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【世界の子育て:中国】「人生の一発逆転」を狙う子どもが多数!

文化や習慣が違えば、子育ての常識も変わるもの。そこで、世界の子育て事情を国別にシリーズで紹介していきます。海外ではどんな子育てが行われているのか、現地は実際どのような暮らしぶりなのか、実情を明かしてもらいます。

第10回目は、中国の最南端の海南島在住で、大学で日本語教師をしている林由恵さんに現地の実情を聞きました! 習い事で忙しい中国の子どもたちの教育や子育て事情、ママパパの労働環境などを紹介します。

【世界の子育てシリーズ】各国の子育て事情をチェック!

【学校教育】超学歴社会! 子どもには過酷な受験戦争が…

幼稚園で実施される親子遠足の様子

中国の教育制度は、各省によって多少異なりますが基本的に日本と同じで、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年制。義務教育期間も同様に小・中学校です。

めまぐるしい発展を続けている中国では、子どもが過酷な受験戦争を戦っています。日本でも時おり紹介されていますが、日本の大学入試センター試験のようなもので「高考(ガオカオ)」という試験があります。

高校生はこの試験を受けて、自分の成績に合う大学に入ります。中国は貧富の差が激しく、「金持ちの家の子はずっと金持ち、貧乏な家の子はずっと貧乏」と言われています。唯一、この「高考」だけが一発逆転を狙える一生に一度のチャンスなのです。

今の中国は超学歴社会で、良い大学を出て、良い大学院を出ていないと、良い会社で十分な給料はもらえません。給料の額は、高卒・大学卒・大学院卒で大きく変わってきます。

たとえば、2017年の4年制大学卒の場合、平均月給は日本円で約75,000円。大学院生の場合は、それより40%くらい高い約104,000円です。給料の格差だけでなく、雇用条件が大学院卒のケースも多く、大卒や高卒では面接のチャンスさえも少なくなるそうです。

そのため、誰にでも公平にチャンスを与えられる「高考」を目指して、朝から晩まで勉強する子どもも大勢います。中国の高校は朝早くから夜遅くまで授業があり、家に帰っても親は「勉強以外の事はしなくていい」と言い、家事などの手伝いも一切なし。ひたすら勉強の生活です。

小さいうちから習い事三昧で英才教育

ギターを習う小学生も!

小さいうちからこの「高考」を目指し、英才教育を始めるので親も大変です。小学生の場合、平日は学校で、週末は塾で大忙し。さらに、習い事に通わせる家庭も大勢います。知り合いの子どもは、土曜にギターと数学、日曜にスペイン語と国語の教室に通っています。

わりと裕福な家庭では、ダンスを習う子もいますし、囲碁や水泳、ピアノ、二胡、ギターと芸術方面の習い事に通わせることも多いです。なかには、海外留学をさせる家庭もいて、主な留学先はアメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなどが人気。次いで韓国、日本です。

また、自分で「週末塾」を始めたという女性から話を聞くと、生徒は小学生が多いとのこと。その塾では「英語・算数・国語」を教えているそうで、子どもの教育のためではありますが、親が子どもを塾に預けて、自分の時間を作りたいという部分も多いそうです。

また、子どもを祖父母に預けて、夫婦は別の地域で生活しているという若い夫婦もいたり、あるいは祖父母に預けて、海外留学や海外赴任でキャリアアップを目指す親もいます。そのため、日本と比べると、おばあちゃん、おじいちゃん子になる子どもが多いです。日本では考えられない光景です。


【子育てと労働環境】特殊な産後ケア「ユエズ」とは

産後の母親が利用する「月子(ユエズ)センター」

各省によって細かい規定は違いますが、女性の産休・育休を含めて基本的に98日間、男性の育休は10日間前後が多いです。日本とそんなには変わらないかもしれませんが、産休・育休を取りにくい日本と違い、中国は「当然の権利」「使えるものは使わないと損」という考えで、男性も女性もしっかり休みを取ります。家族を大事に考える中国の文化では、これは当たり前の事です。

「月子(ユエズ)センター」とは

また、出産・育児面で日本と1番大きく違う点は、「月子(ユエズ)センター」と呼ばれる出産後1カ月間利用する療養専門機関の存在です。日本では出産後数日ですぐに退院し、通常の生活に戻りますが、中国では「産後1カ月は体を休めなくてはならない」という習慣があります。そのため子育ては、祖父母、あるいは専門の保母さんに任せます。

