不足しがちな栄養を補う補助食品として利用される「サプリメント」。最近では、子供用のサプリメントも多数販売されており、気になるママパパも多いのでは?
今回は、商品開発も手がけるサプリメントアドバイザーの小浦ゆきえさんに、子供用サプリの基礎知識や上手な取り入れ方などについて教えてもらいました。
子供用サプリとは?

子供用のサプリメントには、どのようなものがあるのでしょうか?
「子供用サプリは、大きく2種類に分けられます。ビタミンやミネラルをまとめて摂れる総合栄養タイプと、『身長を伸ばしたい』など特定の目的を持つタイプのものです。総合栄養タイプは、栄養バランスを整え、子供の成長に欠かせないタンパク質や鉄分、カルシウムなどの不足を補ってくれるので、子供の少食や偏食が心配な場合におすすめです」
大人用サプリとの違いはあるのでしょうか?
「大人と成長過程にある子供では、必要な成分のバランスが異なります。また、大人用の成分量は『大人が摂取して安全な量』が基準とされています。子供と大人では内臓の処理能力なども異なるため、単純に『体重が半分だから半量ならOK』とはなりません」
「また、大人用サプリには、健康やアンチエイジングなどの機能性成分が含まれるものも多いですが、子供にとって安全かどうかは検証されていないので、注意が必要です。子供に飲ませる場合は、やはり子供用サプリを選ぶのが安心です」
サプリメントを使うべきかどうか悩んだ場合は、どのように判断したらよいのでしょうか?
「子供は食事から栄養を摂取するのが基本です。食事で最低限の栄養が摂れていれば、基本的にサプリメントは不要です。偏食・少食が続いたときや、栄養素不足のサインが見えた場合に、取り入れてみるのがよいでしょう。また、薬ではないので、食事をしっかり食べられるようになったら、自分の判断で飲むのをやめてOKです」
栄養不足のサインとは、どのようなものでしょうか?
「栄養が不足することによって、カラダに現れる症状や変化です。たとえば、ビタミンB群やCが不足している場合は、口内炎ができたり、肌が荒れやすかったりします。ほかにも、鉄分が不足しているときは疲れやすい・手足が冷える、亜鉛が不足しているときは炎症が治りにくいなどのサインが挙げられます」
変化や症状以外に、子供の栄養が不足していないかどうかを調べる方法はあるのでしょうか?
「血液検査で調べることができますが、栄養不足かどうかを調べる場合は自費診療となるので、費用が高額です。食事やおやつの記録を取り、健診や地域の無料相談などで栄養士さんに見てもらうのがおすすめです。食べムラがある場合でも、1週間くらい記録しておけば平均的な状況がつかめます」
「また、総合栄養タイプのサプリメントを一定期間摂取してみることでも判断できると思います。栄養が不足している場合は、サプリメントの効果を感じやすいので、早い場合は半月ほどでカラダの変化を実感できます。子供の場合、肌の状態なら1カ月半、口内炎・お腹の調子なら2〜3週間、貧血なら3〜6カ月ほどで、変化を感じられると思います」
子供用サプリメントの選び方
子供用サプリメントを選ぶ際のポイントを教えて下さい。
「子供用サプリの選び方のポイントは、大きく分けて4つあります」
ポイント1:ビタミン・ミネラルをバランスよく配合
食事の量やバランスが心配な場合は、まずビタミン・ミネラルを総合的に補って、栄養状態の「底上げ」をすることが大切です。ほかに特定の栄養素を補いたい場合も、ビタミン・ミネラルが充分な状態でこそ効果が期待できるものと考えましょう。
ポイント2:日本の食生活に合った国産の製品
海外の子供用サプリメントは、ほとんどにヨウ素が含まれています。ヨウ素は大切なミネラルですが、海藻を食べる習慣のある日本人は、既に過剰摂取気味だと言われています。ヨウ素が含まれていない国産の製品がおすすめです。
ポイント3:原材料や含有量が明記されている
原材料名や成分量がわからないサプリメントは、安全かどうかの判断ができません。それらの情報が明記されていない製品も意外に多いので、きちんと情報が確認できる製品を選びましょう。
ポイント4:子供自身が無理なく続けられる

子供がおいしく食べられることも大切なポイントです。子供用サプリには、グミやラムネなど、子供にとって口にしやすい味や形状のものが多くあります。本人の好みに合うものを選ぶと続けやすくなります。そのために多少の甘味料や香料は仕方ありませんが、合成甘味料など安全性に不安があるものは避けましょう。
子供用サプリメントの注意点

子供用サプリメントを利用する際の注意点をまとめて紹介します。
サプリメントの摂取に医師の判断は必要ですか?
「とくに持病がなく、子供向けの製品を1種類だけ試してみる場合は、とくに医師の判断は必要ありません。総合栄養タイプのサプリメントと、特定目的のサプリメントなど複数の製品を併用する場合は、過剰摂取となる成分がないかどうか、よく確認する必要があります。栄養に詳しい医師はあまり多くないので、サプリメントアドバイザーの資格を持つ薬剤師や栄養士に相談するのがおすすめです」
特定の成分が過剰摂取になる心配はないですか?
「国産のサプリメントに含まれる成分は、平均的な食事をしっかり食べている日本の子供が+αとして摂取しても安全な量が基準とされています。複数のサプリメントを併用する場合には過剰摂取の恐れがありますが、ヨウ素を含まない製品1種類を適量で摂取する場合には心配ありません」
食べ方にムラがある場合の取り入れ方は?
「栄養バランスは、1週間単位で考えればOKです。たとえば、あまり食べられずサプリメントも摂れなかった日があったとしても、翌日以降に調整すれば問題ありません。あまり神経質にならずに、できる範囲で続けるのがベストだと思います」
子供にサプリメントのことをどのように伝えればいいですか?
「性格や年齢によって対応が変わるかと思います。子供が低年齢の場合は、おやつの一部として与え、ある程度大きくなったら、おやつとは区別して役割や成分を伝えながらあげるといいと思います。摂っているサプリメントの栄養素について子供が理解していれば、子供自身が食事の栄養について考えるきっかけにもなります」
「子供が少食だったり、偏食があったりする場合、栄養バランスを心配するママやパパは多いと思いますが、食事は栄養を摂るだけでなく、楽しいものだと子供自身が感じることがとても大切です。そうした認識があれば、子供はいつか自分で食事の工夫や栄養バランスの調整ができるようになります」
サプリメントを上手に利用して、不足しがちな栄養を補うことができれば、食事に関する不安が消えて食卓の雰囲気もよくなりそうですね。必要な場合は、ぜひ上手に栄養を摂り入れてみてください。