男の子のママは、子どもの「おちんちん」について悩んでいる人が意外と多いもの。日々のケアはどうすればいいのか、いつ何をすべきかなど、正しい知識がわからず困りがちです。
そこで今回は、成長過程やケア方法など、子どものおちんちんの基礎知識を、横浜市立大学附属市民総合医療センター・小児科医の町田裕之先生に聞きました。
おちんちんが「痛い・赤い・腫れる」原因は? 医師が対処法紹介おちんちんの基本

まずは、子どものおちんちんがどのように成長するのか教えてください。
「生まれたばかりの赤ちゃんのおちんちんは未熟な状態です。思春期を迎えるまでにだんだんと成長していき、亀頭部分の皮も徐々にむけていきます」
一般的に何歳頃までにむけるものなのでしょうか。
「新生児は100%が包茎です。その後、乳児で80%、幼児で60%、小学校低学年で40%、小学校高学年で20%、というように包茎である割合が減っていきます」
思春期を迎えて精通があり、受精できるようになるころには、包茎である割合は約5%になるとのこと。小さな子どもはほとんどが包茎なので、幼少期は特に気にすることはないそうです。
それでも子どものうちに、包茎の治療をすることはあるのでしょうか。
「包茎については、国や宗教などにより考え方が異なるので、対応はさまざまです」
「アメリカでは、亀頭包皮の手術(割礼)をするケースもあります。手術は、衛生的な観点や病気(性病や陰茎がん)の予防などを理由に行われますが、最近では感染を減らすなどの医学的な理由に乏しいことや、手術侵襲(手術により生体に傷をつけること)が子どもにとって負担が大きすぎることから、アメリカでも包皮手術を受けるのは全体の6割程度に減ってきたと言われています」
「日本では、子どもが小さい頃に包茎の治療をすることはほとんどないと思います。思春期までに包茎が改善する場合がほとんどであること、入浴の文化が浸透していることもあり、お風呂に入った際にきちんと洗えていれば尿路感染症や亀頭包皮炎などのリスクは減らせると思います」
尿路感染症がなかなか治らなかったり、何度も繰り返したり、合併症があったりする場合には、ごくまれに治療が必要になることもありますが、本当に限られた場合だそうです。
ちなみに、せきや鼻水を伴わない発熱があり、排尿時に痛みがあったり腫れていたりする場合や、おちんちんを気にしてもじもじしているときには、尿路感染症などの病気の可能性があるそう。これらの症状が見られた場合は、すぐに小児科や泌尿器科を受診してほしいとのことです。
おちんちんの正しい洗い方とは?

では、おちんちんを洗うときはどのようにすればいいのでしょうか。
「もしむけてきているようであれば、少しずつむきながら洗っても大丈夫です。ただ、むいたままにすると刺激が強くなり痛がりますから、洗った後は必ず元に戻してください」
「子どものおちんちんは、まだ未成熟な状態です。無理にむこうとすると皮が切れたり、狭い部分が元に戻らなくなること(かんとん包茎といいます)もあるので注意が必要です」
また、洗い方はやさしくお湯をかけて流す程度でいいそうです。
「皮をむくと垢のようなものが見えるときがありますが、これは皮膚の新陳代謝によってできたものです。これにより亀頭が守られていて、成長とともに自然に取れるものなので放置しておいて大丈夫です」
この垢のようなものに細菌はついていないので、無理に取る必要はないそうです。
清潔に保つには?
おちんちんはデリケートな部分ですから、いつも清潔にしておきたいですよね。清潔に保つにはどうすればよいのでしょうか。
「お風呂で体を洗うときに、おちんちんも一緒に洗いましょう。洗いながら、『ここは大切な場所だから、汚れた手で触らないようにしようね』などの声かけを忘れずにするようにしてください」
4歳〜5歳くらいになると、「うんち」や「おちんちん」「おしっこ」といった事柄への興味関心が高まります。自分のおちんちんにも興味を持ち、やたらといじりたくなる子もいるでしょう。とはいえ、そこできつく叱ったり、過剰に反応したりすると、かえって気にするようになることも。あくまでも普段の生活の中で、汚れた手で触らないように言い聞かせることが大切だそうです。
むきむき体操ってやったほうがいい?

赤ちゃんのおちんちんの皮をむく「むきむき体操」をするママも多いですが、これは積極的にやったほうが良いのでしょうか?
「『むきむき体操』自体は、医師が提案しているものもあるので、きちんとした手順を踏んで行えば問題はありません」
「ただ、必ずやらなければならないものではありません。無理矢理やったり、神経質になったりしなくて大丈夫です」
むきむき体操を取り入れるかどうかは、考え方次第でよいとのことです。
日本では、性教育があまりオープンに行われていない印象があります。そのため、おちんちんの話を人前ですることが少なく、知識がないため不安な気持ちになるママも多いのだそう。
「不安だからこそ、いろいろな情報が目に入りやすくなるのでしょう。簡単に情報が手に入る現代ですから、正しい情報を集めて対処することが大切ですね」
ママにとってはわからないことが多い子どものおちんちんですが、必要以上に神経質になることはなさそうです。子ども自身が痛みなどを訴えるようであれば、話をよく聞いて、専門医に診せるなどして、子どももママも不安を取り除けるといいですね。