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子供の風邪薬が一部使用禁止に! 副作用&市販薬の選び方も紹介

掲載日: 2019年3月27日更新日: 2019年3月27日岡本有紗

2019年から、一部の風邪薬の対象年齢が変更され、12歳未満の子供への使用が禁止されました。なかには、今まで普通に使っていた薬が使えなくなり、驚いたママパパもいるはずです。

日本薬剤師会の常務理事・亀井美和子さんに、禁止になった理由や、子供用の市販薬を買う際の選び方などを聞きました。

「コデイン」を含む風邪薬の年齢制限が変更になった理由は?

今回、すべての風邪薬に年齢規制がかかったのでしょうか。

正確に言うと、2019年から規制がかかったのは、12歳未満の子供へのコデインの使用。それによって、咳止め成分としてコデインを含む一部の風邪薬について、子供の服用が不可になっています

そのコデインとはどういうものでしょうか?

「コデインは、体内で代謝されて、脳内の咳中枢(咳をコントロールする部分)を鎮める成分に変わります。ですが、その代謝力が過剰な場合は、呼吸数を減少させる副作用(呼吸抑制)が出やすいこと、子供は呼吸抑制を起こしやすいことが知られています」

「そのため、2017年4月に、アメリカで12歳未満の子供へのコデイン類の使用が禁止されました。それに続いて、日本でも安全対策をとるようになったという流れです」

アメリカでは、1969年1月〜2015年5月の間に、コデイン類を含む薬の服用で、子供の呼吸抑制が64例報告されているそうです。さらに、そのうち24例は亡くなっているようです。

「ただ、コデインを代謝する能力には人種差があり、日本では死亡例はありません」

「代謝能力過剰と考えられる人の割合は、白人では1〜10%なのに対し、日本人では0.5〜1.0%です。つまり、日本人が呼吸抑制を起こす頻度は低く、今回の規制も予防的措置として行われた意味合いが大きいと考えられます

とはいえ、今まで大丈夫だったからと安心するわけにもいきません。

「これまで市販の風邪薬を子供に飲ませていた方は、今、手元にある常備薬の表示をよく確認しましょう。コデイン類が入っていたら、12才未満の小児には使用しないようにしてください」

子供が服用できる市販風邪薬の見分け方

今回の規制によって、使い慣れていた薬が使えなくなることもあります。あらためて、風邪薬を選ぶ場合、どこに気を付ければいいでしょうか?

市販薬の外箱には、必ず『用法・用量』が記載されています。そこに、子供の年齢に該当する記載があるかどうかを確認しましょう

記載の一例は、次のようなものです。

【用法・用量】の一例
成人(15才以上):1回2錠
12才以上15才未満:1回1錠
12才未満:服用できません

この例の場合なら、12歳未満は服用できないということになります。

「また、『注意(用法・用量に関連する使用上の注意)』も確認しましょう。『次の方は服用しないでください』など、飲んではいけない人の条件が書いてあります」

きちんと記載を確かめてから購入することが大切なのですね。

「そうですね。ただ、外箱の記載は小さくて読みにくいことも多いですし、定期的に飲んでいる薬との飲み合わせなど、外箱の説明だけではわからない場合もあるはずです。そのようなときは、薬剤師に相談して、適した薬を選んでもらうことをおすすめします


市販薬か病院かで迷ったときは…

ちょっとした体調不良や、すぐ病院に行けないとき、市販薬は助かる存在。ですが、やはりできるだけ病院に行く方がいいのでしょうか。

「そうですね。市販薬は自己判断ですぐ使用できるものの、子供の症状の軽重や適切な薬を親が判断するのは難しいときもあるでしょう。なので、基本的には、医師の診察を受けることを優先した方が良いと思います」

「とはいえ、それは市販薬が悪いとか効果がないということではありません。諸般の事情で市販薬を使って様子を見ようと思うときは、薬剤師にアドバイスを求めると良いと思います」

市販薬と処方薬はどう違う?

市販薬と処方薬はどのような違いがあるのでしょうか?

処方薬(医療用医薬品)は、医師が患者一人ひとりの症状等を確認したうえで使用するものです。一方、市販薬(一般用医薬品)は、提供されている情報に基づいて自分の判断で使えるものです」

一般用医薬品とは、医療用医薬品として長年使われて安全性が確認された薬や、安全に使用できると認められた薬です。正しく使用すれば、基本的には問題は起こりにくいと考えられます」

では、それぞれのメリットや注意点はどんなところでしょうか?

「処方薬のメリットは、医師の監督下で使用される点や医療保険で自己負担が軽減される点です。一方で、病院受診が必要なのはもちろん、使用者も限定されます」

「市販薬のメリットは、病院受診をしなくても使える点、買い置きやシェアができるものがある点などがあります。ですが、自己判断・自己責任で使用しなければならない点が注意点といえるでしょう」

また、今回のコデインに関する規制のような変更があった場合、親にはその情報が届きにくい点も問題とのこと。

薬剤師はリアルな情報を持っています。何度も言うようですが、処方薬使用時だけでなく、市販薬を購入して使う場合も、薬剤師から情報提供を受けることをおすすめします

薬剤師さんは薬の専門家。ドラッグストアに常駐している店舗もあります。積極的に力を借りて、正しく薬を使用していきましょう!

お話を聞いたのは…

  • 亀井美和子さん

    日本大学薬学部教授(薬事管理学研究室)、日本薬剤師会常務理事。薬剤師、臨床検査技師。学位は修士(経営学)、博士(薬学)。研究領域は社会薬学。

ライター紹介

岡本有紗

2児と猫3匹を育てるライター。メディカル系専門の広告制作会社でライティングと編集業務を経験後、出産を機にフリーに。得意分野はやはりメディカル系だが、いろいろな分野を経験し幅を広げたいというのが現在の目標。趣味はあえてチープな手段で行く一人旅(休止中)、特技はハモリと絶対音感。

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