,500円(1泊2食付・消費税込み)まで
※宿泊料金が6,500円を超えない場合は、その額が助成額となる
・1年間(4月1日から翌年の3月31日)に1人2泊まで利用可能
<日帰り利用>
・杉並区と契約している6施設から1施設を選択して、1年間(4月1日から翌年の3月31日)に1人1枚1,500円の利用補助券を交付
※利用者の年齢によっては利用補助券の額が1,500円に満たない場合もあり
宿泊と日帰りを合わせれば、1年間に最大で3回利用できます。上手に活用して、親子でお得にお出かけを楽しみたいですね。
利用方法は? 事前申請が必須!
対象となる場合には、ぜひ利用したい同制度。では、実際にどのようにして利用するのでしょうか?
「利用券はひとり親家庭に自動的に送られるわけではありません。ひとり親家庭休養ホームの利用には事前申請が必要です」
杉並区以外でもほとんどの自治体で自分から申請する必要があるので、申請の手順や方法についても事前にしっかり調べたいですね。
杉並区では以下の方法で利用します。
利用の流れ
<宿泊>
(1)施設を予約する
事前に「ひとり親家庭休養ホーム」制度を利用する旨を伝えたうえで、施設を予約する
(2)利用券を入手する
宿泊前に子ども家庭支援センター、または福祉事務所の窓口で、ひとり親家庭であることが確認できる書類(児童扶養手当証書など)を提示して申請する。
(3)施設を利用する
利用当日に、施設で利用券を提出。差額を精算する。
<日帰り施設>
(1)利用券を入手する
子ども家庭支援センター、または福祉事務所の窓口で、ひとり親家庭であることが確認できる書類(児童扶養手当証書など)を提示して、利用前に申請する
(2)施設を利用する
利用当日に、施設のチケット販売窓口に利用券を提出。差額を支払う。
いずれも利用する日までに窓口で申請をして、施設の窓口に利用券を提出することが必須です。当日持参するのを忘れてしまったりすると助成が受けられないので注意しましょう。
今回は一例として杉並区の取り組みについて紹介しましたが、制度の実施状況や対象となる子どもの年齢、所得制限の有無や利用できる施設、利用方法、助成金額などは自治体によって異なります。
また、ひとり親以外でも対象となる場合や、福祉協議会などが運営しているもの、利用後の申請が可能な場合など、制度の内容にもさまざまなタイプがあります。ぜひ一度、住んでいる自治体のひとり親支援策を確認してみましょう。