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親も子どもも「ビタミンD不足」が増加中? 症状&原因&対策も

ビタミンD不足の子どもが増えているそうです。ビタミンDは食べものから摂取するほか、紫外線を浴びることで皮膚でも作られるとか。不足すると、骨の成長障害につながるケースもあるそうです。

そこで、ビタミンD不足による体への影響や、不足する原因、予防法について、昭和大学小児科教授の水野克己先生に聞きました。

骨の成長を助けるビタミンD

ビタミンDにはどのような働きがあるのでしょうか。

カルシウムやリンの吸収を助け、元気な骨を作ることに関係するビタミンです。また、インフルエンザや、乳幼児の感染が多いRSウイルスなど、ウイルスの感染予防、さらに感染した際の重症化を防ぐ効果もあると言われています

「ほかにも、免疫力アップや糖尿病に関係するという論文もあり、さまざまな働きがあるビタミンとして注目が高まっています。とはいえ、成長期の子どもへの影響では、やはり骨の発育との関係が大きいですね」

そのほか、いろんな病気にも関係するというビタミンD。不足すると、子どもの身体にどんな影響が出るのでしょうか。

極端に不足すると骨が変形する「くる病」になる可能性も

「付随的な影響としては、ウイルス感染への抵抗力が弱くなったり、感染した場合に重症化につながりやすくなる可能性があります」

「一方で、ダイレクトな影響としては骨の発育不良です。極端に体内のビタミンDが欠乏すると、骨が変形する『くる病』を引き起こすこともあります

「くる病」とはどんな病気なのでしょうか。

「まず、骨はカルシウムやリンを主成分として作られますが、それらの吸収を助けるビタミンDが不足すると、骨がうまく石灰化できなくなり、通常よりも柔らかい骨になる場合があります」

「その結果、骨が変形したり、身長が伸びにくくなったりするといった成長障害を引き起こす病気が『くる病』です」

代表的な症状で、手や足の変形、O脚などがあります。とはいえ、くる病は全身の骨に影響しますから、実は身体のどこが変形してもおかしくありません

骨の形成段階に発症する、くる病は、骨年齢では男子が17歳まで、女子は15歳までかかる可能性があるのだとか。

「ですが、くる病になる子どもはそれほど多くないはずです。個人的にくる病患者数の正確なデータを取っているわけではありませんが、少なくとも、30年間にわたり患者を診てきた私の経験上、そうした子どもをさほど見たことはありません」

ただ、くる病を発症していなくても、ビタミンDが欠乏している子どもがとても多いことは事実です


ビタミンD欠乏はママにも子どもにも増加中

ビタミンDが足りない子どもはどれくらいいるのでしょうか。

「症状がない子どものビタミンDを測定することは一般的ではないため、はっきりとした数字はわかりませんが、今は、生まれた時からビタミンDが欠乏している子どもがとても多いんです。理由は、妊婦であるお母さん自身がビタミンD欠乏状態だから。私の取った血液検査のデータでは、30人の妊婦さんのうち26人がビタミンD欠乏状態でした」

胎児は母体を通してしか栄養を採り入れられませんから、ビタミンD欠乏状態の母親から生まれた子どもは、間違いなくビタミンDが欠乏しています

「ビタミンD欠乏症の子どもが近年増加傾向にあると言われるのは、そうしたことも大きな要因だと考えられます」

妊娠中のママの大半がビタミンD欠乏状態であれば、その子どもも当然ビタミンDが足りていないということになります。では、ビタミンD不足になる原因は何なのでしょうか。

「過剰な紫外線対策」と「偏った食事」がビタミンD不足の原因!

「ビタミンD不足を招く主な原因は、過剰な紫外線対策とビタミンDを含む食材の摂取が少ないことです」

日焼け止めの塗りすぎはNG!