家で過ごす場合、本人は寝て起きて、栄養たっぷりの体に良い食事をして、のんびりと過ごします。テレビを見たり、ネットをしたり、読書などは可能ですが、驚くことに風呂は入らず、定期的にぬれタオルで拭く程度、髪も洗ってはいけないのだそうです。外出も基本的に最低限のこと以外は禁止されています。

月子センターで提供されるの栄養満点の食事

裕福な家庭の場合は、「月子センター」に入院し、お姫様のような待遇の中で生活するそうです。1カ月の費用はピンキリですが、大体100万円程度。このような月子センターがどんどん増えていることからも、今の中国がどれだけ富裕層が多いかわかるかと思います。

【医療】「五保険制度」と呼ばれる社会制度

中国では、幼稚園の入園資格に「予防接種済みであること」が条件になっていますが、子育てや出産に関して政府からの援助は特にありません。

また、中国の社会保険制度は「五保険制度」と呼ばれ、「養老保険」「医療保険」「生育保険」「失業保険」「業務上傷害保険」の5種類あり、会社員はこれら5つの保険すべてに加入することが義務付けられています。会社員は、勤務先の会社も一部費用を負担してもらえますが、個人商店や農村の人には義務がなく、加入するかしないかは個人の選択に委ねられています。

さらに中国の医療保険は、日本のように明確な負担比率がありません。病院によって保険の負担額が変わってきますし、海外から輸入された薬には適用できないなど、細かい規定もあります。負担金額の下限も上限も決まっているため、大病した際には、社会保険だけでは安心できないのが現実です。

最近では民間の保険も誕生しています。富裕層を中心に加入していますが、それ以外の人たちは未加入で、これから普及していく段階だと思います。まだまだ改善点は多いものの、少しずつ先進国に近づいている事が日々の変化でよくわかります。


【文化】多種多様な民族が暮らす社会での生活

中国では、56もの多種多彩な民族が一緒に暮らし、少数民族も今やどの地域でも暮らしているため、食生活もさまざまです。たとえば、イスラム教民族の学生に配慮して学校の食堂には「イスラム専用食堂」があったり、辛い食べ物が多い四川省や湖南省出身の生徒用の「辛い料理専用食堂」があったりします。

主食が小麦の東北地方の学生用に、麺や餅(ビン)と呼ばれる小麦で作ったパンのようなものが用意されているところや、日本と似た米を主食にした南方地方の学生用に料理を用意しているところもあります。

また、「中華料理」と一言で言っても、四川料理や広東料理、上海料理、北京料理など、その種類は非常にさまざまで、各省によってそれぞれの料理に特色があります。さらに、最近は世界の料理がどんどん中国に入って来ているので、西洋料理も日本料理も、なんでも食べられるようになってきました。中国の食生活は豊富です。

伝統文化との共存

日々変化を続ける中国では、なくなりつつある文化もあります。

なくなりつつある伝統文化「おしり部分に穴が開いた」子ども服

たとえば、子育ての伝統文化として、「おしり部分に穴が開いた子ども服を着せる」というものがあります。トイレで用を足しやすいこの服は、子どもお尻がちらりと見えて微笑ましいものでした。10年ほど前まではどこでも見かけていましたが、「不衛生」「公衆道徳上不適切」と認識され始め、今ではほとんど見ることがありません。

一方で、中国では冷たい水ではなく、生暖かい状態の水を飲む習慣が続いています。水は体を冷やすので氷を入れず、一度沸かして少し温度が下がった「開水」と呼ばれる水を飲みます。古い伝統的文化と新しい文化が交差する今の中国で、子どもがどのように成長していくのか。海外で学び、自国に戻ってくる子どもがますます増えていく今後の中国はさらに大きく変化しそうです。

以上が、中国の子育て事情です。次回はインドネシア編をお届けします。

ライター

林 由恵(はやし ゆえ)
日本で映画プロデューサーとして16年間数々の映画を作ったのち、中国へ移住。家庭教師として、現地の小学生や中学生に日本語を教えた経験もあり。現在は中国・海南島の大学で日本語教師をする傍ら、テレビの番組制作や雑誌のコラム執筆、日中の文化交流や音楽イベントプロデュースなど日中友好活動を積極的に行っている。

ブログ「海南島からの手紙」
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