「夜、寝かしつけようとしても、なかなか寝てくれない」「朝はぐずってスッキリ起きてくれない」など、子どもの寝かしつけや起こし方に苦労していませんか?そこで、スムーズな寝かしつけと、気持ちよく目覚めさせるコツを、専門家に聞いてみました。
お風呂は寝る1時間前まで。眠気ホルモンの分泌促進を

そもそも、子どもが夜スムーズに寝てくれないのはなぜでしょうか?
「原因の一つとして考えられるのは、体が寝る準備をできていないからです」と答えてくれたのは、赤ちゃんの眠り研究所代表の清水悦子さん。眠くなるためには、まず、体の深部体温が程よく下がっている必要があるといいます。
「夜寝る前にお風呂に入る家庭が多いと思いますが、お風呂に入った直後など、深部体温が上がっているときは眠くなりにくいのです。入浴後、深部体温が下がるのには30分〜1時間かかります。ですから、寝る1時間前までにお風呂に入るようにすれば、眠る準備が整いやすくなります。」
また、眠気を呼ぶホルモン「メラトニン」の分泌を妨げないことも大切だとか。
「メラトニンには、光に弱いという特徴があります。しかし、オレンジ色などの暖色系の光なら分泌を妨げにくいと言われているので、リビングやベッドルームの明かりを、こうした照明に変えてみてもよいでしょう。」
ほかにも、テレビやゲームなどの液晶画面の光は、脳を興奮させるため、寝つきが悪くなると言われているそう。夜寝る前はできるだけ見せないほうがよさそうです。
スムーズな寝かしつけには「入眠儀式」作りが大切

理想的な睡眠環境を整える以外に、スムーズな寝かしつけのために、親がサポートできることはあるのでしょうか?
「毎日同じ“入眠儀式”を行うことも、睡眠のリズムを作るきっかけになります。代表的なのは、子守歌を歌ったり、絵本を読んであげること。毎日ベッドの中で同じ行為を行うことで、その行為のあとに眠るという習慣がつきやすくなります。」
ママの声を音で覚える赤ちゃんは、子守歌でなくても「ねんね、ねんね」とリズムをつけて声かけするだけで、立派な入眠儀式になるそう。また、字を子どもが覚えてしまうくらい、毎日同じ絵本の読み聞かせでも大丈夫だといいます。
「昼と夜で絵本の読み方を少し変えると、より眠気を誘う習慣になるでしょう。夜は昼間よりも穏やかな口調で読むようにすれば、赤ちゃんも、昼と夜の違いを感覚で理解できるようになりますよ。」
少しおしゃべりができるようになったら、寝る前に、ぬいぐるみやその日に遊んだおもちゃに「おやすみなさい」と声かけをさせるのも、代表的な入眠儀式の一つだとか。
「ママといっしょに“ぬいぐるみさんおやすみなさい”“ブロックさんおやすみなさい”と声をかけるのを習慣化させるのもよいでしょう。寝る前にトイレに行く子どもなら“トイレさんおやすみなさい”でも楽しいですね。」
子どもに必要な睡眠時間は約10時間

では、朝、スッキリと起きられない原因は何でしょうか?これについて清水さんは「睡眠時間が足りていないケースが多い」と話します。
「生後3カ月から小学校低学年くらいまでの子どもに必要な夜間の平均睡眠時間は、およそ10時間前後。必要な睡眠時間には個人差が大きくありますが、これよりも1時間〜2時間短いようであれば、睡眠不足が考えられます。」
大人の感覚だと、長すぎると感じてしまいそうな睡眠時間ですが、睡眠不足は子どもの成長にも関係するのだそう。
「睡眠不足は脳の発達や運動能力の向上を妨げ、肥満に影響するという研究発表があります。なにより、ちゃんと眠れていないと、前日の疲れが取れないので、できるだけ適切な睡眠時間を確保してあげてほしいですね。」
【参考】睡眠の質が子どもの脳に影響!?理想の就寝時間と睡眠時間って?たたき起こすのは逆効果!
では、スッキリとした目覚めに効果的なコツはあるのでしょうか?
「脳がしっかりと覚醒するのには、ある程度の時間がかかります。ですから、起こしたい時間の30分前くらいからカーテンを開け、太陽の光が部屋に入るようにしてみてください。それに合わせて、料理を作るなどの生活音が耳に届くようにすれば、脳が自然と覚醒していきます。」
いきなり大きな声でたたき起こしたり、寝ているところを抱き上げて起こそうとすると、覚醒の準備ができていないため、スッキリと起きられなくなるのだとか。
「できるだけ毎日同じ時間に布団に入り、同じ時間に目覚められるようにサポートしてあげれば、体内時計が整って、自然と寝起きのリズムができあがっていくと思いますよ。」
ぜひ今回ご紹介した、スムーズな寝かしつけと、気持ちよく目覚めさせるコツを覚えて、親子で安眠を心がけましょう。