「最近は、『紫外線は敵』という風潮が強く、特に女性の場合は少しの外出でも日焼け止めを塗る方が増えていますよね。ですが、SPF8以上の日焼け止めを塗ると、紫外線を浴びても皮膚でビタミンDが作られなくなるんです

では、適度な紫外線対策の目安はあるのでしょうか。

夏場なら、肘から下で15分〜20分程度、冬場は30分程度、日焼け止めクリームを塗らずに日光を浴びるのが、大まかな目安です。屋外であれば、木陰でも紫外線を浴びられますので、普通に外出していれば、直射日光にわざわざ当たる必要はありません

「ただ、寒い冬や猛暑のときは、無理に外出をして体調を崩してもいけませんから、紫外線を過剰に避けないようにするという意識を持てば大丈夫です。それと同時に、ビタミンDを多く含む食材を積極的に摂取できるとなお安心です」

近くのスーパーに買い物に行ったり、少し公園で遊んだりする程度なら、日焼け止めを塗らない方が適度に紫外線を浴びられるのですね。

「骨の成長やウイルス感染のリスクを考えると、妊婦さんや授乳中のママ、乳幼児は、意識的に適度な紫外線を浴びてほしいと思います」

「ビタミンDを作る紫外線であるUVBはガラスを通過しませんので、ママなら、たまには外でランチを食べる、乳幼児は年間を通して適度に外気浴をさせるなど、少し配慮するだけでもビタミンD不足解消につながります」

バランスの良い食事を心がけよう!

食事の面では、どのような食材を積極的に食べれば、ビタミンDを摂取できるのでしょうか。

ビタミンDを多く含む食材は、本しめじやしいたけなどのキノコ類、イワシ、カツオ、鮭などの魚介類、そして卵黄などです

「ただ、食材に関してはアレルギーの心配などもあり、偏った食事になってしまっている人もいるのではないでしょうか。ですが、アレルギー予防のための、妊娠、授乳中の食事制限はお勧めできません

「また、ビタミンD欠乏状態の母親が母乳だけで赤ちゃんを育てると、当然子どものビタミンDも不足しがちになります。とはいえ、母乳栄養が悪者のように言われてしまうのは残念なこと。安心して母乳だけで育てるためにも、現代人に不足しがちなビタミンDを意識することが重要です」

基本的には、バランスの良い食事を心がけること。そのためには、ビタミンD、鉄、亜鉛など、妊婦さんや授乳中のママ、子どもにとって必要な栄養素を含む食材にどんなものがあるかについて意識することも大切です

「その上で食事のバランスを考え、乳幼児であれば適切な時期に離乳食を開始しましょう」

屋外で適度に紫外線を浴びて、バランス良くさまざまな食材を食べることが、親と子どものビタミンD欠乏を根本的に防ぐのですね。


ビタミンDシロップも有効!

最後に、子どもがビタミンD不足でないかどうか、確かめる方法はあるのでしょうか。

残念ながら、血液検査でしかわかりません。また、ビタミンDが欠乏していても症状の出方は人によって違いますから、血液検査をすればわかるとしか言えないのです」

「食事からビタミンDを摂取しにくい、日に当たる機会が少ないなどの場合は、森下仁丹などの製薬会社から出ている赤ちゃんから使えるビタミンDシロップを飲ませることも一つの方法です」

ビタミンDシロップは、ドラッグストアなどで簡単に手に入りますし、乳幼児向けの商品なら、母乳で育てている乳児にも安心して与えられます。さらに、授乳中のママが摂取することで、母乳中のビタミンDを増やすこともできます

くる病の治療にも使われているというビタミンDのシロップ。アレルギーの問題や、外遊びの機会が少なくて心配な場合は、使用量を守ってサプリメントとして取り入れてみると良いのですね。

お話を聞いたのは…

  • 水野克己さん

    昭和大学江東豊洲病院教授。母乳育児専門家(国際ラクテーションコンサルタント)の資格をもつ小児科医。NICUで小さく生まれた乳児の治療も行う。子育て・母乳育児支援NPO「KOTOCLO」代表理事。2014年、日本初の母乳バンクを開設。2017年、一般社団法人日本母乳バンク協会設立。「楽しい育児は日本を変える!」をモットーに、母親向けセミナーや、医療者の育成、母乳バンク設立など様々な活動を通し、楽しい育児をたくさんのお母さんができるよう尽力している。

  • オフィシャルホームページ
  • 日本母乳バンク協会
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ライター紹介

近藤 浩己

1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

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